沿岸地域の地価動向等(平成24年度第3四半期短期地価動向調査結果)
平成23年3月11日に発生した東日本大震災津波で被災した沿岸地域において、地価上昇や投機目的の買占め等が懸念されております。
県では、短期地価動向等調査を実施して価格や土地取引動向を注視し、国土利用計画法の規定に基づく監視区域の指定について検討するとともに、調査結果等を公表してまいりますので、沿岸地域における土地取引の指標としてご活用ください。
短期地価動向調査の概要
- 調査主体:岩手県
- 調査対象:沿岸6市町17地点(住宅地14地点、商業地3地点)
- 調査方法:一般社団法人岩手県不動産鑑定士協会に委託し、平成23年7月1日地価調査した基準地(調査地点)を中心に、沿岸市町村の代表的な住宅地及び商業地のうち、震災以降も土地取引が活発に行われる可能性が高い地点について、地価調査・地価公示と同じ鑑定評価方法で鑑定評価を実施する
- 調査時期:平成24年度第3回短期地価動向調査(平成24年10月1日基準日)
地価動向について(価格、変動率等詳細は別添資料1及び別紙のとおり)
住宅地(14地点)
- 前回調査(7月1日)と比較して、11地点において3ヵ月変動率が上昇し、年間平均変動率(震災前比較)は、今回大きく上昇した地点の影響を受け、全体として初めてプラスに転じ、0.7%の上昇となった。現在ほとんどの地点が震災前の価格を下回っているが、今後、徐々に震災前の価格水準に戻っていくものと予測される。
- 震災直後に大きく下落した地点のうち、陸前高田(米崎町)等は、高値取引が散発的にみられるものの、多くが適正価格(土地の価値に見合った価格)の範囲内での取引となっており、直近3ヶ月変動率の上昇幅は弱まっている。
なお、山田(長崎4丁目)は取引価格が上昇しているが、おおむね震災前の水準程度となっている。同地区は浸水被害を受けて供給開始が遅れ、震災前の価格水準への回帰の動きが他の高台地区より遅れ、今回の上昇につながったものと考えられる。 - 震災以降に新設した調査地点のうち、陸前高田(高田町)及び山田(豊間根)は、直近3ケ月変動率で横ばいあるいはやや上昇傾向で推移している。
なお、大槌(大ヶ口)は、地元の移転需要と復興工事関係者、NPO法人等地元以外の需要が競合し取引価格が上昇しているが、物件不足が背景にあり、一過性の取引価格の上昇と考えられる。同地点は、現在では利便性や団地の熟成度において、ほぼ同等と考えられる地価調査地点(大槌町桜木町)の直近の震災前価格(22,300円)に比較して、まだ低位(19,800円)となっている。
商業地(3地点)
前回に引き続き、取引事例がなく直近3ヵ月でほぼ横ばいとなった地点もある一方、取引事例では浸水被害の小さい地域としての希少性から高めの取引価格となっている地点があったことから、年間平均変動率(震災前比較)は、下落幅が縮小(沿岸南部6市町平均マイナス4.8%からマイナス3.7%)した。
土地取引動向について(詳細は別添資料2参照)
土地取引件数(平成23年3月から平成24年1月)の推移について(別添資料2)
- 全体件数
沿岸4地域の平成24年7月から9月の累計取引件数(地方公共団体、国等を除く)は530件と、前期(平成24年4月から6月、524件)比で+6件、1.01倍、前々期(平成24年1月から3月、503件)比で+27件、1.05倍、前年同(485件)比では1.09倍とほぼ横ばいとなっている。1月から9月の累計は1,557件と前年同期(1,099件)比では1.42倍に増加しており、今後も取引件数の動向を注視する必要がある。
また、県全体の累計取引件数は前年の取引件数を上回っており、平成24年1月から平成24年9月の累計では6,293件と前年同期(5,489件)比で+804件、1.15倍と前年を上回っている。 - 月別件数
沿岸4地域の月別取引件数は、平成24年7月は前年同月及び前月をともに上回り、8月は前年同月及び前月ともに下回り、9月は前年同月及び前月をともに上回った。月別の件数としては増減を繰り返しながら、今後も前年並みの取引が見込まれる。
法人取引状況について
- 沿岸12市町村の平成24年7月から9月の法人取引件数は95件で、昨年同期の取引件数84件や震災前3カ年平均48件と比較して件数が増加しており、個人と法人取引の合計件数に対する法人取引件数割合も、本年7月から9月の17.9%は震災直後の昨年度同期17.7%、震災前過去3カ年同期平均14.6%と比較するとやや増加しており、短期転売や大規模取引、特定業者による買いあさり等がないか、今後も個別に注視していく必要がある。
- 法人取引の取引内容については、前回に引き続き、被災企業や新規参入する事業者の工場用地等の取得、ハウスメーカーや宅建業者による被災者への分譲・仲介用土地の取得など、概ね適正な利用目的による土地取引がなされており、集団移転候補地や復興道路建設予定地など復興の妨げとなる特定地域における土地取引の集中や仲介目的以外での短期転売は確認されなかった。
なお、一部に、宅建業者からハウスメーカーへの転売が見られるが、その後の転売状況をみると、沿岸被災地域に住所のある個人や法人へ売買されていることが確認されていることから投機目的取引の可能性は低いと考えられるが、今後も転売件数が増加傾向にないか、転売後の買主の住居・業種やその利用目的などを注視する必要がある。
地目別土地取引件数・面積について
- 沿岸市町村における土地取引件数(地方公共団体、国等を含む)は、平成24年7月から9月における土地取引件数は666件で対前年同期比125.7%と増加している。また、地目別に見ても、全地目で増加しており、特に山林における増加が目立っている。
取引面積は129.9ヘクタール、前年同期比38.7%と大幅に減少している。地目別に見ると、農地以外は減少しており、特にその他の減少が大きい。 - 前四半期(平成24年4月から6月)と比較すると、取引件数においては91件、115.8%増加したが、取引面積においては204.5ヘクタール、38.8%大幅に減少し、1件当たりの取引面積が縮小している。
- 震災以降の四半期ごとの取引件数及び面積推移について、取引件数は増加傾向が続いており、前四半期(平成24年4月から6月)には宅地を除いて減少したものの、今四半期は再び全地目において増加した。面積推移は、山林は、国・地方公共団体の事業用地買収や山林経営等の大規模取引が影響し、増減幅が大きくなっているが、農地、宅地及びその他はほぼ横ばいに推移しており落ち着きが見られた。
次回短期地価動向調査について
平成24度第1回短期地価動向調査(平成25年1月1日基準日)結果は平成25年3月中旬頃に公表する予定です。
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このページに関するお問い合わせ
環境生活部 環境保全課 環境影響評価・土地利用担当
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