平成31年2月6日知事会見記録

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開催日時

平成31年2月6日15時30分から16時20分

会見記録

広聴広報課
 ただいまから記者会見を行います。最初に、知事から発表があります。それでは、知事お願いいたします。

知事
 ではまず、平成31年度当初予算案「新時代スタートダッシュ予算」について説明します。A4横長の資料「平成31(2019)年度岩手県一般会計当初予算のポイント」の1ページ、「平成31(2019)年度当初予算案(一般会計)の状況」をご覧ください。平成31年度当初予算は、今般、最終案を取りまとめ、平成31年2月県議会定例会に提案予定としております「いわて県民計画(2019~2028)」のもと、岩手の未来を切り拓くため、目標に向かってスタートダッシュする予算として編成しました。
 具体的には、東日本大震災津波からの復興と平成28年台風第10号災害からの復旧・復興に最優先で取り組むほか、健康づくりや結婚・家庭・子育ての環境づくりなど保健・医療・福祉の充実、自動車・半導体関連産業の集積や県内への就業の促進、農林水産業の生産性の向上などの産業振興、移住・定住の促進などのふるさと振興、そして、社会基盤の整備・強化などの取組を推進していきます。
 また、三陸防災復興プロジェクト2019やラグビーワールドカップ2019TMなど、東日本大震災津波の教訓や復興の姿を国内外に発信する取組や、「新しい時代を切り拓くプロジェクト」の取組を推進していきます。
 さらに、中期財政見通しや公債費負担適正化計画を踏まえ、財政健全化にも配慮したところであります。
 予算の規模は9,355億円で、この予算規模は、平成30年度当初予算に比較して約178億円、率にして1.9%の減となります。
 具体的な歳入・歳出の状況については2ページ目となります。まず、歳入の状況については、震災分は、復旧・復興事業の進捗に伴い、震災復興特別交付税や基金からの繰入金等が減少しています。通常分は、県税収入の増加を見込んでいますが、県債は平成28年台風第10号災害対応事業費の減等により、合計で減少となっています。
 次に、歳出の状況についてですが、震災分は、事業の進捗により、漁港災害復旧事業費が増加する一方、道路や災害公営住宅の整備などの減少により、前年度と比較して約155億円、率にして5.4%の減少となります。通常分は、公共事業のプラスシーリングや、国土強靱化緊急対策などによる普通建設事業費や社会保障関係費などの補助費が増額となった一方、公債費の減等により、前年度と比較して約24億円、率にして0.4%の減となっています。
 次に、3ページ目、平成31年度、2019年度における取組の概要についてですが、「いわて県民計画(2019~2028)」においても、東日本大震災津波からの復興を県政の最重要課題として位置付け、復興に向けた取組を着実に進めていきます。
 「安全の確保」では、災害に強い安全な多重防災型まちづくりの実現に向け、水門・陸こう自動閉鎖システムを備えた防潮堤等の海岸保全施設の整備や、市町村が行うまちづくりの支援、防災文化の醸成、災害に強い交通ネットワークの構築などに取り組みます。
 「暮らしの再建」では、お互いに支え合い、安心して心豊かに暮らせる生活環境の実現に向け、災害公営住宅の整備に取り組みます。また、要介護高齢者や障がい者などの皆さんが安心して日常生活を送ることができる環境づくりや、こころのケア活動、生活再建先におけるコミュニティの形成支援などに取り組みます。
 「なりわいの再生」については、地域のなりわいの再生と経済の回復に向け、漁業就業者等の担い手の確保・育成や、農林水産物の販路拡大、新たなまちづくりと連動した商業機能の再生や魅力ある観光地づくりの推進などに取り組みます。
 そして、新たな柱となる「未来のための伝承・発信」では、東日本大震災津波の事実・教訓の伝承のため、「いわて震災津波アーカイブ~希望~」の活用を促進します。また、東日本大震災津波伝承館の整備や三陸防災復興プロジェクト2019の開催など、東日本大震災津波の記憶と教訓を伝え、世界の防災力向上に貢献する取組を進めます。
 次に、4ページ目、いわて県民計画(2019~2028)に掲げる「10の政策分野」に基づく主な取組ですが、まず「健康・余暇」分野では、周産期医療対策の整備や生活困窮者、引きこもり者の自立支援など、地域の保健医療体制の充実、福祉コミュニティづくりに向けた取組のほか、文化芸術活動やスポーツ活動、生涯学習の充実に取り組みます。
 「家族・子育て」分野では、結婚、出産、子育ての支援や地域全体で子どもたちを育む環境づくり、働き方改革の推進など仕事と生活を両立できる環境づくりに取り組みます。
 「教育」分野では、児童生徒の知・徳・体を育む取組に加え、グローバル化や第4次産業革命技術の進展に対応できる能力の育成、ものづくり産業や農林水産業など地域に貢献する人材の育成などに取り組みます。
 5ページ目に進みますが、「居住環境・コミュニティ」分野では、鉄道や路線バスなど地域の暮らしを支える公共交通の確保や、地域コミュニティの活性化、岩手への移住・定住の促進などに取り組みます。
 「安全」分野では、自主防災組織の組織化・活性化など防災体制の構築や、特殊詐欺被害予防や交通安全など安全・安心に暮らせるまちづくり、食の安全・安心の確保などに取り組みます。
 「仕事・収入」分野では、地域経済を支える中小企業の振興や、ものづくり産業の一層の集積、地域資源を生かした産業の魅力向上、観光産業の総合産業化、農林水産業の持続的な発展などに取り組みます。
 6ページ目に行きますが、「歴史・文化」分野では、御所野遺跡の世界遺産への新規登録に向けた取組や、平泉の文化遺産を総合的に案内するガイダンス施設の整備などに取り組みます。
 「自然環境」分野では、希少野生動物の保護など、多様ですぐれた環境を守り、次世代に引き継ぐ取組や、再生可能エネルギーの導入促進など地球温暖化防止に取り組みます。
 「社会基盤」分野では、ICTやデータを利活用できる人材育成や、洪水・土砂災害の防止・軽減を図るための取組、社会資本を良好に維持管理し次世代に引き継ぐための取組など、ハードとソフトが一体となった取組を進めます。
 そして、「参画」分野では、女性や若者、高齢者の活躍の支援、幅広い市民活動や県民運動を促進するためのNPOの運営基盤の強化など、多様な主体の参画・連携・協働の推進に取り組みます。
 そして、7ページ目、「新しい時代を切り拓くプロジェクト」の推進に向けた主な取組ですが、平成31年度、2019年度には、国際リニアコライダー、ILCの実現に向け、受け入れ環境の整備や国内外への情報発信に取り組みます。
 「北上川流域」、「三陸沿岸地域」、「北いわて」の県内各地域を対象としたゾーンプロジェクトでは、第4次産業革命技術の産業・生活分野への導入や、地域資源を生かした産業振興、移住・定住の促進、新たな交通ネットワークや観光資源を生かした交流人口の拡大などに取り組みます。
 「活力ある小集落実現プロジェクト」では、先端技術の活用による生活サービスの向上や、地域運営組織の育成などに取り組みます。
 「人交密度向上プロジェクト」では、東日本大震災津波による復興支援を契機とした国内外の多様な主体との交流機会を生かし、関係人口の質的・量的な拡大などに取り組みます。
 このほか、第4次産業革命技術を活用した農林水産業の高度化に向けた取組、健康・医療・介護のデータを活用した健康増進の取組、小学校から高校までの学力等に関する連結データの整備・分析に向けた取組、水素の利活用の推進に向けた取組、文化芸術やスポーツに日常的に親しむことができる環境づくりに向けた取組など、長期的な視点からプロジェクトの実現に取り組みます。
 広域振興圏の取組としては、県北・沿岸圏域の地域資源を活用した取組をはじめ、各圏域の特性や資源を生かした特色ある取組を展開します。
 三陸防災復興プロジェクト2019・ラグビーワールドカップ2019TMの成功に向けた取組としては、復興に力強く取り組んでいる地域の姿を発信し、東日本大震災津波の風化を防ぐとともに、記憶と教訓を伝え、国内外の防災力向上に貢献する取組を進めます。また、プロジェクトの開催を契機に、三陸地域への関心や認知度を高め、新しい三陸の創造につなげていくための取組を進めます。
 そして、9月、いよいよラグビーワールドカップ2019TM日本大会が開幕しますが、釜石市と連携し、国内外から訪れる多くの皆さんの受け入れ態勢の整備を進め、この機会を活用して三陸地域への新しい人の流れを創出し、地域経済の好循環につなげていく取組を進めます。
 次に、8ページ目、ふるさと振興の推進に向けた主な取組ですが、平成31年度、2019年度も総合戦略に掲げた3つの施策推進目標であります、社会減ゼロ、出生率の向上及び国民所得に対する県民所得水準のかい離縮小の達成に向け、引き続き、県の総力を挙げてふるさと振興に取り組みます。
 具体的な取組としては、「岩手で働く」では、第4次産業革命技術等を活用した「ものづくり革新」の取組や、県内中小企業等とのマッチング支援などによる若者やU・Iターン希望者の県内就業の促進、産業界等と連携した働き方改革の促進などに取り組みます。
 「岩手で育てる」では、“いきいき岩手”結婚サポートセンター「i―サポ」の運営による結婚支援や地域で妊産婦を支える体制の構築、子育てしながら働きやすい労働環境の整備などに取り組みます。
 「岩手で暮らす」では、若者や女性、高齢者の活躍支援や、ものづくり産業人材、文化芸術・スポーツを担う人材の育成など、ふるさとの未来を担う人づくりなどに取り組みます。

 続いて、平成31年度の組織・職員体制の概要について発表します。まず、東日本大震災津波からの復興に係る体制については、事業の進捗状況等に応じ、合計で263人の職員定数を配置します。復興局について、まちづくり再生課と産業再生課を統合して、まちづくり・産業再生課を設置し、東日本大震災津波伝承館の開設、運営に必要な体制構築を図るため、震災津波伝承課を設置します。
 平成28年台風第10号災害からの復旧・復興に係る体制については、地域振興室の岩泉町駐在職員を継続配置するほか、これまでに実施した災害復旧事業等を担う土木技術職等の増員による体制強化を継続します。
 次に、現在策定中のいわて県民計画(2019~2028)の推進等に向けた体制整備のうち、主なものとして、行政経営プランの全庁的な推進に向けた体制強化を図るため、総務部に行政経営推進課を設置するほか、大学との連携強化等のため、県立大学業務、私学振興業務、大学連携業務等を集約し、政策地域部に学事振興課を設置します。
 また、政策地域部にILC推進業務に特化した専担組織としてILC推進室を設置するとともに、情報政策と科学技術振興を一体的に推進する科学・情報政策室を設置します。
 県内就職の促進に向けて、移住・定住業務を雇用対策・労働室に移管の上、室名を定住推進・雇用労働室に変更し、U・Iターン業務との一体的な推進体制を構築します。
 そのほか、資料に記載のとおり、農業普及技術課への農業革新支援課長の配置、文化振興課への世界遺産課長の配置、若者女性協働推進室への連携協働課長の配置などの体制整備を行うとともに、児童虐待相談体制の強化を図るため職員を増員します。
 次に、職員体制について、平成31年度当初における知事部局の職員数は、復旧・復興事業の進捗状況を踏まえて他県応援職員の要請数が減少すること等により、平成30年度当初から20人程度減少し、4,430人程度となる見込みです。マンパワーの確保に向けて、任期付職員の採用や全国の都道府県等に対する職員の派遣要請を進めているところであり、引き続き、復旧・復興事業やさまざまな県政課題に適切に対応できる体制を構築していきます。

広聴広報課
 以上で知事からの発表を終わります。

幹事社
 それでは、ただいまの発表事項2件について、各社から質問があればお願いします。

記者
 予算についてお伺いします。今回の予算は、総合計画の初年度となる予算になります。新時代スタートダッシュ予算ということですが、知事として特にもどういった点に意を砕いた予算となったかという点、お聞かせください。

知事
 引き続き復興に取り組むということで、東日本大震災津波からの復興と平成28年台風第10号災害からの復旧・復興に必要な予算を措置したことと、「いわて県民計画(2019~2028)」のスタートダッシュに当たりますので、その10の政策分野、そしてプロジェクトについての予算を確保したというところがポイントであります。

記者
 今総合計画のお話もありましたが、その総合計画の基本目標は、幸福を守り育てるとあります。その総合計画の理念を反映した予算になっていると思いますが、今回、幸福という考え方は予算のどういった点に反映されたとお考えでしょうか。

知事
 「いわて県民計画(2019~2028)」にあるように、東日本大震災の経験に基づき、復興に引き続き取り組みながら、お互いの幸福を守り育てる希望郷いわてを実現していくための10の政策分野という政策体系があり、プラス、ILCから3つのゾーンプロジェクトなども含むプロジェクトがありますので、その計画の中身をしっかり推進していくことが基本目標であるお互いの幸福を守り育てるというところにつながりますので、そういう意味では、体系性をきちんと実現、形にしていくというところが幸福ということについてはポイントと考えます。

記者
 また、震災の関係ですが、今回、震災復興と台風を最優先でということになっています。新たに伝承・発信という柱が加わりました。震災から間もなく8年で、その復興のステージというのも徐々に変化してきていると思うのですが、今回は復興関係の予算ではどういった点、工夫された点になるのでしょうか。

知事
 丸8年経過し、9年目、10年目となっていくに当たって、改めて風化させないということと、全国的な、さらには海外にも広がる関心を高めて、そして今必要な支援をしていただけるように、地元の底力を発揮して頑張っていくというのもあるのですけれども、やはりオールジャパンでの復興であり、世界に開かれた復興でありますから、それがしぼんでしまうことなく、むしろラストスパートに向かうといいましょうか、力強く進んでいくためのさまざまな事業というところがポイントだと思います。

記者
 先ほどの質問ともかぶるのですけれども、8年目ということで、今回震災分の予算としては155億円減っています。前年度比で178億円減っていて、そのうちの震災分が155億円ということで、その減った分の大部分は震災分が占めているのですけれども、これはハード整備が進んできた中で、今後県としてはソフト面での施策の方に重点を移していくとか、重視していく、そういうお考えというのは表れているのでしょうか。

知事
 やらなければならないことをやるということで、数字は所要の額でありますから、幾ら使わなければならないとか、幾ら以上使わなければならないとかという発想は全くなく予算編成をしていますので、復興に必要な事業、ハード事業と、それからソフト事業、また、なりわいの再生、安全の確保、暮らしの再建に伝承というのを加えてという中でこういう数字になったというところであります。
 ソフトの重要性というのは、コミュニティづくり支援でありますとか、仮設住宅生活が長期化する中で、仮設住宅に住んでいる皆さんのこころと体のケアでありますとか、また、こころのケアについては学校現場など、震災から年月が経つことで、また新たなニーズが増えているというところもありますので、そういったことにきちっと対応するというところが大事です。

記者
 関連してなのですけれども、今回、震災分を除くと6,661億円ということで、徐々に下がっているというか、自由度が低くなってきているのかなと思うのですけれども、改めて予算規模が減少していく中で、これから集中と選択みたいな部分が必要だと思うのですけれども、知事として今後はどういう部分に集中していくことが必要だと思われるか、教えてください。

知事
 必要なことはやりますので、たとえ対象になる人が少なくても、例えば、仮設住宅生活をしている皆さんの数は着実に減っていってはいるのですけれども、しかし長期化する中で、少数のそういう方々が少数であるがゆえにかえっていろいろ苦労するというケースもありましょうから、そういう意味では集中と選択とか、特に復興については集中と選択という発想ではなくて、気がついていないような課題はないかとか、きちんと対応されていない困っている人たちはいないかみたいな、そういう誰一人取り残さないという視点で事業を組み立て、予算を編成するというふうにしてつくったと思っています。

記者
 震災以外の通常分、ふるさと振興、人口減とか、そういう部分に対しては今後はどう考えられるか、同じ質問ですけれども。

知事
 国のまち・ひと・しごと創生関連の法律やビジョンや総合戦略を踏まえつつ、県でも策定したビジョンや総合戦略に沿って進めていくというのがあるのですけれども、一方、「いわて県民計画(2019~2028)」、今後10年の県の計画においても人口減少対策というのは重要でありますので、そういう視点からさまざま強化すべき施策とか、力を入れていくべきところとかというのを改めて考えながら、人口減少対策的なところを組み立てています。その中には、プロジェクトですよね、プロジェクトの3つのゾーンプロジェクトについては、これはかなりすぐにでも手を打っていくような、岩手で働き、岩手で暮らすということの確保に直接つながるような新機軸の施策が並んでいるところでありますし、あとはまだちょっと構想を練るような段階のプロジェクトではありますが、活力ある小集落実現プロジェクトみたいな、人口の少ない、いわゆる田舎のような地域でも先端技術を活用して、そこで暮らして、また働いていけるというような、そういう新しいものも入れているところです。

記者
 幾つかお伺いしたいのですが、今おっしゃった田舎のようなところでも先端技術を活用して働けるというのは、事業名でいうと北上川バレー産業・生活向上推進事業というやつでしょうか。

知事
 北上川バレーは、むしろ世界的に見れば都会性が際立つ部分かなと思っておりますが、活力ある小集落実現プロジェクトですね、これって元ネタは県職員の若手の若手ゼミ(正しくは、プロジェクトアイディアコンテスト)で出てきたアイデアで、北上川バレーみたいな、今既に生産や雇用の著しい増大が見込まれるようなところではなく、逆にそういうのがあまりないようなところをむしろ対象にしたプロジェクトです。

記者
 失礼しました。この北上川の事業については、産業集積ということだけではなくて、培われた技術を応用して、エリア全体に潤いを持たせるというような趣旨だったものですから、そういうことも含んでいるのかなと思った次第でした。

知事
 北上川バレーの方は、生産と雇用の著しい伸びは見込まれるわけですけれども、働く場所としての人手の必要性ということだけでは人手を確保できないと思っていまして、生活する場も合わせた、働く場プラス生活する場としての魅力というのを向上させていかないと人手を確保できないという発想が基本にあり、そのためには、生活向上のためにどういうことが必要かとか、逆に何ができるかというようなことを地域の皆さんとか、さまざまな知識を持っている皆さんに意見を聞いたり、話し合ったりしてもらうような体制づくりというのを次年度事業として予算措置しているというところです。

記者
 ありがとうございます。もう一点、予算編成の際にマイナスシーリングというのはよく聞く言葉だったのですが、今回プラスシーリングというのは、なかなか珍しいことなのでしょうか。

知事
 震災以外の公共事業についてプラスシーリングということで、そこは復興が岩手の最大の課題、県政の最大のテーマということで今までやってきた中、復興関連以外の公共事業については、むしろ今強化すべき段階にあるという考え方から、ただいたずらにこれも額を増やそうという話ではなくて、ここが足りていなかった、ここをもっとやらなければならないというような事業を担当の方から集めるに当たっての目安としてのシーリング話ですので、査定に当たっては無駄がないように、節約できるなら別にプラスにならなくてもいいという発想で査定したわけでありますけれども、結果としてあれもしたい、これもしたいという感じで、こういう数字になっているというところです。

記者
 県民計画では幸福というのが、幸福度を指標として、それを県政に生かすということを訴えられてきましたが、これについて、知事としてこの事業を特に目玉として持ってきたというところはありますでしょうか。

知事
 体系性なので、誰一人取り残さないというような総合性とか包括性が大事だと思っておりまして、さっきの予算の説明の中で、まず復興に関する説明が一段落して、4ページ目に入って、「いわて県民計画(2019~2028)」に掲げる10の政策分野に基づく主な取組の最初、健康・余暇分野から始まって、そこで文化芸術活動やスポーツ活動に取り組みますということを言ったのですけれども、障がいのある方々の芸術活動も非常に大事だという思いも持って、今日はアール・ブリュットネクタイをしてきているのですけれども、対象になる人の数とか、また予算の規模からすると、全体の中で大きい部分ではないのかもしれないのですけれども、理念からすると、やはり誰一人取り残さないという時に、障がいがある人たちの芸術活動というのも支援して、そこから花開いていくということが全体にとって非常に大事だし、まさにそういうところにお互いの幸福を守り育てるという理念が芽を出し、力強く木になり、花を咲かせていくというふうに考えていて、そういう思いもあって今日はアール・ブリュットネクタイでやってまいりました。開けて見せろ、ではそうします。ルンビニー苑で活動している人の作品をネクタイにしたものですよね。

記者
 職員の体制のところで、児童虐待相談体制の強化ということを掲げられております。知事も御存じのように、千葉県で小学4年生の女の子が父親の虐待とおぼしき事案で亡くなるという痛ましい事件があって、もちろんこれを受けての体制強化ということではないと思いますが、改めてこの事件を受けて、この体制強化の狙いといいますか、目指すべきところについてお聞かせ願えますか。

知事
 福祉総合相談センターの児童福祉司を3人、児童心理司を2人増員、そして児童相談課を児童相談第一課、児童相談第二課に分けて、それぞれに課長を配置し、また、一関児童相談所の児童福祉司を2人増員ということで、必要性が高まっているという岩手の実態にしっかり対応し、また二度とこういうことがあってはならないというようなケースが岩手県内でもあり、また全国的にもある中、子供の命がしっかり守られるようにという、そういう考えもあって、こういう体制強化を図っています。

幹事社
 すみません。幹事社ですが、私も予算関係の質問で1つお願いしたいのですが、財政の部分なのですが、県債残高が9年連続して減少している一方、公債費は依然として高い水準で推移していて、さらに今後高齢化による社会保障関係費など多額となることが想定されていますが、改めて財政健全化に向けた知事のお考えをお聞かせください。

知事
 必要な事業はしっかり予算を確保して進めていくという中で、まずプライマリーバランスは赤字にならないようにして、そして公債費も減らしていくことができているということで、県民の皆さんを不安にさせないような財政規律は保たれていると思っておりまして、そういう財政規律を維持していくことが大事と考えます。

記者
 予算の関係でお伺いしたいのですが、県民計画のキーワードの幸福なのですけれども、幸福のためにはやはり健康であるということが大事だと思うのですが、そうなりますと根本には医療体制ですとか、医師の確保というのが欠かせない部分になってくると思います。ただ、岩手県では震災前から医師不足というのがずっと続いていて、取組は不断に続けられているのですが、なかなか目立った成果が出ないというか、どうしても難しいところがあると思うのですが、改めて予算を確保した中での医師確保に対する思いですとか、医療体制の確保についてお聞かせください。

知事
 医師養成の奨学金を得て、医療の現場で活躍できるようになった人たちがどんどん出てきていて、医師不足、医師の偏在を是正していく勢いというのは、(岩手)国体があった年ですから平成28年、2016年から始まってはいるのですけれども、ただ、まだ始まったばかりですので、今が一番きつい時期かなというふうに思っています。この奨学金を得て、医師に羽ばたいていく、医療の分野で羽ばたいていく皆さんにしっかり岩手の地域医療を支えてもらうということを引き続きやっていくことが大事ですし、同時に中途採用での(即戦力)医師の確保ということについても、しっかり対応していきたいというふうに思います。
 県立病院については、病院長さん方のもと、医療専門家と事務方が力を合わせて経営にもさまざま工夫をしていて、そういう中で新しい医療器械を導入したりとか、直した方が良いような病院の箇所を修繕、改良したりとかということもできているので、そこの予算もしっかり確保してやってもらうというようなところに意を注いでいます。

記者
 職員体制のところなのですけれども、震災関連で263人の職員定数を配置ということで、今年度と比べると69人の減で、減り幅がかなり大きいのかなと思うのですけれども、これは復興事業がある程度落ちついてきたことによるものという理解でよろしいのでしょうか。

知事
 建設、土木関係の事業は、やはりピークを越えてきていますし、また、被災者一人一人を支援していくようなところについても、対象となる数が減ってきているというようなところを反映しているというところです。

記者
 たびたびで恐縮ですが、1点だけ。今のお話も絡むのですが、陸前高田(市)や、昨日ありました宮城(県)では、ポスト復興という言葉がたくさん使われておりました。宮城の予算ではですね。新年度からの県民計画を考えると、岩手もこうしたポスト復興ということで新しいスタートダッシュというふうに受け止めておりますが、知事のお考えはどうでしょうか。

知事
 ポスト復興という言葉をきちっと聞いたのは今が初めてなのですけれども、岩手としては国との関係で、国が言う10年で復興期間が終わるということに対して、いや、10年を超えても必要な事業があるという国とのやりとりのことが気になっておりますので、まだ9年目、10年目は力強く復興を進めるというところが大事かなと。ただ、復興後半は、国の方でも復興・創生期間と言っているように、地方創生的な、もっと普通の言葉で言えば地域振興的な要素も入っていて、その点はまさに岩手でも三陸防災復興プロジェクト2019を通じ、今まだ復興に邁進している陸前高田市などではそういった実態を見ていただくような企画をしますし、あるいは沿岸北部のように東日本大震災津波からの復興は卒業したというような地域あるいは分野については、復興をなし遂げた成果としての地域の魅力の発信といったところに重点を置いてもらうとかやりますので、ポスト復興という言葉に込められた考え方とか行動というのは、岩手の中にも出てきているところはあるのですけれども、「いわて県民計画(2019~2028)」の基本目標も、引き続き復興に取り組みという姿勢でこれからの10年をスタートさせるというところがありますので、復興については引き続き取り組む感というのが我々としてはメーンであります。

幹事社
 それでは、発表事項以外について、本日は記者クラブを代表しての幹事社質問の用意はありませんので、各種から質問があればよろしくお願いします。

記者
 総務省が先月末発表した人口移動報告で、東京圏の転入超過が23年連続となったということなのですが、地方創生、岩手県ではふるさと振興ですけれども、知事はどのように受け止められますか。

知事
 東京一極集中、10万人規模の人口流入(転入超過)を5年でゼロにまで持っていくという国のビジョン、総合戦略のもとで、むしろ(平均すると)毎年1万人ずつ流入が増えて、(転入超過が)14万人にまでなっているというのは残念でありますし、そういう東京一極集中の大きなトレンドというものが岩手を含めて地方、各道県ですね、府も京都府はマイナスになっているのかな、やっぱりそういう道府県に対して、必死でそれぞれ地方創生施策を展開している(にも)関わらず、人口が流出、また流出の数も増えるということになっていて、ここはやっぱり施策を見直して、思い切った策を打つというようなことを国にもやってもらわなければならないのではないかと思います。

記者
 予算の発表では質問しなかったのですが、そういう意味でも県としてはふるさと振興の推進というところは予算の中でも柱の一つだと思いますし、先ほど説明のあった組織・職員体制のところでもU・Iターンの推進等ありますが、新年度に向けて、県としてはどういう努力をされるかを改めてお聞きしていいですか。

知事
 働くことと暮らすこと、仕事と生活を合わせて地域の魅力を高めていくということ、またそこに先端技術を取り入れていくということ、そういったミクロな施策を地方自治体というのはやっていかなければならないので、岩手もそういうところに力を入れていきます。国においては、マクロな経済政策として、やはりもうちょい地方経済が首都圏経済に対し相対的に浮上するような経済政策を、マクロ経済政策を展開するというのが国の使命ではないかと思います。

記者
 ありがとうございます。いろんな政策を政府としても打っている中でも、地方創生は足踏みしている状況なのですが、ちょっと今日報道で見たのですけれども、自民党さんが選挙の新しいポスターのキャッチフレーズをちょっと、新聞に載っていたので見たのですが、「日本の明日を切り拓く」という、「ひらく」という字が開拓の「拓」と書いているのですけれども、今日の予算の説明でもあるように、新時代スタートダッシュ予算の項目のところに、岩手の未来を切り拓くためと書いてあるのですが、目指しているところは一緒なのかなと、日本か岩手かの違いなのかなと思って見たのですけれども、知事は政党のキャッチコピーではあるのですけれども、政府・与党ということで、どうでしょう、こういう未来を切り拓くというフレーズに関しては。

知事
 既にもう政権についているわけですから、次々に実行してもらいたいですよね。今始まった国会に追加の法案でも、追加の補正予算とかでもできるわけですから、実効性ある施策をばんばんやってほしいなと思います。

記者
 先ほどの職員体制のお話ともちょっとかぶるのですけれども、ILCについてなのですけれども、(誘致に向けて)研究者組織(が日本政府に求める意思表明)の期限とするところまであと1カ月、そのことと合わせて、今回、来年度から(ILC)推進室という形で組織を改編するということですけれども、それを踏まえて(ILC)推進室というのはどういうことをやっていきたいという部分があったら教えてください。

知事
 ILCを実現していくに当たっては、地元としては地元住民の皆さんの理解を深めるということや、さまざま施設の整備環境や研究者の皆さんの生活環境を整える。それらは、いざやると決まれば、10年というスパンの中で行われるわけですけれども、早くやらなければならないところは早くやらなければならないでしょうし、また、ある程度先の話であっても今から準備しておかなければならないということで、そういう準備を進めていくための組織となります。

記者
 その期限、あと1カ月という部分に関しては、県として改めてどう対応していくかというのがあったら教えてください。

知事
 今、さまざま政府に対する働きかけですとか、国民に対する働きかけでありますとか、いろいろ手分けしてやっているような状況でありますので、そういう中で岩手県としても関係機関と調整をしながら必要な手を打っていきたいというふうに思います。

広聴広報課
 以上をもちまして記者会見を終わります。

次回記者会見

次の定例記者会見は2月13日(水曜日)の予定です。

このページに関するお問い合わせ

政策企画部 広聴広報課 報道担当
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