平成30年8月2日知事会見記録

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ページ番号1000733 

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平成30年8月2日10時00分から10時53分

広聴広報課
 ただいまから記者会見を行います。最初に、知事から発表があります。それでは、知事お願いします。

知事
 まず、第21回北海道・北東北知事サミットの開催についてです。毎年、北海道と北東北合わせて4道県の持ち回りで北海道・北東北知事サミットを開催していますが、21回目となる今年度は、岩手県が主催します。8月31日に宮古市の浄土ヶ浜パークホテルを会場とします。今回のテーマは、「世界的スポーツイベント等を契機とした交流人口の拡大」です。札幌市や釜石市で競技が行われるラグビーワールドカップ2019™や、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の開催、また、高速道路やフェリー航路など新たな交通ネットワーク(の整備)を好機と捉え、今回の知事サミットでは4道県それぞれの強みを生かしながら、地域全体の魅力の向上や交流人口拡大のための方策について探っていきたいと思います。
 前回岩手(県)で開催した平成25年9月のサミットの際にも、各道県の知事さん方に宮古地域の復興状況を視察いただいたのですが、今回もその宮古地域のさらなる復興状況についてご覧いただくこととしています。
 発表事項の2つ目は、知事の南米訪問についてということで、来る8月19日から8月29日まで、ブラジル連邦共和国とパラグアイ共和国を訪問します。今年はブラジル岩手県人会が創立60周年ということで、8月26日にサンパウロ市で記念式典が行われます。これに出席して祝意を表し、県人会の皆さんと懇談会する予定です。
 また、岩手県人会が3団体あるパラグアイも訪問し、会員の皆さんと懇談し、岩手県の今の状況をお伝えすることとしています。
 以上です。

広聴広報課
 以上で知事からの発表を終わります。

幹事社
 質問の前に、記者クラブへの転入者を紹介いたします。転入者から一言挨拶をお願いします。

 (記者紹介)

幹事社
 それでは、ただいま発表事項2点について、各社から質問があればお願いします。

記者
 北海道・北東北知事サミットの件でお伺いします。今回、宮古で三(陸)鉄(道)と田老防潮堤も視察するということ、また、スポーツイベントと交流人口の拡大についてのテーマだということですが、以前岩手で全国知事会をやった際は、岩手宣言という岩手からの発信もあったわけですが、今回のこのサミットでは、何か岩手から発信していきたいというお考えありましたらお聞かせください。

知事
 ラグビーワールドカップ2019™があるということは、改めて発信したいと思いますし、また、宮古・室蘭フェリー航路が就航していますよということも発信したいと思います。そういったことを関連付けて、改めて北海道・北東北というエリアのスポーツとか国際イベントとかでの潜在力を示して、そしてさまざまな交通機関を活用した周遊旅行もできますよというようなことをアピールしたいと思っています。
 ちなみに、北海道と青森県、秋田県はそれぞれフェリー航路で結ばれていて、北海道と船で結ばれていなかったのは岩手(県)だけだったのですけれども、今年、宮古・室蘭フェリーが就航し、岩手含めて北東北3県全て海路でも北海道とつながっているということで、そういう北海道・北東北の新たな結びつきというか、これで一つ完成形みたいなものになったということが今年の一つの目玉でありますので、そういったことをアピールしていきたいと思います。

記者
 北海道・北東北というエリアの関係ですけれども、インバウンドであるとか、フェリーもそうでしょうけれども、やはり県単独でやるのではなくて、広域で取り組むということは、今後いろいろ必要な場面があるかと思うのですが、その点はこういった機会にさらに交流を深めていくということになるかと思いますけれども、その点いかがでしょうか。

知事
 そうですね。北海道・北東北の枠組みで取り組むこととして非常に重要なのが縄文遺跡(群)を世界遺産にということがありますけれども、縄文文化の観点からしても、北海道プラス北東北3県というエリアが一つまとまって、非常に大事なエリアですし、今年北海道が北海道命名150年というキャンペーンを展開し、全国知事会議でも随所でそのことが言及されていましたけれども、江戸時代までさかのぼり、縄文時代から歴史をずっとたどって、江戸時代から明治維新など、北海道・北東北というエリアというのは、結構そこはそこで一つ自立的というのでしょうか、他のエリアと区別された交易や交流のエリアでずっとあって、津軽海峡というのを川のようなものと見て、しょっちゅう行ったり来たりできるような、津軽海峡を挟んで人や物の行き来がかなり盛んに行われていたエリアなのだということをそういう歴史の面からも改めて確認するいい機会で、それは観光についても、日本人相手でも、またインバウンドでも魅力につながるというふうに考えます。

幹事社
 ほかに質問がなければ、それでは発表事項以外について、本日は記者クラブを代表しての幹事社質問の用意はありませんので、各社から質問があればお願いします。

記者
 今、日本ボクシング連盟の問題が急浮上して、世間の注目を集めていますけれども、いわて国体で岩手の選手が不可解な判定で敗れるというような映像が流れていますが、これ、知事ご覧になっていますでしょうか。

知事
 はい、いろんなチャンネルで、かつ、繰り返し出てくるので、目に留まっています。

記者
 それを見て、どうお感じになっていますか。

知事
 今回の件は、告発状というタイトルと記憶していますけれども、日本ボクシング連盟の内部の有志から日本ボクシング連盟に対して、幾つかの問題点を指摘する、その中に判定の問題についても指摘されているということで、この告発と、それに対する回答のやりとりの中で、この事実関係がきちんと明らかになって、そして日本ボクシング連盟として対外的にきちんと信頼されるような、そういう形で未来に向かって進んでいってほしいと思います。
 スポーツというのは、社会の中で非常に重要な柱で、オリンピックとか、そういうものにもつながっているわけですし、日本国内においてもそれぞれの競技団体が社会的責任に応えるような形で民主的な運営がなされなければならないと思います。今回そのことについて、内部から鋭く強烈な批判があったということで、それについて連盟としてきちっと応えながら、さまざま組織として必要な、何か変革ということも必要に応じてしていかなければならないというふうに考えます。

記者
 いわて国体は、岩手県も主催者ということで、この問題について主催者として調査していくというようなお考えはあるのでしょうか。

知事
 今は競技団体の中で、有志による告発状という形で問題が指摘され、まずはそれに対するやりとりの中で事実関係が明らかになっていくことを期待します。

記者
 昨日、台湾と花巻空港の、北東北では唯一となる国際定期便就航ということで、それについて改めて今後への期待をちょっと一言いただければと思います。

知事
 まず、花巻空港54年の歴史の中で、初めて国際定期便就航ということで、大変うれしく思います。東亜国内航空((注)正しくは、「北日本航空」)が就航する国内路線の空港という形でスタートしたわけですけれども、県民の皆さんの期待やニーズもあって、チャーター便という形で海外にも飛行機が行き来するようになって、そして、特に台湾に関しては近年チャーター便がどんどん増え、そして定期便化になったこと、本当にうれしく思います。
 また、台湾との関係においても、東日本大震災津波の際にも大変お世話になりましたし、また、戦前にまでさかのぼる岩手と縁もゆかりもある台湾であります。また、先月、盛岡青年会議所の人たちと一緒に盛岡JC、羅東JCの姉妹JC50周年の記念式典にも出ましたが、現代においてもそういう草の根の長くて層の厚い交流のある地域ですので、そことの間に定期便就航ということで、ますます交流が発展することを期待します。
 そして、インバウンド観光振興という意味でも、定期便の存在は非常に大きな力ですので、岩手の魅力を発信し、また、いわて花巻空港は東北全体の中で見た時に、地理的な中心にある空港と言ってもいいので、平泉が東北の地理的中心なのですが、平泉に一番近い空港はいわて花巻空港でありまして、そういう意味で東北を周遊するような場合に、地理的に非常に便利ないわて花巻空港でありますから、そこを台湾の皆さんにもどんどん活用していただきたいなと思います。
 あとは、岩手県民の皆さんは海外旅行経験とか、あと、パスポートの保有率とか全国的に見て低い方なので、これを機会にどんどんパスポートを取得して台湾訪問してほしいと思います。
 定期便化されて、台湾、台北の空港で乗り継いで、さらに遠くに行くことも便利になりましたし、あとはさっきインターネットで見てきましたけれども、タイガーエア台湾、いわて花巻空港から台北の空港まで9,900円からであって、9,900円のチケットもありましたので、そういう意味でかなり岩手県民の皆さんにとっても海外旅行のイメージが変わる、一つ意識転換にもつながるような定期便就航だと思います。価格面でもご利用しやすくなっていますので、成田空港から出発しなければならない(時は)そこまでの交通費、そして成田周辺に前泊しなければならないとか、そういうコストなしで、かつ、航空運賃自体もご利用しやすい価格になっているので、岩手県民の皆さんも海外に行くというイメージを意識転換していただいて、どんどん羽ばたいていただきたいというふうに思います。

記者
 ありがとうございます。県民の去年のチャーター便を利用した搭乗率は63.5%で、ちょっと(タイガーエア)台湾が目標とする80%からまだまだ遠いわけなのですけれども、パスポートの取得補助のほかに、何か県として対策としてとっていきたいようなことはあるのでしょうか。

知事
 タイガーエア台湾の張董事長も昨日言っていらっしゃいましたけれども、チャーター便の定期(便)化はしたけれども、まだ知名度不足があるということで、そのとおりだと思いますので、さらにPRして広めていかなければならないと思いますし、あとはさっき言ったような価格面での利用しやすさということも、まだあまり岩手県民の皆さんに知られていないのかなと思います。張董事長も機内食もおいしいですよという、そういうことも昨日おっしゃって(いて)、具体的なイメージを持ってもらうような宣伝をしてくださっていますし、また、価格を低く抑えるということでもタイガーエア台湾も頑張っているので、県としてもそういう情報がどんどん広まっていくように、そういう情報共有というのでしょうか、県民の皆さんに知ってもらうことに力を入れていきたいと思います。

記者
 わかりました。あと、知事として台湾のどこが一番好きかというところをちょっと教えてください。

知事
 まず、全体的に親日的で、現地に赴いていろいろ街を歩いたり、食べたり、飲んだり、買い物したりという時の人と接する時に非常に歓迎されている感じがしますし、あとさらにそういうお客さんとしての関係以上に、いろいろ仕事とか、あとはお付き合いで親しくなっていくと、さらに人と人との関係を発展させていくことができる、友情を育んでいくことができる地域だなと思っています。(また、)さまざま中華文明に関するいろんな貴重な美術的な建物とか、いろんなものがありますし、一方で台北では都市化も進んで独特なアジア型の都市型ライフというのでしょうか、お茶という東アジア共通の文化に、甘くしたり、タピオカを入れたり、プリンを入れて、それをストローですするとかというようなものもありますよね。そういうポップカルチャーとか、新しい都市型文化で東京にない、日本にないようなものが、独特なアジア型の発展しているというところも非常に面白いので、ですから一回行けばいいというものではなくて、繰り返し行く中で、さらに行ったかいがあるところがいいところです。

記者
 私もタイガーエア(台湾)の関係でお伺いするのですけれども、県民だけではなくて、秋田、青森など、北東北の方々にも利用してもらうことが必要だと思うのですが、その辺のお考えと、利用してもらうための施策について教えていただけますか。

知事
 秋田(県)、青森(県)、また、宮城県北部の皆さん、近隣県の皆さんにとっても、成田まで行ってとかというよりもずっと便利に、また、価格面でも利用しやすく台湾に行くことができるので、どんどん近隣県の皆さんにも利用していただきたいというふうに思います。

記者
 そのための何か方法みたいなお考えはありますか。

知事
 今度の北海道・北東北知事サミットでも、そういう新しい情報を共有するいいチャンスだなと思いますし、北海道・北東北3県いろいろ取り組む中で、今回の台湾定期便就航の情報も広くそのエリアで共有できるようにしていきたいと思います。

記者
 4月から6月のチャーター便の利用は63.5%ということで、先ほど知事は知名度不足ということをお挙げになりましたけれども、そこさえ改善すれば目標の8割ですか、80%に届くとお考えなのか、ほかにどういった具体的な訴える方法が必要とお考えなのか教えていただけますか。

知事
 基本的にポテンシャルはあるという認識は、県も、タイガーエア台湾も、そしてイージートラベルさんも共有しているところですので、まずは知名度不足の解消というところが課題だねという共通認識を持っています。価格面での利用のしやすさなんていうのは、まだまだ岩手県内でも知られていないのではないかと思いますし、知ることによって、そこに岩手における海外旅行革命といいますか、海外旅行のイメージががらっと変わるような意識転換もまだまだこれからだと思うのです。もちろん基本的には県内の経済情勢というものがちゃんと海外旅行できるくらいのゆとりというのが生まれるくらいの経済情勢である必要とか、また、県民の皆さんが新しいものに挑戦していく進取の気性というのを発揮できるような、そういう社会的な状況というのも必要になってくるのですけれども、そういった経済社会政策は、それはそれで県として進めていきたいと思います。

記者
 最後に、今回定期便化したことで、今まで利用方法が多少限定的だったと思うのですが、ビジネスでの利用であったり、修学旅行での利用であったり、幅が広がると思いますけれども、知事はどういったことに期待していますか。

知事
 一番大きい変化としては、何げなく行くということも可能になるというところがすごいのだと思いますけれども、プラス修学旅行であるとかビジネス、会社の研修旅行とか、そういうところでもいろんな工夫ができると思いますので、県民の皆さんにはいろいろそういう工夫もしながら台湾訪問してほしいなというふうに思います。

記者
 ILCについて何点かお伺いします。先日、県の推進協(議会)さんの方で、ILCが実現した場合の経済波及効果が5兆7,190億円と公表されました。同日、仙台の方でも地域づくりであったり、受け入れ体制整備のマスタープランの全容が明らかになりまして、そちらについての受け止めを一言お願いいたします。

知事
 現代においては、大規模な科学研究プロジェクトというものは、経済波及効果も大きいので、アメリカで出ている「フォーリン・アフェアーズ」という雑誌を読んだりしていますと、しょっちゅうアメリカにおいてもどんどんそういう基礎科学に投資すべきだという論文が掲載されてますよね。ILCもそこは例外ではないわけで、特に日本では既につくばの高エネルギー加速器研究機構を中心にして、ILC関連技術の進歩があって、いろいろ作れるメーカーさんも増えていて、岩手県からも既にニュートリノ発生装置の部品を作って納めるような会社も出ているわけですので、これが規模の大きいILCとなれば、非常に大きい経済波及効果が見込まれるというのは、もう本当にそのとおりだと思います。
 そういう意味ではILC、ヒッグス粒子の解明とか、そういう基礎科学上の必要性というのが大きいし、科学研究施設としての建設、発展ということに意義があるわけですけれども、経済政策的にも日本にとって非常に意義があると。また、日本の経済が調子いいことは世界全体にとってもこれはいいことなわけですので、そういう大義もあるということが今回明らかになったのは大変いいことだと思います。

記者
 ありがとうございます。国の方では国会議員連盟、推進に関する議員連盟の方が自民党のさまざまな地方創生本部だとか、そういったところを加えた連絡協議会が今月にも設立ということで、課題として例えば予算の獲得であったり、その辺が今課題として挙がっているのですが、連絡協議会の期待、もしありましたらお願いいたします。

知事
 党の正式な機関もILCの建設推進運動に参加してもらえるというのは、これはILCをめぐる運動が一段高い次元に進んだことを意味すると言っていいと思います。そういう協議会の枠組みを生かしながら政府への要望、提案をさらに強力に展開できると思いますし、県としてもそういう中に入っていって参加して、一緒にILC実現に頑張っていきたいと思います。

記者
 ありがとうございます。最後にもう一点、波及効果のお話にちょっと戻るのですが、5兆という大きな額が示されたのですが、それが例えば県内でどれぐらいかというのはわからないのですが、県内でも波及効果がなければならないという言い方はおかしいですが、そのためには環境の整備であるとか、受け入れ体制だったり、会社の起業であるとか、そういった面の整備がかなり必要になると思うのですが、県としてその辺りどのように進めていきたいかお願いいたします。

知事
 ILCの経済効果ということの原理原則としては、それは日本全体に開かれているし、また世界全体にも開かれているという中で、やる気と能力のある主体が必要な仕事を請け負ったり、引き受けたりして、みんなで力を合わせて成功させましょうということだと思いますけれども、一方、岩手の企業の支援とか、岩手県民経済の経済振興、産業振興という観点からは、ILC関連ビジネスというのは一つ大きなチャンスになりますから、どういう仕事が出てくるのか、どういう技術が必要となっていくのかという勉強を岩手県内においてもしっかりやって、そこで仕事をしていくことができる人や企業を増やしていきたいと思います。

記者
 西日本豪雨が発生して以降、防災省の創設に関して、また議論が活発になっていって、先日も全国知事会議でも創設を求める提言がまとめられたと思うのですけれども、改めて防災省に関して知事の考えを伺いたいのと、あと、自民党内では復興庁の後継組織として防災省をという案も出ていると思うのですが、それに関してもご意見を伺いたいと思います。

知事
 日本は、世界全体の中でも災害が非常に多く、また大規模災害も時々起こる地域として、防災と、そして大規模災害からの復興ということを大きな国のテーマとして引き受け、かつ、困難を乗り越えながら国を発展させていく原動力にしていく必要があると思います。そういう意味で、災害と復興についてオールジャパンの経験というものが1カ所に集積されて、そしていざ海外も助けたり、手伝ったりしなければならないという時には迅速に対応できるような、日本としての国としての防災復興担当組織というものは必要だと思います。
 東日本大震災発災以降、ずっとそういうふうに思っていて、防災というのは外交についても防災外交、復興外交というのを日本外交の中心に据えることで、日本独自の形で地域や世界の平和の実現にも、そういう防災や復興という切り口から、日本は世界有数の力を発揮していくことができますし、そういう外交を進めていくためにも、文字どおり足元の日本国内できちんと災害に対応し、そして大規模災害からの復興を果たしていくような、そういう国としての責任を持つことができる組織というのは、やはり必要だと思います。北海道での全国知事会議でもその旨みんなで確認して、決議だったか、採択文書の中にも盛り込んだところであります。

記者
 ありがとうございます。復興庁の後継組織として防災省をつくったらどうかという意見に関してはどうでしょうか。

知事
 防災と復興に関するオールジャパンの経験を集積するところという意味では、今の復興庁を、そこは表現でしょうけれども、復興庁をもとにしてというか、核にしてというか、そういう考え方で悪くないのではないかと思います。

記者
 先日、大槌町で震災検証報告書の作成のために実施した職員80人の人への聞き取りの資料が残っていないことが判明いたしました。破棄したと見られるのが当時の震災検証室長で、(震災時)県の総合防災室長だった方かと思いますけれども、これについての知事の見解を教えていただけますでしょうか。

知事
 報道から知ったことではあるのですけれども、公表しないという前提で聞き取ったことを、録音しておいたり、紙に書いたりしてあったものを破棄したということですよね。なかなかほかに例がないというか、そういう決して自分以外には聞かせない、見せないという前提で話してもらって、その約束は守りますよということを直ちにそういうやり方はだめだとは言えないところもあるのだと思います。今問題になっているのは、そういう情報があるのであれば、自分も知りたいとか、あるいは取材した本人以外も知ることができるようにした方がいいのではないかという議論だと思うのですけれども、それはそれで気持ちは分かるわけでありまして、なぜあんなことになったのかということを納得したいという思いは地域の皆さんにあるし、また、あの時何があったのかというのをより深く知ることで、もう他の地域や将来への教訓にもなるだろうという、そういう思いから、知りたいという人たちもいるでしょう。個別具体的な大槌における東日本大震災津波の際の町役場の経験について、どうまとめ、伝えていくかということについては、それは常に役場としてそれは考えていかなければならないことだと思います。

記者
 私も日本ボクシング連盟の件でお尋ねします。先ほど事実関係が明らかになるのを期待するというお話でした。今後の推移を見守るということだと受け止めたのですけれども、いろんな思いがあって開いた希望郷いわて国体・いわて大会だった中で、こういった疑惑は、岩手の選手がその判定に関しては一方の当事者であったということもあるのですけれども、そういった国体の中でそういう疑惑が告発という形で浮上したことに対して、知事はどのように受け止めていらっしゃいますか。

知事
 日本ボクシング連盟の方が疑惑を完全否定するような回答をしていると、報道されているのですよね。それについては、告発状を出す側として、出す以上はやはりそれなりの根拠に基づいてそう告発しているのでしょうから、ここの事実関係はこうだとか、あるいは日本ボクシング連盟がこう言っているけれども、これについてはこうだみたいなやりとりをもうちょい見ないと、ちょっと事実は分からないのかなというふうに思っています。

記者
 確かにそのとおりだと思うのですけれども、あと一方で、岩手県民、我々としては、国体・大会のレガシーを持って、今いろんな復興に向けたり、地方創生に向けたり、取り組んでいる中で、こういったことが出てくるというのは、そのレガシーをけがされたというような印象も受けるのですが、知事自体はどのように受け止められますか。

知事
 さっきも(言ったように)スポーツというのは、社会的に非常に大事な分野で、そして競技ごとにそれを預かる形になっている競技団体というのは、社会的責任をしっかり果たしていかなければならないわけですから、そこが今、日本ボクシング連盟に問われているということだと思います。岩手県民も含めて、日本ボクシング連盟の外の人たちに対し、つまり対外的にきちんと信頼が回復されるよう努めていただきたいというふうに思います。

記者
 あと国体のことで言うと、その当時、開催直前に神奈川県の相模原市で痛ましい事件があって、共生社会ということも広く掲げて臨んだ大会でしたし、今度の東京オリンピック・パラリンピックも共生社会というのが一つのテーマになっていると思います。あの場合は、障害者施設での殺傷事件だったわけですけれども、今そうした中で共生社会という側面からすると、性的マイノリティー、LGBTに対して、自民党の国会議員が「生産性がない」と雑誌で投稿したのですけれども、これに対して知事はどのように受け止められますか。

知事
 それを全部読んだわけではないのですけれども、さまざま報道されているところから見るに、あまりに勉強不足なまま対外的に発言しているかなと。国会議員は全国民の代表なので、そういう安易な発信の仕方は止めてほしいなと思います。

記者
 何かの討論の中での発言というよりは、ある程度雑誌に掲載されるという形でちょっと伝え方が間違っていたとかでは済まないようなものだと思うのですけれども、もう少し慎重にというか、もともとそういう考えだという人にはどう言ってもその考えは変わらないのかもしれないのですけれども、どういうふうにあるべきなのでしょうか、政治家、国会議員としてという立場だと。

知事
 日本国憲法の下で個人の尊厳、そして基本的人権を守るというのを今の世の中でどう実現していくかという中で、LGBTのことについては広く理解を広めて、そして生きにくさということに直面しなくて済むようにそれぞれが生きやすいようにしていきましょうという方向で日本も、あと世界も動いていると思いますので、それを否定しようというのは、これは考え方が人それぞれとかという次元の問題ではない。日本国憲法にも反するし、人の道にも反する、とにかくそういう発言はあってはならないというふうに言ってもいいと思います。

記者
 私は、次期総合計画の関係でお伺いしますが、今、市町村長との意見交換もされているところだと思いますが、重要構想の中の一つに北上川流域産業生活革命ゾーンというのがあります。これから検討していくという話だと思うのですが、どういった構想を知事は今お考えなのかちょっとお聞かせください。

知事
 県の担当のところで議論されており、また、市町村長さんたちからも意見があったところで浮かび上がってくるのは、盛岡広域から一関に至るまで北上川流域というのを広く見て、そしてそこでまず直面する課題としては自動車や半導体関連産業で生産や雇用の著しい伸びが見込まれる中、人材を確保できるようにしていこうと。そして人材を確保するためにも産業面で第4次産業革命を牽引するような、そういう産業が発展するというだけではなく、生活面に関してもそういう生産の場にふさわしい21世紀型の新しい生活がここにはあるという、そういう地域づくりをしていこうということだと思います。

記者
 そうすると、北上川流域ですから、盛岡から一関辺りまでのそういった暮らしの面ですね、産業の面だけではなくて、そういったところにも県として力を入れて、今岩手県で言うと盛岡がやはり中心だと思いますけれども、それが北上川流域が中心というか、発展する地域というか、そういうふうなイメージなのでしょうか。

知事
 そうですね、かなり個人的なイメージでは、アメリカのシリコンバレーみたいになるということですね。これは、この間、東芝メモリの新生産拠点、工場という言葉を使っていないところが21世紀なのですが、新生産拠点起工式の際にウエスタンデジタル社の生産といいますか、技術といいますか、そちら担当の副社長の方がわざわざシリコンバレーからいらっしゃっていて、北上川流域がシリコンバレーみたいになればいいというような話を私がしたら、そうだ、そうだという感じで意気投合しまして、シリコンバレーは、ウエスタンデジタル社の副社長さんも言っていたのですが、大学というのが重要な役割を果たしていますので、大学の存在地として盛岡広域は重要です。
 また、私が最近聞き知ったことですけれども、シリコンバレーというのはサンフランシスコからちょっと南の方に離れたところにあるのですけれども、サンフランシスコのすぐ近くでもあって、シリコンバレーの方でずっと働いて、だんだんお金がたまってきた、あるいは給料が増えてきたような人がサンフランシスコに引っ越すのが増えてきたと。サンフランシスコからバスで通うみたいな、そういうのが増えてきたということで、そういうサンフランシスコの都市機能とシリコンバレーの研究、開発、生産機能というものは、これはセットで発展している、そういうイメージが盛岡広域から県南広域にかけての北上川流域のイメージにも合致するのではないかなと思います。

記者
 ありがとうございます。盛岡、県南ですね、そういったところが発展していくのはもちろん喜ばしいことなわけですけれども、市町村長との意見交換の中では、恐らく県北であるとか、沿岸から見れば地域の格差が拡大していくのではないかという懸念であるとか、もっと自分たちの地域もという意見もやはり出てくるのかなとは思うのですが、その辺は北上川流域からそっちにも波及していくという話なのか、その辺はどうお考えですか。

知事
 沿岸については、三陸防災復興プロジェクト(2019)で描き出そうとしている沿岸の復興の形、そして復興のその先にある沿岸の豊かな物産、観光地としても非常にすばらしい、交流人口の成長(拡大)にも期待できる、そういう沿岸なりの新しい産業と生活のあり方をオール沿岸として追求していくという形はできつつあると思っております。県北の沿岸地方は、そういう三陸防災復興新時代とでもいうような新しい形の中にもかちっと入っているのですけれども、二戸エリア、カシオペアエリアについては、そういう目玉になるようなプロジェクトというのがまだないから作ってほしいという趣旨の発言が二戸市長さんからあったと記憶しますけれども、二戸エリアは二戸エリアで北海道、北東北というエリアで見た場合、その中心に位置して、新幹線で北海道にもつながるし、青森や秋田とのつながりも深いし、そして縄文時代まで遡る世界遺産が見込まれる、そういう文化が九戸政実とか、相馬大作とか、そういう先人の活躍も経て現代に至っていて、1次産業や2次産業、そして観光などでも非常に独自の光を放っている。新幹線も通っていて、高速道路も通っている。二戸エリアでいくか、県北広域でいくかというところは、今後詰める必要があるかとは思いますが、いずれ県北でもう一つプロジェクトを打ち出していくことで岩手全体漏れなく将来のビジョンがプロジェクトの形で見えてくる、明らかにされるというふうに思います。

記者
 これからの話だと思うのですが、県北のもう一つのプロジェクトというのはどんなものをイメージされているのか、もうちょっとお考えあればお聞かせください。

知事
 岩手県は、東大総長をやられた小宮山宏さんが所掌((注)正しくは、「発起人代表」)するプラチナ社会のグループ自治体((注)正しくは、「プラチナ構想ネットワーク」)に参加して、プラチナ社会の勉強もいろいろしているのですけれども、その辺が使えるのではないかというふうにも思っています。

広聴広報課
 以上をもちまして記者会見を終わります。

 次の定例記者会見は8月10日(金曜日)の予定です。

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