令和5年4月14日知事会見記録
開催日時
令和5年4月14日10時00分から10時55分まで
会見記録
広聴広報課
ただいまから記者会見を行います。本日は、知事からの発表はございません。
幹事社
質問の前に、記者クラブへの転入者を紹介します。転入した記者から一言挨拶をお願いします。
(記者紹介)
幹事社
本日は、記者クラブを代表しての幹事社質問の用意はありませんので、各社から質問があればお願いします。
記者
まず、統一地方選についてお伺いします。統一地方選前半戦が始まりました。前半戦の結果を見ますと、自民党が41の道府県議選で想定数の過半数を確保した、また奈良県知事選を含めて維新の躍進といいますか、全国政党化に向けた足がかりというところの動きも見えた選挙でもあったと思います。あとは、千葉、山口などで衆院補選のほうも始まっておりますが、まずは知事の所感をお伺いできればと思います。
知事
統一地方選は、それぞれの都道府県や、また県議選選挙区のそれぞれの地域事情なども踏まえながら、有権者の皆さんが地元の将来について決めていくということで、一通りそういうことができたのだと思います。
一つ気になるのは、投票率の低さです。「地方自治は民主主義の学校」ということわざがありまして、まず、この民主主義を発展させるためには、地方自治からみんなで参加して、民主主義を発展させましょうということなのですけれども、そこで半分以下の投票率というのは、ちょっとこれは少ないなと。ここは、やはりそれぞれの自治体の人たちが努力すべき部分ではないかと思います。
国の補欠選挙については、これは国政がテーマになることですので、今、盛んに議論が行われているところですが、山口県で2か所衆院補欠選挙があり、去年(令和4年)の参議院議員選挙が、本来であれば安倍一強の10年を総括するというようなテーマがあったはずだけれども、そこが終盤全然争点になり得なかったところが、今、補選で争点になっていて、議論も活発に行われているので、大変結構なことではないかなと思います。
記者
ありがとうございます。そこで、この夏といいますか、秋には県知事選、県議選というところもあります。先ほど投票率が気になるというところのお話もありましたけれども、各党の党勢の伸長ですとか減退の部分ですとか、そういったところが本県の政界に与える影響というのは現時点であるのか、それともどのように考えていらっしゃるのか、お伺いできればと思います。
知事
選挙の主役は有権者です。岩手における地方選挙で有権者の皆さんが、それぞれ自分の思いや希望を、選挙を通じて形にするということができるような選挙であるべきです。そのためには、投票率が高くなるような選挙が望ましいです。投票率が高くなるためには、やはり有権者の皆さんとしても、与えられた選択肢の中から誰か選ぶという、人気投票的な選挙への関わり方ではなく、早い段階からそれぞれ自分のふるさとを、こういうようにしていくべきではないかということを有権者の側も様々議論を活発にして、発信もどんどんしていただきながら、そして、それに応えようという人たちが立候補したり、あるいは政党やその他の組織として誰かを応援しようというようになっていくような流れが望ましいのだと思います。
記者
私は、昨日(4月13日)の北朝鮮のミサイルの関係についてお伺いします。まず、今回の発射について知事はどのようにお考えであるか、所感をお聞かせください。
知事
日本の領土や、また日本の漁師さんが漁業をしているような場所に落下する可能性があるようなものを予告もなしに打ち上げるというのは、大変迷惑な話でありますので、本当にやめてほしいと思います。昨日のミサイル発射についても遺憾に思います。
記者
ありがとうございます。その件で、政府がまずJアラートを出しまして、その後訂正という形を取りました。その対応についてはいかがでしょうか。
知事
技術的な限界がある中で、分かる範囲の情報を公表しようということで、その場、その場で判断してというか、あらかじめ決められたとおりにというか、そういう情報発信したということだと思います。
ただ、昨日は、初めて、領土かその周辺に落下するということの計算の結果が出てしまって、それを伝えたけれども、現実にはそうでなかったという、今まで起きなかったことが起きたということが昨日の特徴です。
これについて興味深いのは、昨日あるテレビのニュースに元海上自衛隊の人が出て、北朝鮮がミサイルを撃っているのは、日本を攻撃しようということではなく、アメリカと韓国の軍事演習に対してデモンストレーションでやっているのであって、そういう認識で対応すべきというようなことを元海上自衛隊の方が言っていて、そして今朝、ある新聞には、元防衛庁の幹部の人が、北朝鮮のミサイル発射の意図は、海上自衛隊だった人が言っているように、日本を攻撃しようとして撃っているわけではないのだから、あたかも日本に攻撃があるかのような、そういう情報の流し方ではない情報の取扱い、発信の仕方をすべきではないかという趣旨のことを言っていて、なるほど、それは検討に値することだなと思いました。
というのは、アメリカや韓国の軍事行動への対抗のデモンストレーションとして発射するミサイルに関し、そのたびに鉄道を止めるとか、通勤、通学中の人たちが地下に潜ったり、ビルに入ったりというように、日本の国内経済活動、社会活動を止めるということでいいのかという、そういう疑問が、昨日、強く国民全体として持たれて、そして専門家の人たちも改めてJアラートといいますか、そういう危険情報発信の仕方については検討したほうがいいのではないかということを言っていましたので、もう少し国民の日常の経済活動、社会活動に影響を与えないような形での情報発信ということを工夫する余地があるのか、検討すべきなのだと思います。
記者
(先ほどの)質問に関連して、統一地方選の件でお尋ねします。知事は県議会で次の知事選への出馬を表明されて、その後の記者会見で統一地方選の状況を踏まえて、今後、政党との関係ですとか、選挙体制について公表していく見通しを会見で述べられたと記憶しております。その上で、今回、知事選が各地で行われましたが、参考になったかどうか、まずそこをお尋ねしたいと思います。
知事
私が言ったのは、各政党は、今は統一地方選のほうに、春の選挙のほうに集中しているので、夏から秋にかけての選挙についての決定とか検討というのは、今は難しいのではないかという趣旨のことを言っていて、それは統一地方選の後半戦はまだ終わっていないし、あとは国の補欠選挙もあって、今、みんな忙しいところだと思っております。
記者
すみません、ちょっと誤解もあったようですが、今のも踏まえて、そうしますと、何か解散の話もちらほら報道が出回っておりますけれども、ある程度、補欠選挙、統一地方選自体が後半戦も含めて終わったあたりでは、そろそろ知事も御自身の戦いに向けて何か公約等、アクションする予定があるか、それについてお尋ねします。
知事
今、一番気になっているのは、統一地方選前半戦の投票率の低さで、岩手における各種選挙に関して投票率が上がるようにするためには、まず、選挙管理委員会は、選挙管理委員会でそういう努力をしますので、知事としてそういう選挙管理委員会が様々活動することについて、独立性の高い部局でありますけれども、そういった独立性の高い委員会の仕事の環境整備は財政面とか知事部局のほうの仕事ですから、そういったことはちょっと考えなければならないかなと思っています。
それから、地方自治や地方行政についての情報というものが、住民の皆さんに日頃から行き届いていないことが選挙の投票率の低さにつながっている可能性もあり、そうであれば、今、岩手において県がやろうとしていることや、やっていることについて広く県民の皆さんに知っていただくよう、そういうことが投票率の上昇につながるのかなというようなことを考えながら、もともと新しい(「いわて県民計画(2019~2028)」第2期)アクションプランの4か年計画のスタートであり、そして県政史上最高と言っていいような今年度予算の執行がスタートしていますので、それを県民に伝えながら、また、実効性ある事務執行に努めるということが、今、非常に重要かなと考えております。それもあって、いわてエンパワー隊なんていうのをつくったりもしたところです。
記者
ありがとうございます。もう一つ、別の件でお尋ねします。新型コロナのことなのですけれども、5月の連休明けには5類への移行というのがあって、中央のほうでも5類移行に伴っての対応等については少しずつ情報が出ているのですが、5類移行の前に大型連休も控えていますし、大型連休あるいは5類移行について県として今後どのように対応していくか、スケジュール的なもので何かお知らせいただけるものがあれば教えてください。
知事
一通りやるべきことは、5月に移行が決まったときから手を打っているところでありまして、医師会を通じた医療関係者への呼びかけなども進めているところでありますので、まずは、準備は着々と進んでいるというように言っていいと思います。
記者
特に最近の県内の感染状況を見ると、また1日当たり(の新規感染者数)が100人に達するときが来たり、昨日も発表としては半月ぶりに亡くなった方が出たり、あと直近1週間の人口10万人当たりの新規感染者数も40人台となっていますが、その感染状況と大型連休に向けてというところに関しては、特に何か対応や呼びかけ等、御検討はありますか。
知事
去年4月、1週間10万人当たりの新規感染者数が3月には下がり続けていたところ、4月前半に上昇し、そして4月の後半にまた下がり始めて、その後、下がったというのが去年のパターンでした。年度が替わり、人の動きが増えることや歓送迎会などにより、感染者数が増えることに気をつけなければと思っていたところです。
今年4月に入って1週間10万人当たりの新規感染者数が25(人)から27(人)ぐらいだったのが、どんどん増えて40人台まで増えまして、これが去年と同じパターンなのか、それとも新しい波の立ち上がりなのかというところなのですけれども、今週に入って横ばいになってきて、1週間10万人当たり新規感染者数が50(人)を超えず40人台で横ばいのようになっていまして、これが去年のようにまた下がっていくのか、それとも上がっていくのかということを、これから見極めなければならないところだと思います。
今、感染爆発が起きているわけではありませんので、県民の皆さんも慌てることはないのですが、やはり人の動きが活発になったり、人と人との濃密な接触が増えれば増えるほど、感染リスクは高まりますので、やはり場面、場面での感染対策ということを工夫してもらえばいいというように思っています。
記者
私からも先日の統一地方選についてお伺いしたいと思います。(4月)9日に投開票となった知事選のほうで、徳島、奈良で一般に多選と言われる知事が落選したという結果になりました。結果的には様々な要因はあるものと思いますが、一つ多選というのが争点になっていたものと思います。これらの多選というのが有権者にどのように受け止められたのかということであったり、この結果の受け止めについて知事のお考えを教えてください。
知事
同じくらいの当選回数でも当選している知事さんもいらっしゃいまして、つまるところは、自民党の全面的な支援を得て当選を重ねてきた知事さんが、自民党がもう全面的支援をやめたときに、それ以上はもう当選できなくなるということが起きており、当選4回や当選5回であっても、今までどおり自民党が全面的に支援する知事さんは今回当選していますので、そこは自民党の全面的支持を受けた知事は、自民党の全面的支持がなくなったときに落選する場合があるということなのだと思います。
記者
分かりました。ありがとうございます。話題替わって、もう一つお伺いしたいのですけれども、先ほど知事もおっしゃっていたいわてエンパワー隊についてお伺いしたいのですが、(4月)6日に発足したということで、こちらのいわてエンパワー隊というのは知事御自身が命名されたものなのでしょうか。
知事
そうですね。それはそのとおりです。今年度予算を「いわて県民エンパワー予算」と名付けていて、その予算の執行をより効果的に、かつ機動的に行おうということで、いわてエンパワー隊という名前にしましたし、短くて分かりやすく、いいのではないかと思っています。
記者
ありがとうございます。こちらの部局横断型の組織としては、ほかに本部員会議などもあると思うのですが、そちらとのすみ分けといいますか、エンパワー隊のほうで具体的にどのようなことをやっていきたいのかというのを改めて教えてください。
知事
本部員会議は、招集するには一定の手間暇がかかります。また、そこでの情報共有というのも、ある程度まとまった量の情報を共有するような形で開かれるのですけれども、何か一つの出来事とか、何か一つの政策とか、それについて急遽集まって打合せがしたいとか、そしてそれに関する何か発信でありますとか、政策を行動に移すという、そういう活動を何かするというときに、エンパワー隊が機動的でいいと思っています。
あと本部員会議のほうは、何か一緒に政策を実行するということは想定されていませんので、本部員会議でやると決めたことは、基本的にはそれぞれの担当部局で、つかさつかさでやっていくことになるのですが、そういうつかさつかさではない、その場合は知事が何か出る予定の会合で、そこで話す予定の挨拶の中でこういうメッセージを発信したほうがいいみたいな、さっと打合せをして、さっと決めて、そしてすぐ行動に移せるようなことをやるためのチームとして、本部員会議にはできないようなことをいわてエンパワー隊には期待しています。
記者
先ほどの質問で出てきました統一地方選の他県の知事選に関して、多選というところで考えると、当選回数でいえば御自身の選挙のほうにも当てはまることかなと思います。先ほど今回の統一選に関しての他県の状況について分析はされましたけれども、御自身の選挙のほうにはこういった、いろいろな状況があるので、必ず多選というものに関しての有権者の見方というのは当てはまらないかもしれませんけれども、御自身の選挙のほうには今回の結果というのは、何か影響というのでしょうか、そういった関わりが出てくるものかなと思いますでしょうか。
知事
今回起きたことは、自民党の全面的な支持で当選し、さらにその後はもう相乗りみたいな形で激しい競争なく当選を重ねてきた知事さんが、自民党が別の人を支持し、そして相乗りにもなっていないような形になればもう当選しなくなるということなので、自分には当てはまらないことと思っております。
記者
それはやっぱり自民党という特定の政党の支持のあるなしというところが、今回の各知事選では影響していたのではないかというような、先ほどの分析どおりのお考えということでしょうか。
知事
そうですね。支持といいますか、もう構造的に、そもそもその人が最初に立候補することを決めることに自民党が関わっていたりとか、構造的に俗な言葉で言えば、自民党丸抱えの選挙というパターンですね、さらにそこに2回目、3回目では相乗りも、他の政党もそれを支持するみたいな構造になったりというような、それは日本の中にはかなり多いことではあるのですけれども、私に関しては、それは当てはまらない構造だなと思っています。
記者
達増知事御自身も、これまでの記者会見などでも多選についてお答えをされておりますけれども、今回の他県の状況を見ましても、そういった当選回数についての有権者の判断というか、それはポイントになっていないのかなというふうに思われているということでしょうか。
知事
いわゆる自民党丸抱え選挙の場合は、かつての大阪の太田知事さんのように、当選回数が少なかったとしても、あのときは何かスキャンダル的なことがあって、それで自民党は、ほかの人を立てようということになって立候補できなくなるということになったわけですけれども、多選云々というよりも、結局、立てるべき人がほかにいると判断すれば、ほかの人を立てるということになっていると思います。
記者
先ほどの質問の関連でコロナの関係なのですけれども、コロナの5類移行に伴う県の対応についてなのですが、先日(3月24日)の(岩手県新型コロナウイルス感染症対策本部)本部員会議では、健康フォローアップセンターの継続等の方針が示されておりました。一方で、医療提供体制については調整中ということで、一部では継続検討の事項もあります。5類移行後の県の対応について、いつまでに固められますでしょうか。
知事
基本的なことは、もう発表してあるとおりでありまして、一般的な相談体制は継続すること、高齢者対策は高齢施設での職員の検査を公費で行うこと等々、高齢者対策は継続します。一方で、検査に関する一般的な公費負担はなしになるとか、逆にワクチン接種の公費負担は継続するとか、そういったことは発表したとおりで、5月8日から実行するということが決まり、体制はできているということです。
記者
私からは、知事選の関係でお聞きしたいのですけれども、明日、後援会の会合があると伺っています。支持する県議の方たちも出席する予定だというふうに伺っているのですが、この場ではどんな話をしたりとか、どんな会合になる予定なのか教えてください。
知事
4年ぶりの開催ですので、過去の知事初当選の頃から大変お世話になっていますというような感謝の気持ちを伝え、そして16年間の歩みを確認しながら、やはり新しいアクションプランの方向性や今年度予算での主な事業を紹介しようと思っています。
記者
お伺いしたいのですけれども、立憲の横沢議員との2連ポスターが町なかに貼られているのを見かけたのですが、こういう2連ポスター、県議でしたり、ほかの議員でしたりとの達増知事との2連ポスターというのは、今後、用意していたりするお考えなのでしょうか。
知事
まず、日常的に議員さんの会合に出席して、そこで挨拶を述べたり、また県政報告をしたりというようなことは日常的にやっていますので、特にそれを時局講演会形式でやるとか、街頭演説でやるとか、特別な告知ポスターを貼るということについては、相談しながら、やると決めたらそのポスターを貼るということをやっていくというようになります。
記者
またちょっと話題変わるのですけれども、先日、久慈市の冷凍水産加工業協同組合が事業停止したという発表がありました。かねがね懸念されている不漁や燃料高騰の影響がはっきりと顕在した形だと思うのですけれども、決断の理由もやっぱり先行きが不透明ということも含めて、地域の水産業界全体に与える不安など、心理的な影響も大きいかと思います。率直な知事の所感と、今後、また、漁業支援へのてこ入れも含めて、何かお考えがあれば教えてください。
知事
もともとスルメイカ、サバなどの冷凍加工販売等を事業としてきたわけですけれども、主要魚種の不漁問題や資材価格の高騰などで経営が厳しくなって、これ以上は無理という判断になったということです。これは、非常に残念ではありますけれども、理由があることでありますので、まず、速やかに前後処理といいますか、特に働いている人たちの今後の働く場所の確保等々、そういうこの後のことを整理していってほしいと思っています。
そのように経営が立ち行かなくなるリスクというのは、広く水産加工、さらには水産業全体を脅かしているリスクなわけですけれども、県としても主要魚種不漁問題対策や、また中小企業の事業継続のための支援など必要なことを行って、関係の団体や市町村とも連携しながら、潜在的には三陸の海は、獲れなくなったものもありますけれども、獲れるものがまだありますし、養殖の今後の成長が期待されますし、また緊急的には地域外から原材料を取り寄せるということもありだと思います。そして、それを加工する設備については、復興事業の中で、かなり効率的な生産ができるように新しく直したところはいっぱいありますので、そういったところの中には、販路をうまく開拓して、インターネット通販などで軌道に乗って、震災前より売上げを伸ばしているようなところもありますので、そういうようにうまくいくよう県としても支援していきたいと思います。
記者
先日発表がありました人口について伺います。もう人口減はニュースではないかもしれませんけれども、今回は沖縄も初めて減りました。一方で、外国人は2年ぶり社会増ということになりました。岩手は118万人で1.3%減少(となっていますが)、改めてという感じなのですけれども、お考え、御感想などお願いします。
知事
岩手県は、大きな人口減、そういう数字が出てきました。これには2つの理由があって、一つは少子化の問題です。出生率の低さという問題があり、これは生きにくさを生きやすさに変える就職・就業のしやすさ、結婚のしやすさ、妊娠・出産のしやすさ、そして子育てのしやすさということを、直接的な支援や働く環境をよくするための関係団体と連携しての企業への働きかけなど、やっていきたいと思います。
もう一つは、東京一極集中の問題というのがあると思います。今回の発表で人口の減少率が高かったのは、下から6番目までに宮城県を除いた東北5県が入って、高知県が入って、それで6県になるのですけれども、(下から)6(番目)の上のほうにも新潟県があったりとか、あとは四国の県が並んだりとか。四国は、多分大阪を中心とする近畿圏との関係で、人口が移動しやすくなっているのではないかと思うのですが、そっちは詳しいことはあれなのですけれども、東北はやはり首都圏との関係で、東京の景気が良くなって労働条件が良くなりますと、てきめん東北から人の流れが東京、首都圏に向かいますので、今そういうことが起きているということだと思います。東京オリンピック・パラリンピックに向けての東京での投資の拡大、その後コロナで一旦東京への人の流れが止まるのですけれども、コロナがアフターコロナに向かおうとする今の状況の中で、また東京が人を引きつける力を持ってきたという課題があると思います。
ニューヨーク・タイムズ(紙の記事)を契機とする交流人口、関係人口拡大の作戦は、首都圏からどんどん人に来てもらおうということでもあります。インバウンドに加えて首都圏の人たちに、どんどん岩手に、広く東北に来てもらうということです。あとは、やはり東北として首都圏からいかに人に来てもらうかというのは、東北経済連合会と東北の諸大学と、あと東北各県とでやっている、わきたつ東北戦略会議で取り組んでいることでありまして、その取組をさらに強化し、首都圏の人たちに移住してきてもらえればそれが一番ですけれども、そこまでいかなくても交流人口、関係人口として大きな流れをつくることができればと思っています。
記者
私からは、知事が今年に入ってから使われているエンパワーという言葉について、ちょっと確認させていただきたかったのですけれども、エンパワーという言葉は新年度予算のタイトルにもなっている言葉であって、また、今年度の知事訓示ですとか、新採用職員への御挨拶や、いろんな場面で使われています。また、知事もエンパワー隊の名づけ親ということでもありまして、改めて込めたエンパワーという意味について、どういう思いがあるのかというのをお聞かせください。
知事
原点は、子ども・子育て支援の部分です。人口減少対策でも特に子ども・子育て支援が一人ひとりに寄り添って、その人たちをエンパワーして、できなかったことができるようにする。一定の収入を得て、そして結婚するということができるようにエンパワーとか、そして妊娠、出産、なかなか難しいと思っていたのができるようになるというようなエンパワー、そして働きながらの子育てということが、お母さんもお父さんも働くことと子育てをちゃんと両立させることができるようにエンパワーという、そこが原点なのですが、広くあらゆる政策分野で一人ひとりに寄り添う政策が求められていて、県民一人ひとりをエンパワーするということが産業政策でもそうですし、教育の分野でもそうで、医療、福祉でもそうです。男女共同参画とか生活関係、また環境関係もそうで、それでエンパワーという言葉が県政のあらゆる分野にも関係してくるので、いいなと思っています。それは、人口減少対策というのが、結局、県政のあらゆる分野と関わるから、エンパワーもそういうようになっているのだと思います。
あともう一つ、明日、後援会の行事で話そうと思っていて、過去を振り返りますと、希望ということを県政のスローガンにしていた頃は、希望というのは絶望の反対、絶望は何をしていいか分からないのが絶望ですので、何をすればいいか分かれば、そこに希望が生まれる。県は、希望インデックスというような政策体系をつくって、岩手で農業したいならこういう支援事業がありますとか、岩手でスポーツで活躍したいならこういう事業がありますとか、そういう希望につながる政策体系というのをやってきたのですけれども、それでちゃんと希望がかなっているかとか、そういうのを見ていくに当たっては、幸福というキーワードが有効であろうと、幸福関連指標で実際、県民がうまくやっているかどうかを統計でも確認しながら、そしてあとは希望というのはちょっと孤独のにおいがする言葉であり、まず自分が自分の希望、そして自分が希望に向かっていろいろ調べて進んでいくという、それに加えてそういうことができているかをお互いに確認し合い、また、お互いに協力し合って希望を持ってやっていくというときに、幸福というキーワードが有効だなということで、ここ8年ぐらい幸福でやっているのですが、ここに来て、言わば希望というのが自助で、幸福というのが共助で、やはり行政としては公助の力強い方向性を示していくべきだなというとき、ちょうどエンパワーという言葉を先に注目して使うようになったのですが、それは行政としてしっかりやりますよという、そういう公助の力強さもそこに込められますので、ちょうど希望、幸福、エンパワーと来て、岩手におけるあるべき地方自治、地方行政の姿が完成するのかなということも感じながら、エンパワーという言葉を使っています。
記者
そうしますと、これまで使ってきた希望というワードに代わる感じになるのか、それに加える形になるのか、どういうイメージなのでしょうか。
知事
分かりやすく言うと、希望が持てるようにするためにエンパワーする、幸福を追求できるようにするためにエンパワーするということで、希望と幸福のためにエンパワーという、そういう構造になります。
記者
あと、細かいところなのですけれども、エンパワーという言葉を日本語に直すと力付けるというふうな、ブログでもおっしゃっていましたけれども、そういう理解でよろしいでしょうか。
知事
そうですね。いろいろ調べてみて、力付けるが一番分かりやすいと思いました。これは、ある雑誌で、この間アカデミー賞を取ったミシェル・ヨーさんが「自分の父親は、子どもを男だ女だということで順番をつけたりせずに平等に育ててくれて、自分をエンパワーしてくれた」というのの訳で、力付けてくれたと訳してあって、力付けるというのが分かりやすいかなと思いました。
一方、エンパワーという言葉自体で、日本語訳しなくても何をしようとしているのかとか、何がエンパワーになるかというのはそんな難しくないのかなとも思っています。実際に金銭給付とか、サービスの現物給付とかでエンパワーという、そういうお金や物の力でエンパワーする場合もあれば、ミシェル・ヨーさんとお父さんの関係みたいな、それは制度的というところもあります。ただの励ましだけではなくて、男女平等という制度を家庭内に確立するという、そういう制度によってエンパワーというのもあり、あと大谷翔平選手の活躍で岩手県民がエンパワーされるみたいな、そういう気持ち的な励ましというところまで含むことができて、今の岩手に非常にちょうどいい言葉かなと思っております。
記者
各政党さん、県連さんを取材しておりますと、知事選に向けては、特に知事支援を想定されるのかなという政党さんからは、後援会からの要請を受けてから動き出しを考えているというふうなお話を伺うことがありました。先ほどの回答などを聞いていますと、統一地方選の各政党のお忙しさというのを考慮していらっしゃるというふうな御回答だったのですけれども、後援会、知事としての支援を要請したりの動き出しについては、その回答を踏まえますと、統一地方選後半戦が終わったぐらいからのスケジュール感というふうに捉えてよろしいでしょうか。動き出しのスケジュール感をお願いします。
知事
それぞれの政党の重大な会合に私も出て挨拶を述べたり、また、県政に関する政見を述べたりするということはもうやっております。後援会の働きかけがあって動き始めるというのは、党本部への推薦検討要請とか、そういう事務手続の話なのでしょうか。事務手続はそういう順番で動くのかもしれませんけれども、選挙の準備というのは日常の活動ですから、これは公職選挙法上、選挙そのものは選挙期間前にやったら、それは事前運動で違法なので、そういう違法なことは事前にはやらないわけで、事前にやることというのは日常の政治活動として位置づけられるのですが、そこを私と一緒にやるというのは、去年、おととしとかずっとやり続けていて、今もやっているというように言っていいと思います。
記者
私の質問の仕方が至りませんでした。今、知事が回答でおっしゃっていただいたように、支援要請の動きなどのスケジュール感というところは、統一地方選の後半戦が終わってからという理解でよろしいでしょうかということでした。
知事
そこは、今、具体的にいつ何をするということは決まってはいません。
記者
ありがとうございます。また、統一地方選に関連しては、奈良県知事選挙でまた明らかになったように、やはり組織的なまとまりというところが非常に結果に大きく影響を与えるのかなというふうに感じられました、県連と党本部だったりですとか。そういった中で、知事が支援を多く受けられている立憲民主党県連の現在の状況についての直近の知事の所感ですとか、今後向かうべきではないかというふうな知事のお考えの形などあれば教えていただけませんでしょうか。
知事
いわゆる自民党丸抱え選挙というのは、いろんな政党がある中で自民党がやっていることというのとはまた違っていて、政権に就いている政権与党が政権党としてのいろんな行政の様々な事柄も関連づけて、その内容は山際大臣の八戸演説にあったように、政府、内閣としての立場と、巧みというか、違法すれすれに、にじませながら、政権与党として誰を知事にするか、ある県で誰を知事にすべきかを決めて、そして、その人が知事になるようにしていくという、実はそれは、アジア型権威主義の、あんまり民主主義としてはいいやり方ではないのではないかと思っていまして、だから野党側が知事選に臨むに当たっては、そういうのとは多分違うやり方をやるのだと思います。そこは、野党がそれぞれ工夫しながら、もっと草の根の民主的な民の力をいかに結集させるかというほうに力点を置いて運動するのでありましょうから、片や内閣、政府を押さえている側がそれを背景にして、さあ、地方にどう臨むかという手法で、それと言わば正反対のことをいろいろ工夫するのだと思います。
記者
ありがとうございました。今の立憲民主党岩手県連の階さんとの御関係も含めて、組織的なまとまりの部分についての所感というところをお伺いしてもよろしいでしょうか。
知事
いろいろ謝罪に行ったり、先方の主催する勉強会に政党県連幹部が出てみたり、いろんな、アジア型権威主義とは違う民主主義的な政党の在り方を様々模索しながらやっているのではないかと思います。
記者
ありがとうございました。話題替わりまして、WBC(ダブリュービーシー)の横断幕と比べると、いささかちょっと小さめになるのですけれども、来月(5月)の3年ぶりの運航再開に当たりまして、花巻台北線の再開を告知する横断幕も掲げられております、県庁のほうに。こちら1か月を切って、交流人口の増加というところも重要になってくる中で、知事の期待感などあれば教えてください。
知事
インバウンドの観光客の中で一番多い割合が、台湾から来る人たちというのが岩手県ですので、台北線が運航再開になるのは非常に期待をしています。大勢の人に今の岩手に来ていただきたいと思います。また、岩手からもどんどん台湾に旅行したり、訪問して、普通の観光も楽しいのですけれども、いろいろ青年会議所のつながりであるとか、経済人同士のつながりとか、いろんなそういう交流の関係が非常に多いので、交流人口拡大としてもどんどん台湾のほうに行き、または台湾からも岩手に来てほしいと期待します。
広聴広報課
以上をもちまして、記者会見を終了いたします。
次回記者会見
次の定例記者会見は4月21日(金曜日)の予定です。
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