沿岸地域の地価動向等(平成24年度第1四半期期地価動向調査結果)
平成23年3月11日に発生した東日本大震災津波で被災した沿岸地域において、地価上昇や投機目的の買占め等が懸念されております。
県では、短期地価動向等調査を実施して価格や土地取引動向を注視し、国土利用計画法の規定に基づく監視区域の指定について検討するとともに、調査結果等を公表してまいりますので、沿岸地域における土地取引の指標としてご活用ください。
短期地価動向調査の概要
- 調査主体:岩手県
- 調査対象:沿岸12市町村25地点(住宅地21地点、商業地4地点)
- 調査方法:一般社団法人岩手県不動産鑑定士協会に委託し、平成23年7月1日地価調査した基準地(調査地点)を中心に、沿岸市町村の代表的な住宅地及び商業地のうち、震災以降も土地取引が活発に行われる可能性が高い地点について、地価調査・地価公示と同じ鑑定評価方法で鑑定評価を実施する
- 調査時期:平成24年度第1四半期短期地価動向調査(平成24年4月1日基準日)
地価動向について(価格、変動率等詳細は別添資料1及び参考のとおり)
住宅地(21地点)
- 前回までの調査では、震災直後の特定地域における移転需要の集中等から、高値取引が見られたが、今回の調査では、資金に余裕のある被災者や復興を待てずに急いで購入する被災者の取引が減少し、適正な価格水準での購入割合が増えるなど、市場の落ち着きが見られ、年間変動率は前回に引き続き下落(平均マイナス2.5%)となった。
- 前回までの調査において地価が上昇した宮古D-3、大槌D-1、山田D-2の3地点は、価格が上昇した地点はなく、直近3ヵ月で変動率では横ばいかやや下落となり、年間変動率も上昇幅が縮小した。
- 直近3ヵ月変動率では、陸前高田市、大船渡市、釜石市などで横ばいや上昇した地点もみられ、復興事業の進捗等により震災前の価格水準への回復の動きが見られるが、宅地の供給が十分ではない地域においては継続的な高値取引による地価水準の上昇の懸念があり、今後も地価動向を注視する必要がある。
商業地(4地点)
具体的な市町村の土地利用計画案等が示され、釜石市など一部地域では浸水地域での取引も見られ始めたものの、本格的な復興までにはまだ時間を要するため、被災した事業者は仮設店舗で営業再開して復興事業の進捗や宅地整備等を待つ傾向が見られ、平均変動率は下落幅が縮小(マイナス6.0%から平均マイナス6.6%)したものの下落が続いている。
まとめ
上記の結果から、年間変動率が10%を超えている大槌町では、高止まりしているものの横ばいのまま推移しており上昇傾向は見られない。また、大船渡市、釜石市等における直近3ヵ月変動率の横ばいや上昇は、震災前価格への回復の動きとみられ、価格水準は適正範囲内と判断されており、今後も価格水準の底上げかどうか継続的に動向を注視する必要はあるものの、現時点では監視区域を指定する必要性は認められない。
土地取引動向について(詳細は別添資料2-1、2-2参照)
土地取引件数(平成23年3月から平成24年3月)の推移について
- 全体件数
沿岸4地域の平成23年3月から平成24年3月の取引件数は、5月以降、前年を大きく上回り、累計は1,920件と前年同期1,247件比で1.53倍と増加しており、平成24年1月の取引件数は前月を下回ったものの、2月以降も引き続き取引の多い状況が続いていることから、今後も取引件数の動向を注視する必要がある。
また、県全体の累計取引件数は、平成23年10月まで前年を下回っていたが、11月以降は沿岸及び内陸地域とも取引件数が増加したことにより、前年の取引件数を上回り平成23年3月から平成24年3月の累計では9,087件と前年同期8,323件比で+764件、1.09倍と前年を上回っている。 - 月別件数
沿岸4地域の平成23年3月以降の月別取引件数は、3月、4月の取引件数は久慈地域の4月を除き前年同月に比べて減少していたが、5月以降、移転需要による取引が活発となり、4地区とも増加に転じ、6月は5月を大きく上回った。その後、7月から10月の取引件数は前年同月を上回ったものの、同年前月比では概ね横ばい傾向であったが、11月以降は増加傾向が見られた。
また、平成24年1月の取引件数は、4地区合計で前月を下回ったものの、2月以降は前年同月及び前月をともに上回っており、引き続き移転需要による取引件数が多い状況が続くと考えられる。
法人取引状況について
国土交通省から提供された登記異動動情報を基に法人取引状況を調査したところ、「工場、店舗等の被災に伴う移転用地や工場進出等による土地取得」「ハウスメーカーや宅建業者による被災者への宅地分譲・仲介用土地取得」「震災と無関係と思われる山林経営者の山林売買」「事業地拡大」など、概ね適正な利用目的による土地取引がなされており、特定地域における土地取引の集中や仲介目的以外の転売は確認されなかった。
地目別土地取引件数・面積について
- 沿岸市町村における土地取引件数は、人口減少や経済低迷等により年々減少傾向にあったが、平成24年1月から3月における土地取引は件数666件、対前年同期比積124.3%と増加している。また、取引面積は、昨年同期比433.4%と大幅な増加となったが、大規模取引(1件535.5ヘクタール)を除くと108.4%となり、全体としては微増となった。
- 宅地取引は前回調査(平成23年1月から平成24年1月)でも対前年比で件数132.0%、面積170.4%と増加傾向にあったが、今回(平成24年1月から平成24年3月)も件数128.8%、面積341.2%と引き続き増加傾向にある。
- 宅地転用が懸念された山林・農地は、畑の取引面積は大幅な減少となったが、他の地目は件数・面積とも大幅に増加している。
次回短期地価動向調査について
平成24度第2回短期地価動向調査(平成24年7月1日基準日)結果は平成24年9月下旬頃に公表する予定です。
添付ファイル
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このページに関するお問い合わせ
環境生活部 環境保全課 環境影響評価・土地利用担当
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