平成30年11月2日知事会見記録

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平成30年11月2日10時00分から10時41分

知事
 まず、いわて☆はまらいん特使、村上弘明(むらかみ・ひろあき)さんが出演するPRポスターと動画についてです。岩手県のPR特使、いわて☆はまらいん特使の村上弘明さんですけれども、今週月曜日もテレビドラマで「浄土ヶ浜」とかやっていらっしゃいましたけれども、岩手の魅力をPRするポスターと動画を新たに制作しました。(ポスターが)張ってありますね。ご覧のように、原敬(はら・たかし)首相になっていただくものであります。11月9日から11月22日までの2週間、都営地下鉄全線で中吊り広告を行います。
 そして、PR動画も制作しておりますが、「偉人局」というタイトルで、偉人局という架空の組織、これが岩手県にあって、そこを原敬が来訪し、偉人局アシスタントと共に、現代の盛岡の街を巡るというものであります。村上弘明さんには、原敬さんのほか、偉人局主任など複数の人物を演じていただいています。奥州市出身で、希望郷いわて文化大使でもある及川拓郎(おいかわ・たくろう)さんに監督をしていただいています。また、偉人局アシスタントの役には、「夢みるアドレセンス」メンバーで一関市出身の志田友美(しだ・ゆうみ)さんですね、ラグビーワールドカップ2019™釜石開催の方の役(「スクラムいわてフィフティーン」のマネージャー)にも就いてもらっている志田友美さんですけれども、オール岩手のPR動画となっています。
 PR動画は、今日から「いわてとあなたが、つながるページ」のサイト、そしてYouTube(ユーチューブ)岩手県公式動画チャンネルで公開されます。
 もう一つの発表事項は、平成30年度岩手県総合防災訓練の実施と、併催されるみちのくアラート2018への参加についてです。11月9日と10日に、宮古市、山田町、岩泉町、田野畑村、そして宮古地区広域行政組合消防本部との共催で、平成30年度の岩手県総合防災訓練を行います。そして、この総合防災訓練は、自衛隊主催のみちのくアラート2018との併催となります。
 総合防災訓練は、東日本大震災津波、岩手・宮城内陸地震、そして平成28年台風第10号等の大規模災害の教訓を踏まえ、自助、共助、公助、それぞれの災害対応力の強化を図ることを目的とします。
 11月9日は、図上訓練で本部支援室の運用について訓練し、11月10日は、宮古市、山田町、岩泉町、田野畑村という広域において、地震、津波による災害及び内陸部の土砂災害が発生したことを想定し、県・市町村・防災関係機関が連携し、さまざまな訓練を実施します。
 特に11月10日においては、1つ、外国人など来訪者や福祉施設入所者の避難訓練、2つ、住民と連携した避難所運営や災害ボランティアの支援による避難所運営訓練、3つ、多数のヘリを使用した救出救助訓練、航空機医療搬送拠点SCU設置訓練、被害状況確認訓練などを実施します。
 みちのくアラート2018は、11月9日から11日の3日間において、各自治体と自衛隊間で調整の上、合意した訓練を実施するもので、情報収集・共有、捜索、人命救助、広域医療搬送、給水・給食支援、入浴支援、インフラ復旧などを実施するということです。
 このような訓練を通じて、防災関係機関の連携の強化、そして県民の防災意識の高揚を図っていきたいと思います。
 以上です。

広聴広報課
 以上で知事からの発表を終わります。

幹事社
 それでは、ただいまの発表事項2件について、各社から質問があればお願いします。

記者
 はまらいん特使、村上さんを起用してのPRについてお伺いします。首都圏での中吊り広告ということですけれども、どういった岩手というのをアピールしたいのか、もう少し詳しく知事のメッセージを教えていただけますか。

知事
 今年は、明治維新150年でもあり、その明治維新イコール戊辰戦争の年にそれを少年として経験し、後に総理大臣になって、戊辰戦争というのは政見の異同、政治的な立場の違いで戦ったので、官軍、賊軍の戦いではなかったという歴史観を発表し、そして初の本格的政党内閣を組織した平民宰相、原敬という人で、まずそういう明治150年の歴史の流れにも乗って、そして岩手もそういう明治日本の近代化の中で重要な役を果たしているし、そしてそれは今でも日本の民主主義の原点のような形で、今の日本全体にも関わっていることですよという、そういう歴史的な視点から見た岩手の存在感というのを、日本人共通の大事な歴史的人物である原敬という人を通じてアピールできればいいなというふうに思います。

記者
 原敬をはじめとした偉人の地元も訪ねてくださいねみたいなニュアンスも当然ありますよね。

知事
 そうですね。はい、あります。

記者
 架空の偉人局ということですけれども、確かに偉人はいっぱいいるので、架空ではなくて、本当につくりたいなみたいな思いもあったりしますか。

知事
 宮沢賢治さんの「グスコーブドリの伝記」には、火山局という架空の局が出てきて、今回は偉人局という架空の局でありますけれども、偉人局というのがなくても、教育の分野では先人教育というのが岩手では定着していると言っていいと思いますし、県民の皆さんも、そして県や、また市町村もそれぞれのやり方で岩手の先人を今の時代にどう生かしていくかということはやっているとは思うのですけれども、偉人局というアイデアに県民の皆さんがどう反応するかというのも見ながら、将来のことは考えていきたいと思います。

幹事社
 それでは、発表事項以外について、本日は記者クラブを代表しての幹事社質問の用意はありませんので、各社から質問があればお願いいたします。

記者
 先日、TPPの発効が12月30日に決まったというか、発効されるということになりました。関税の撤廃とか引き下げで自動車業界には追い風となる一方で、本県の基幹産業である農業分野というのは、安い農畜産品の輸入で競争が激しくなることが懸念されていますけれども、県としての対策をお聞かせください。

知事
 そのとおり、岩手の農林水産業をはじめ、県民生活や経済活動に大きな影響を及ぼすことが懸念されているので、国の責任において十分な対策を講じるよう、今までも求めてきましたし、引き続き求めていきたいと思います。
 農林水産業について、国が公表した影響分析でも、牛乳、乳製品や豚肉、牛肉などについて長期的な国内産価格の下落が懸念されていますし、県の試算でも生産額の減少という結果を公表しているところでもありますので、国においてはまず十分な情報提供、そして万全な対策を講じるよう求めていきたいと思います。

記者
 県としては、具体的に何か対策を打つという状況はあるでしょうか。

知事
 平成29年度の2月補正予算と、あとは今年度、平成30年度の当初予算で、TPP11(イレブン)も見据えた農林水産業の体質強化に向けてということで、畜産の経営規模拡大や水田の大区画化など、総額約108億円を措置しているところでありまして、そういった農林産業の基盤強化ということは県としてもやっていきたいと思います。

記者
 先日、大船渡の小正月行事のスネカがユネスコの無形文化遺産に登録される見通しとなりました。これに対して受け止めをお願いいたします。

知事
 大変良かったと思います。大変珍しい行事で、特徴があると思いますし、一方で秋田のなまはげに似ているのではないかとか、あと、そういう神様がやってきてどうのこうのというのは広く世界にもあるのではないかという、そういう普遍性についても指摘されていたものでありまして、そういったユニークさ、普遍性、両方相まったところをユネスコに認めてもらって、ユネスコ無形文化遺産になるということは、非常に良いことだと思います。今以上に大船渡のスネカ、吉浜のスネカということで、全国的にも知られ、海外にも知られ、そしてそれをきっかけに岩手を訪れる人が増えれば大変いいなというふうに期待しています。

記者
 ありがとうございます。一方で、現地の人からは担い手不足ですとか、そういった懸念の声も上がるところですし、全国では、今なまはげの話が出ましたけれども、それが地域の外の観光客ですとか、そういった方から児童虐待だと言われたり、あとは宮古島の伝統文化、泥を塗るようなやつも、観光客からクレームが来たり、観光と伝統の共存というか、バランスをどのように持っていけばいいものかなと思うのですが、その辺りいかがでしょうか。

知事
 ネパールに昔、学生時代というか、卒業旅行でネパールに行った時、ホーリー祭に遭遇し、赤色の染料をばんばん、ばんばん掛けられ、水も掛けられ、真っ赤になってホテルに帰ったことを思い出しますけれども、いろんなお祭りや行事というのがその土地、その土地にあって、いいところは守っていこうというのは世界共通の思いであり、そういう中でユネスコの無形文化遺産という制度もあるのでありましょうから、まずユネスコ無形文化遺産という制度のもとで、保存、活用ということが地元としても取り組んでいかなければならないようになると思いますし、平泉や橋野鉄鉱山、そういった世界遺産と同様に。あとは、広く内外にお祭りの内容が知られることによって、よく知らなかった人からも、ああ、そういう趣旨でそういうことをやっているのかと認められるようになればいいなというふうに思います。

記者
 今週、宮城県が導入を視野に議論を始めた宿泊税についてお伺いしたいのですけれども、観光財源を確保するために、ホテルや旅館の宿泊客から徴収するものでして、宮城県は特に復興予算を含む国の予算が先細ることを懸念して、2021年の導入、まだ視野の段階なのですけれども、見据えているのですけれども、一概に比較はできないと思うのですけれども、同じ被災県で観光に力を入れる岩手県として、今宿泊税というものをどういうふうに捉えているか、知事のお考えを教えてください。

知事
 東日本大震災からの復興の中でも、観光振興が復興の力として非常に大きな柱であるということ、岩手もそう考えていますし、また、国全体がインバウンドを増やそうということを打ち出しながら、観光は21世紀の主力産業だから日本全体観光産業を振興しようという中で、東北に対し、そういう復興の趣旨から、また、観光振興、特にインバウンド振興の趣旨から、さまざまな国の支援を今いただいていて、ただそれがもうすぐ予定されていた期限が終わりを迎えるという中でのご判断なのかなというふうに思いますけれども、まずは岩手として正式な方針を既に決定しているわけではないのですけれども、私個人の考え方としては、もう少し国による支援を、復興という趣旨からも、そしてインバウンド、観光振興という趣旨からも、続けてほしいという思いです。復興はまだ道半ばでありますし、また、日本全体の中で東北がインバウンド振興についてまだまだ遅れている、後ろの方からついていっているような状況は変わっていないと思いますし、また、地方創生の視点からも観光振興が大事で、東京一極集中の影響を特に強く受ける東北地方としては、やはり観光振興的なところでの日本の他の地域以上の支援を国に求めたいというふうに思います。

記者
 今もう少し国の支援をいただきたいということなのですけれども、やはり2020年というのは国の予算的な意味でも、復興五輪が開かれるという意味でも、一つ東北の観光にとって大きな節目になるのは間違いないのかなと思うのですけれども、2020年が終わった後に、そうするといつくらいまで観光振興に対する東北への支援というのをいただきたいというふうにお考えでしょうか。

知事
 公による民間への支援は、公が支援しなくても自立的に成長、発展できる、羽ばたくことができるところまでは支援するというのが基本的な考え方だと思います。昨日、山形市内で開かれたわきたつ東北戦略会議で、東京オリンピック・パラリンピックの期間を利用した東北からの情報発信ということも議論したのですけれども、その時も発言したのですが、東京オリンピック・パラリンピックの機会に、東京と東北の特別な関係、東北は歴史的に東京、首都圏に対して人材、食料、そしてエネルギーの供給基地であったし、東京一極集中、そして地方の人口減少の中で、特に東北から東京への人口移動が多かった。東京には東北出身者やその子孫が大勢いると。そういう東京と東北の特別な関係というのを国内、国外に対してより深く理解してもらって、東京オリンピック・パラリンピックが終わった後も東京の中に常に東北に対する関心の高さ、東京にいる人たちや東京を訪れた人たちが東北にも行こうというような、いわば北に向かう強い磁場を東京に埋め込むような、そういうことが東京オリンピック・パラリンピックを契機に実現できれば、公の補助に頼らずに東北の観光というのが羽ばたいていくことができるようになると期待します。

記者
 最後1点、ちょっと順番があべこべになってしまったかもしれないのですけれども、そもそも宿泊税そのものについてなのですけれども、導入した場合は、もちろん宿泊業を営んでいる方々にとっては客足が遠のいてしまうのではないかという不安、デメリットもあるかと思うのですけれども、そもそも財源確保としての宿泊税というものについて、知事としては賛成的なのか、それとも否定的に受け止めているのか、その辺りの受け止め、最後に教えてください。

知事
 岩手県として正式に決めているわけではないのですが、少なくとも来年度予算に向けて検討していないということで、視野には入れておりません。

記者
 大きく2点お尋ねします。1つは、ILC(国際リニアコライダー)についてです。先日、ドイツ(連邦議会)議員のカウフマンさんが(建設候補地の)現場をご覧になりました。その場では、岩手の皆さん、安心してくださいというお言葉もおっしゃっています。これに先立って意見交換を知事はされておりますが、その時の手応え、どのようなやりとりがあったかも含めて、手応えを教えていただけますか。

知事
 カウフマン議員は今ヨーロッパにあるCERN(セルン(欧州原子核研究機構))や素粒子物理研究加速器科学の動向についてよくご存じで、そしてILCについてもよくご存じだなというふうに思いました。私からは、建設想定地域として、まず地元の人たちがILCを理解することが大事だという考えから、岩手県としては関係市町村、また、民間、さまざまな主体と共に、このILCについて学ぶことを進めていて、県立大学の鈴木学長さんも同席されていましたので、鈴木学長には何度も何度も講演をしてもらっているし、また、奥州市や一関市では就学前の子どもからお年寄りの老人クラブの活動に至るまで、子どもからお年寄りまでILCについて学び、物理学全般について学んでいるということをいろんな例も挙げながら伝えました。カウフマン議員は、それには大変感銘を受けて、すばらしいことだというふうに感心してくれていました。

記者
 ありがとうございます。その場で予算的なこと、経済的なことのお話も多くありましたでしょうか。

知事
 地元の人たちとの懇談ということで、その話は出なかったと記憶します。

記者
 わかりました。ありがとうございます。2点目は、のんさんについてです。お米のイベントで、知事は東京で、いわば共演のような形で行われましたけれども、新米のPRで活躍して、大変協力してくれたイメージがあります。少し言葉が悪いのですけれども、広告塔としての役割、効果というのは、知事どのようにお考えでしょうか。

知事
 のんさんは、成り切るということがとても上手な人で、金色(こんじき)の風と銀河のしずくについても、そのお米に成り切る、これはお米を食べて得られる体験や、また、そのお米にまつわるさまざまなイメージという、そういうのを含めて成り切るということが、今回のキャンペーンでも大変うまくいっていると思います。それが金色の風、銀河のしずくというネーミングや、それぞれのロゴデザインともうまくかみ合って、全体として非常にまとまりがあり、ストーリー性もあるような形で金色の風、銀河のしずくをツートップとする岩手のお米の全国に対する宣伝として、非常に良い感じにキャンペーンできているなというふうに感じています。

記者
 今後期待される役割というのは、岩手県としてどのようにお考えでしょうか。

知事
 今回もネーミングに関わる人だったり、ロゴデザインに関わる人だったり、また、いろんなキャンペーンのイベントを考える人とか、そもそもお米の生産者や販売に携わる人とか、そういうチームの中に入ってもらって、昨シーズンからそうなわけですけれども、大変うまくいっていますので、今年のキャンペーンはまだ始まったばかりなのですけれども、こういういい感じが続いてほしいなというふうには思っています。

記者
 ILCに関連してなのですけれども、先日、北海道東北地方知事会議でも決議がなされまして、その中で知事もおっしゃいましたけれども、年内というスケジュール感があると思うのですけれども、実際11月になる中で、これからどういう、政府に対して要望とか、戦略的な訴えとかがあったら教えてほしいのですけれども。

知事
 おととい成立した北海道東北地方知事会としての決議、これを政府・与党の方に持っていくということをできるだけ早くしなければと思っています。できるだけ早くという要請と、どのくらい関係者の日程が合うかという調整を今やっているところでありまして、そういう形で政府の決定ということに至る流れを加速していきたいというふうに思います。

記者
 他県の知事からも賛成の発言が現場ではありましたけれども、実際知事は皆様とお話しされてどういう、やっぱり決議の意味があったと感じましたか。

知事
 東北全体、さらに北海道も含めて東日本全体を大きく活性化するものになるし、また、オールジャパンで考えても、そういう施設はやっぱり日本に必要だというような理解がどんどん深まっていると思いますし、また、北海道東北地方知事会議で、今まで話題になったりはしても、特別な単独での決議という形は今までやったことがなかったのですが、やはり今回はした方がいい、しなければならないという、そういう認識が共通したなというふうに思います。

記者
 別件でもう一点お聞きしたいのですけれども、先日、県北の市町村で自動車専用道路を内陸から沿岸部まで通したいという期成同盟会が設立されたのですけれども、その中で他地域に比べてインフラとか、産業集積の格差というか、そういう声もありましたけれども、この構想について知事はどう思われるかお聞かせください。

知事
 道路は、地域振興において非常に重要な役割を果たしますし、生活のために、また、産業のために、そしていざという時の命の道としても大変重要ですので、それぞれ地域ごとに、あるいは市町村ごとにあるべき道路の姿、必要な道路のあり方というのを自分たちで考え、そして議論したり、それを訴えたりということは非常に大事なことだと思います。
 県としても、将来の岩手の道路のあり方というのは常に検討し、そして年度ごとに具体的な事業として提案して、議会の議決をいただいて、実行に移しているわけでありますけれども、今後においても地域からの、地元からの声というものも受け止めながら、県として岩手における道路のあり方を判断して、実行に移していきたいというふうに思います。
 あとは、高規格道路、高速道路とか、国の直轄事業で行うようなものも大事でありますので、そういったものについては話がまとまれば、県と市町村一体となって、国に要望していくというようなことも大事だというふうに思います。

記者
 先日、KYBとそのグループで、免震・制震装置のいわゆるオイルダンパーのデータ改ざん問題が全国的に問題になりました。岩手県でも、発表ですと6件あって、3件のうち1件は県有施設であるアイーナであることと、あとほかも、盛岡市にしろ、陸前高田にしろ、防災施設でそういうものが見つかったのですけれども、知事の受け止め、あるいは今後等についてどう対応されるか、もしあれば教えてください。

知事
 そもそも建築物の安全性の根幹に関わるものであり、建築物の安全安心への信頼を揺るがすことでありますので、大変遺憾に思います。県としては、建築基準法に基づき、特定行政庁として指導する立場にありますので、事実確認のために不適合ダンパー製造者に対して速やかな報告を求め、不適合等が認められた場合、是正措置を要請していくわけでありますけれども、報道発表はありましたが、KYBに県から問い合わせを続けているところでありますけれども、現在までに詳細についての返答はない状況でありまして、早急に事実確認を行いたいというところであります。

記者
 ありがとうございます。今お話にあるように、恐らく会社側も対応が後手後手で、いろんなそれぞれの施設所有者に向けての対応への説明等は少し時間がかかりそうなのですけれども、長期化も視野に据えて、県としては今言った早く事実確認をすると、それを受けての対応という、次の手というか、対応になるというふうに捉えていいでしょうか。

知事
 違反建築物の是正を行うその期限については、特に定められてはいないのですけれども、やはり製造者に対して早期対応というものを促していきたいと思います。

記者
 ありがとうございます。もう一件、別にお尋ねします。内陸の災害公営住宅のことについてお聞きします。先月までに盛岡市に整備が進んでいた備後第1のアパートに関しては、50戸全部鍵の引き渡しが完了しました。もう一件、建設が予定されている南青山アパートに関してなのですが、先日、県からの説明と意見交換等の席で、完成時期が1年延伸されて、入居の予定が現時点ですと2021年2月になるということで、あと2年数カ月となりました。出席した方からは、まず時間をかけてもいいものができればいいというふうな形で、積極的な姿勢だったり、事前にもっとコミュニティをみんなで顔を合わせてやっていこうと前向きな意見もありました。ただ一方で、118戸造る中で、全体の出席が40人程度だったのですが、懸念されるのは残りの希望者でどういう気持ちでいたかというのがまだ分からないのですが、まずその完成時期が1年延伸したことについてのご見解をお聞かせください。

知事
 既に家がたくさん建っている地域でもありますので、新しい災害公営住宅の出入りに関する道路、その周辺の道路のありようについて、やはりそこも含めて整備することで、長きにわたって安心して安全に生活できる住宅というものが確保できますので、そのために時間がかかるという部分については申しわけない思いもあるのですけれども、ぜひご理解いただいて、今後の生活再建の拠点として活用していただきたいというふうに思います。

記者
 ありがとうございます。もしちょっと延びることで待てないという方に関しては、ほかの災害公営住宅の、空き室という言い方が適切なのかどうかわからないのですけれども、そういった対応もされると聞いているのですが、どうしても延びてしまって生活設計が立たないという方とか、自営業の方なんかは特に前年の所得によって、所得要件で入居できなくなる可能性とかというのがあって、やっぱり不安は多いと思うのです。その辺りは、相談支援センター等もあるので、そういった形で相談に対して丁寧に対応すると。あるいは県からのご説明もありましたけれども、相談会や説明会は随時進捗状況について説明する場を設けるとおっしゃっていましたけれども、そういう対応をしていくというふうに捉えてよろしいでしょうか。

知事
 そのとおりです。1世帯1世帯、また、一人一人の復興、その中での生活再建のための災害公営住宅建設なわけですから、あくまで生活再建のために新たな課題が生じるとか、何か必要なことがあるとかという場合には、きめ細かに相談に応じていかなければならないと考えます。

記者
 ILCの件で、先ほどと若干かぶる部分もあるかと思うのですけれども、先々週、CERNを見られたところの感想をまた改めて一ついただきたいのと、あと、先日のドイツ(連邦議会)の議員の視察を受け入れたことも踏まえてなのですけれども、政府への要望といったところについては、そういったこれら2つのもろもろの視察と受け入れ含めて、どういったところを政府への訴えの参考にしていきたいなというふうに感じましたか。

知事
 政府・与党を訪問した時の話の流れにもよるのではありますけれども、私がCERNを今回訪問して改めて思ったのは、CERNにあるLHC(大型ハドロン衝突型加速器)という今の最新型の円形の大型加速器での研究に従事している研究者の皆さんも、大いにILCに期待をしていて、陽子と反陽子、大き目の粒子をぶつけ合うCERNの実験と、電子と陽電子というちっちゃい素粒子同士をぶつけるILCの実験は、その両方があって、補い合ってヒッグス粒子の謎を解く、それによって物質とエネルギーの本質により迫っていく、宇宙の成り立ちについての理解を深めるということができるようになるということで、やはりLHCだけでは足りないということを、LHCで研究を続けようとしている人たちも考えているということは機会があれば伝えたいと思います。
 もう一つ改めて感じたことは、基礎科学に関する国際研究というのが平和の礎になるということです。今回改めてCERNで一番最初に造られた加速器、この部屋(記者会見場)に入るくらいの大きさだと思い出しますけれども、サイクロトロンというちっちゃい加速器ですよね。そこからCERNを立ち上げて発展させてきた人たちの思いについても聞く機会があって、第2次大戦の荒廃の中で、特にヨーロッパが荒廃した中、激しく戦ったドイツ、フランスが力を合わせ、さらに広くヨーロッパが力を合わせて、そして共通の基礎科学研究をするということで平和をヨーロッパに、さらに世界にという、そういう志があって発展してきたと。今のアジア情勢とか、そして国際情勢を考えた時に、やはり日本にそういう基礎科学に関する大型の国際研究の施設を造るということがアジアの平和、世界の平和に対しても非常に意義があるということも機会があれば伝えたいと思います。

記者
 別件でまたもう一つ恐縮なのですけれども、障がい者雇用についてなのですけれども、岩手県でも(採用選考に関して)不適切な条件を付けていたという事案があったというふうに一部報道であったと思うのですけれども、所感と今後対策をどのようにしていきたいかお聞かせください。

知事
 障がいのある人もない人も共に生きる共生社会の実現というためには、障がいのある人に対してありのままの姿をお互い認め合うということが入り口であって、通勤に自力ではなくて家族が運転する車に乗せてもらうとか、それも当然ありなわけでありますし、そういったことも否定してしまうかのように見える言葉を(職員)募集のところに掲げていたというのは、これは全く不適切なことだったと思います。早急に改めて、共に生きる共生社会ということを、まず「隗より始めよ。」といいますか、県組織としても進めていきたい、いかなければならないというふうに考えます。

広聴広報課
 以上をもちまして記者会見を終わります。
 

 次の定例記者会見は11月8日(木曜日)の予定です。

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