令和4年12月26日知事会見記録
開催日時
令和4年12月26日14時00分から15時8分まで
会見記録
広聴広報課
ただいまから記者会見を行います。最初に、知事から発表があります。それでは、知事お願いします。
知事
まず、令和4年度行政経営功労者表彰の決定についてですが、今年度の被表彰者は総合計画審議会や商工観光審議会の委員として御尽力をいただいた鎌田英樹(かまた ひでき)様、そして保健福祉医療分野における各種審議会等の委員として御尽力いただいた伴亨(ばん とおる)様、こちらのお二人です。
令和5年2月6日に表彰式を行います。
続きまして、「岩手県適正受診啓発マンガ みんなで守ろういわての医療!」ができました。
これが表紙です。
どこかで見たことあるかもしれませんが、いろんな先生が取材に協力してくださり、登場します。
岩手県在住の漫画家、田中美菜子(たなか みなこ)さんに描いていただいております。取材には、盛岡赤十字病院の久保(くぼ)院長、県立中央病院の宮田(みやた)院長が協力しています。
「コンビニ受診をやめよう!編」、「かかりつけ医を持とう!編」の2話で構成されていまして、そういう内容の漫画になっています。
今日(12月26日)から電子版を県ホームページから見ることができますし、製本版は来年1月下旬から県立、市立高校への配布と、そして県立病院、保健所などでの配布を予定しております。
以上です。
広聴広報課
以上で知事からの発表を終わります。
幹事社
それでは、ただいまの発表事項2件について、各社から質問があればお願いします。
記者
まずは、体調のほう、回復されましたでしょうか。
知事
どうも、ありがとうございます。
記者
それでは、漫画(「岩手県適正受診啓発マンガ みんなで守ろういわての医療!」)のほうについてお聞きできればと思っておりました。適正受診を促す漫画ということですけれども、知事からも適正受診について県民へのメッセージという形でコメントのほうをいただきたいのですが。
知事
地域医療を守り、ひいては県民皆さんの命と健康を守るためにも、この救急医療等の適切な利用、大病院、診療所といった医療機関の役割分担とかかりつけ医の重要性、こういったことを知っていただくのが第一であります。今までもテレビCM、新聞広告、雑誌の企画記事など、様々な形でアピールしてきた内容です。
県民会議(県民みんなで支える岩手の地域医療推進会議での県民運動)を通じて、県民の皆さんに伝えていったこともありますけれども、漫画ならではの分かりやすさで、非常に分かりやすく描かれています。
田中美菜子さんの漫画は、見ているだけで元気が出るような漫画なのですけれども、どうしても、やはり言葉が専門的なところがあるわけですけれども、漫画で、しかもストーリー形式で、個人的な経験に基づいて、どういう受診行動を取るのがいいのかということが自然に分かるような漫画になっていますので、どんどん御覧いただきたいと思います。
幹事社
ほかに質問がないようですので、それでは幹事社から記者クラブを代表して質問をします。
知事にとっての今年の一字は何でしょうか。
知事
お待たせいたしました。今年の一字は、大きいの「大」という字です。
まず、これは今年1年が、大谷翔平君の、大谷の「大」なのですけれども、大谷翔平君の二刀流大記録や佐々木朗希君の最年少完全試合、そして小林陵侑君のワールドカップ、北京オリンピック、それぞれ優勝、金メダルというような大きな記録や大会での好成績、そうした1年で元気をいただいたというところから始まります。
文化の面でも、合唱などで岩手の児童生徒が大活躍をした1年でありました。
国際大会や全国大会は、岩手県内でも開催されまして、日本スポーツマスターズ2022岩手大会、IFSC(アイエフエスシー:国際スポーツクライミング連盟)クライミングワールドカップB&L(ボルダーアンドリード)コンバインドいわて盛岡2022も開催されました。
それから、キオクシアはじめ大工場の着工や竣工が相次ぎましたし、新型コロナウイルス感染症についてもオミクロン株という感染力の強いオミクロン株によって大流行となった年でもあると言えると思います。
あとは大災害、東日本大震災を上回るような津波をもたらし得る海溝性の大型地震による津波への対策も求められるようになった今年でありました。
県内的にはそんな感じなのですけれども、世界的にも、また全国的にも大事件のあった年でありまして、ロシア・ウクライナ戦争、安倍元総理の狙撃、そのような何十年に1度とかいう範囲をも超えるような大事件が相次いだ年でもありました。
以上です。
幹事社
ありがとうございます。ただいまの幹事社質問に関連して、各社から質問があればお願いします。
記者
先ほど冒頭というか、一番最初にスポーツ選手の大谷選手、朗希選手、あとは陵侑選手のお名前を挙げて、今年の大活躍というところをたたえられていたのですけれども、来年も、例えば、野球であればWBC(ダブリュービーシー:ワールド・ベースボール・クラシック)といった大きな国際大会もありますし、また国際大会では、陵侑選手も様々参加していくことになるかと思います。岩手のアスリートの来年にかける期待というのを一言いただければなと思っておりました。
知事
この大会大記録、そして大活躍、こういったところは今年に引き続き、来年も岩手出身の皆さんが活躍することを期待します。応援したいと思います。
幹事社
それでは、ほかに各社から質問があればお願いします。
記者
2点質問をお願いします。
1点目、来年の知事選挙に向けて、千葉元県議が一番手で出馬を表明されました。選挙ムード高まっている中で、知事の態度表明ですとか、表明を予定している時期というのをお答えください。2022年最後の会見となりますので、これまでよりも一歩踏み込んで県民の関心に応える回答をお願いしたいと思います。
あと2点目、知事自身も新型コロナ感染症に感染されて、これから年末年始迎えて人流が増える時期になります。感染対策ですとか、ワクチン接種の部分で、改めて県民に呼びかけることあれば、御自身の御感染の経験等も踏まえてお願いしたいと思います。
以上2点、よろしくお願いします。
知事
知事選に関しては、出馬表明なき出馬準備が進んでいるというような声もありますけれども、私から発表することは、今日はございません。
そして、新型コロナウイルス関係でありますけれども、日々の新規感染者数が対前週比で下がっていること、別のところで見ますと、1週間10万人当たりの新規感染者数が減り始めているところはよい知らせなのですけれども、やはり水準として高く、日々亡くなる方の情報が途切れないということには、心を痛めております。場面、場面での一人一人の基本的な感染対策の徹底が、やはり求められる局面です。
これにつきましては、今、欧米や、あるいは中国、国民性といいましょうか、社会のありようを反映したといいましょうか、コロナウイルスの流行の仕方がそれぞれあるのですけれども、今回、自分で感染して改めて思うのは、推奨される場所でのマスク着用など、基本的な感染対策を一人一人きちんと判断して行うということが日本ではかなりできるようになっていて、そして岩手県では特に県民の皆さんには、気をつけていただいているということを実感します。
そして、そういう県民の皆さんに応えていくためにも、検査、保健、お医者さんにかからないとしても、いわて陽性者登録センターで登録して、MY HER―SYS(マイ ハーシス)につないでチェックしてもらえるというような、そういう保健、そして医療、さらにワクチン、この検査、保健、医療、ワクチンの体制を公的にきちっと整備して、そして必要なときにそれらを利用できるということが非常に重要だということを改めて感じております。
年末年始にかけて、様々な経済活動、社会活動は、この場面場面で基本的な感染対策を徹底することで、低いリスクで行うことはできる状況でありますので、そういう県民の皆さんを支えるような体制を県ではしっかり整えていきたいと思います。
記者
ありがとうございます。それぞれにちょっと1点ずつ追加で質問させてください。
知事選に向けては、今日お示しすることはないということでした。改めて、ではいつお示しするのかということを、大まかな時期でも構いませんので、これまで2022年ずっと問い続けてきておりますので、お示しいただける範囲でお願いできればと思います。
2点目のほうの質問については、新たなレベルというところも感染の流行度合い、(病床使用率)50%埋まるようなところがあれば、引上げということもあるかと思うのですけれども、現時点での年末年始に向けてのそういった知事のお考えあればお聞かせください。
以上2点、追加でお願いします。
知事
私自身の過去4回の知事選挙や、また様々な選挙を経験してきて、発表というのは、これはもうマスコミの皆さんは、最近のいろんな選挙で本人がまだ否定している段階でも写真が新聞に載ったりとか、いろんなことが最近もあるのですけれども、公表とか発表とか表明とかいうのは、決まるときにはぱっと決まって、ぱっと出るわけですけれども、そこに至るまでは、これはもう全く発表されないというものでありますので、私の答えは今日発表することはないということになります。
それから、コロナはどういう質問でしたか。
記者
コロナについては、医療体制が逼(ひっ)迫してきた場合の新たな行動制限のレベルのところの御発表の御検討等はおありでしょうかというところ、なしにしても、県民に呼びかけることあれば、知事のお考えをお示しくださいというところでお願いします。
知事
ここ10日間くらいの感染水準の上昇については、私もカナダにいながら、あるいはカナダから帰ってきて、担当や副知事などと情報共有したり、連絡を取り合ったりしながらフォローしてまいりまして、それでも質問にあったような宣言までは、まだ至らないという判断をしておりました。そうしたところ、感染者数が減り始めておりましたので、今、質問にあったような宣言をする状況にはありませんし、今日(12月26日)夕方の(岩手県新型コロナウイルス感染症)対策本部(本部)員会議でもそういう宣言は出しませんし、また宣言の予告のようなこともしないという、そういう運びとなるでしょう。
記者
ありがとうございました。
知事
そうですね、今日の夕方のポイントは、それでも医療現場がきつくなっている状況というのは、過去最多水準にきつくなっているので、それをこれ以上悪化させない、できるだけ和らげるような感染対策から医療の利用まで県民の皆さんに状況をお知らせしながら呼びかけるという辺りになります。
記者
私からは、ちょっと2点ほど伺いたいのですけれども、まず1点目がカナダでのトップセールスを今月(12月)の11日から16日までされたということで、実際にカナダに行ってみての所感、印象深かった出来事だったりとか、あと実際に行って成果のようなものというのはどのような部分なのかというところ、まず1点目お願いします。
知事
カナダというのは、北米としてアメリカ合衆国とセットで見ていくべき非常に大きなマーケットの中の重要部分であるなと感じました。最大都市トロントは、アメリカのボストンよりも南にありまして、地図上カナダがアメリカのほうにぐぐっと食い込んだ先のほうにトロントがあって、なるほど、ここはもうアメリカの中みたいなもので、メジャーリーグのチームがトロントにあるのは当然だなと、菊池雄星君もここで働いているのは当然だなというふうに思いました。
そして、岩手のリンゴ、牛肉、米、お酒を中心にトップセールスしてまいりましたが、手応えは非常にありました。強い手応えを感じています。そして、ありがたいことに、トロント、オタワ、モントリオールのほうのカナダ東部のほうでは、工藤さんという岩手出身の方が岩手の物産を手広く扱い、新倉庫も造るなど、今後の発展の見通し、見込みがありますし、バンクーバー、西海岸、カナダ西部のほうでは、ABURI(あぶり)グループというあぶりの手法で、おすしもカナダの人たちに、初めての人でもどんどん食べていただこうという、そういうレストランと食料品店のグループが岩手県の物産を大々的に使ってくれています。そこには、いわちくから若者、女性も派遣されていて、岩手の牛肉を正しくレストランや小売店で提供できるような、そういう体制もできています。
レストランや小売店でのお客さん方の反応もよかったですし、そしてレセプションでの大臣や国会議員などのVIP(ブイアイピー)、そして流通や飲食関連サービス業に携わる皆さんからの引き合いも力強くて、大いに成果があったと思います。
記者
ありがとうございます。非常に手応えがあったということで、今回この訪問でテレビでもNHKさんのほうで達増知事のスピーチが流れていたようですけれども、今後県政の中で何か新しい取組をしていきたいとか、そういったものはありますでしょうか。
知事
農林水産物の輸出ということは、多くの人たちが力を合わせてしっかりした体制つくってやっていくと、かなりしっかり伸ばしていけるという手応えを得ましたので、他の地域ですとか、他の品目についても展開していきたいと思います。
あと、海外出張はもう3年半ぶりぐらいだったわけですけれども、やはり行けば岩手に対する高い関心というのを強く感じます。農林水産物の輸入、消費ということがありますし、岩手に行ってみたいという話もありますし、そして交流の実績、盛岡・ビクトリア姉妹都市交流を経験してきた人たちの存在でありますとか、ラグビーワールドカップ2019岩手・釜石開催で来てくれた選手たちの存在でありますとか、交流の発展という点からも、しっかりした実績があって、発展の可能性があるという、そういう手応えを得ました。
記者
ありがとうございます。2点目なのですけれども、コロナの関係で伺います。夕方に(新型)コロナ(ウイルス感染症対策本部)の本部員会議をやられるということなのですけれども、実際に達増知事も先日コロナに感染されたということで、後遺症の問題というのは、最近、岩手県でも約20万人が感染している中で、いろいろ問題となってくると思うのですけれども、県のほうでは実態調査は実施済みということですが、例えばホームページでの医療機関の紹介だったり、専門の相談窓口の設置だったりというのが、まだ手つかずのような部分もあると思うのですけれども、実際、私も第7波のときの後遺症がまだちょっと残っているようなこともあって、例えば嗅覚障害とか、いろんな多岐にわたる障害がコロナウイルスの感染によって引き起こされるというのも実体験として持っているのですけれども、何か県として対策を今後やっていきたいというお考えはありますでしょうか。
知事
いろいろな事例が臨床の現場、それぞれのお医者さんのところでは、知識と経験が蓄積してきているところなのだと思うのですが、海外の医学会では、いろいろ後遺症について整理された論文が出たりして、そういうのが紹介されているのを見たことがありますけれども、日本ではいま一つ、少なくとも我々に分かりやすい形でまとまった後遺症の説明体系というものは示されてはいない……
保健福祉部長
国の診療の手引きが今改定されていまして、コロナもデルタとオミクロンでちょっと違うような部分があって、今まさに第7波、8月のオミクロンから罹患された方々の後遺症の知見が、今、国に上がってきている状況です。
あとは、県としても後遺症に対応している医療機関については把握しておりまして、今後の公表について、現在、県医師会とも調整をしているところです。
知事
症例一つ一つが基本的に個人情報として、普通にしていたのでは全然公表されませんので、これだけ多くの人たちが感染している今であれば、自分の症状、自分の経験を公表していいというような人たちの持っている情報を共有しながら、医療的な専門性もしっかりそこに加えて、事の性質上、行政ではなくて民間団体がやったほうが問題が起きにくいのかなとは思うのですけれども、行政としてもそういった形でみんなが知りたいことを、早め早めに知ることができるような場づくりというのを工夫していければなと思います。
記者
例えば、相談窓口を設置するとか、そういった何かポイントもあると思うのですけれども。
知事
多分この人のケースではこんな感じだった、この人のケースではこんな感じだったというのがどんどん出てくればいいのだと思うのです。これについては、死亡例についても基本公表できることは制限されていますし、また全面非公表を希望する方もいて、なかなか出せないのですけれども、岩手県だけでも昨日(12月25日)の段階で383人、それを私は全部見ていますので、やはり、今、オミクロンの段階になっても、ワクチンを接種していない方でさほど高齢ではなく、基礎疾患もないような方で急激に悪化して亡くなる人もいるし、ある程度高齢で基礎疾患があったりすると、一定期間でかなり悪化して亡くなる人もいるし、世間で言われているほど大したことないわけでは全然ないというような情報もあるのですけれども、それをどういう形で共有していくのかということは、マスコミの皆さんも非常に悩みながら、考えながら、コロナに関しては、取材したり、報道したりしているところだと思うのですけれども、これだけ多くの方々が亡くなったり、後遺症の問題も、かつて人類が経験したことがないような症状の病気という実態は、一人ひとりのそういう経験、亡くなった一人ひとりの経験、後遺症の一人ひとりの経験が自然災害ですとか、あるいは昨日から今日にかけて報道されている事件のような場合には、一人ひとりの経験が非常に細かく取材され、報道され、共有されて、それが教訓になっていくのですけれども、こと、医療関係に関しては、なかなかそうなっていかないというのをずっと歯がゆく思っていて、自分で経験するに至って、何とかそういったことを知りたい人が知りたいことを知ることができるように、工夫をしていきたいなと思います。
記者
私からは、ちょっとまた話題戻って、知事選の動きについて何点か質問させていただきます。前回の知事会見の際に、千葉絢子氏の正式に表明していない段階で、評価についてコメントができないという話をしていましたけれども、その後千葉氏が正式に立候補を表明して会見を開きまして、改めて千葉氏に対する評価をお願いします。
知事
カナダに行っていたり、新型コロナ感染症で自宅療養するなどしておりまして、知事選の準備としての県政に関する抱負でありますとか、政策論というのを全然まだ確認できていないところでありますので、そういう段階でのコメントは控えたいと思います。
記者
分かりました。あと、その後、千葉氏の支援をめぐって自民党の県連が全面支援するという方針を決定しまして、自民党の側が新人を立てて勝負するというところでは、夏の参院選とか、あとは先日の滝沢市長選といった同じような構図が見えてきていると思うのですけれども、そういった構図が展開されてきているという状況については、どのようにお考えでしょうか。
知事
これは、日本全体として去年の衆院選、今年の参院選もそうなのですけれども、いわゆる一強政治、安倍元総理御存命の頃によく言われていた一強政治というものが完成の域に達しつつあったといいますか、今年の参院選の投票日がピークだったと思うのですけれども、要はあらゆる業種、あらゆる団体、それが基本的に政権与党の下に系列づけられて、そして選挙においてもそれらが協力するということが期待される体制といいましょうか、それが日本全体を覆い尽くして、日本のどこでも、基本的には政権与党側が選挙で勝つみたいな、そういう体制がどんどん完成に近づいていったというのが、今年の7月までの流れだったと思います。
思えば、山際大臣が八戸市で参院選の最中に、野党の言うことは聞かない、与党の人を当選させてくれと言っていたのは、そういう山際大臣から見ますと、日本の経済、社会ほとんどが組織的に自民党、政権与党につながっているので、そちらの話は聞くけれども、それ以外の野党というのは、言わば経済、社会の外にあるアウトローみたいな認識でいて、だから政府は、その話を聞かないと非常に自然にしゃべったのだと思います。ところが、そういうあらゆる業種、団体と言っている中に統一教会も存在して、政権与党に連なる団体として何の問題意識もなく連携し、そして自民党のために尽くして当然みたいな意識でいたから、山際大臣のああいう統一教会をめぐる言動になっていたのだと思いますけれども、ただそれは、今年の7月の参院選の投票日の次の日から、それはまずいのではないかという強い問題意識が国民に生じたわけです。思えば、あらゆる業種、団体が政権与党に連なるというような政治の形は、そもそも民主主義的ではないし、いろんな職業、いろんな業種、またそこが団体をつくっていろいろやっているにせよ、そこに関わって仕事をしたり、生活をしたりしている人たちが、そのとき、そのときの状況で自分がいいと思う政策、自分がいいと思う人に自由に投票できるような選挙でなければ駄目なのではないか。まして統一教会みたいに、そういう自由を根本的に否定した選挙や政治を行うようなところと連携してやっていくような政権与党では駄目なのではないかということが出てきたところだと思うのです。
ただ、それはあの参院選が終わった次の記者会見で私が言ったように、国民の皆さんにそれが浸透して、自民党に対する支持の様子が変わるには、1年ぐらいかかるのではないかと思っておりまして、まだそれがその後の選挙結果に、沖縄知事選については、かなりそれははっきり出ましたけれども、それは次点になられた候補があまりに統一教会の活動に参加し過ぎていたから、はっきりしたわけですけれども、そうでないとなかなかその後の選挙にはっきりまだ出てこないけれども、内閣支持率、不支持率には明らかに影響が出ていると。
ただ、政党支持率としてはそれほどでもないと。そこには、そうではない別のまともな民主主義を実現するのだという、野党のそれなりの数の固まりが見えてこないということもあるのでありましょうけれども、いずれ日本政治がそういう深刻な状況の中にあって、岩手県民の皆さんも、そして政治に関わる人たちも、一人ひとりがかなりいろいろ問われているところなのだと思います。そこでどういう行動を取るのが正しいのか、そこは今の段階で私が自民党さんに対して、自民党岩手県連に対して、こうではないかというのを今の段階で言うのは僣越かなと思ってはいるのですが、ただ岩手の歴史の中で、自民党岩手県連には栄光の歴史があるわけです。大谷君の活躍なども1990年代から2000年代にかけての様々な公的なスポーツ文化交流施設の整備、交通などのインフラの整備等があって、今の若い人たちの活躍があるわけですし、そういった過去の歴史も振り返りながら、今、そしてこれからどうやっていけばいいかをもう少しじっくり考えて、行動展開していくべき時期ではないかということは申し上げたいと思います。
記者
分かりました、ありがとうございます。先ほどの話で、やっぱり自民党の勢力が強くなる中で、自由に投票できるような、そういう土台づくりというか、そういったところの話もありましたけれども、そこはやっぱり自民党と相反する立場として、知事は現時点でどういったことをしていけば、県民の投票が自由なことで保障できるとか、そういったものを現時点で考えていることというのは何かありますでしょうか。
知事
私は、過去いろんな選挙で、選挙において自民党の推す候補と違う候補を応援したり、また自分自身が自民党からは支援を受けず、自民党以外の政党から支援を受けたということなどありますけれども、自民党自体の存在を否定したり、自民党自体が悪だと言ったことは一度もないし、またそうも考えていません。今言ったように、日本の歴史、岩手の歴史で果たしてきた役割は大きかったと思いますし、最近その頃に比べると問題は多いのですけれども、日本をよくするために、絶対無理というわけではないのだと思います。
記者
分かりました。最後にもう一つなのですけれども、先日新人の千葉絢子氏が表明の会見を開いた際に、早くも内容の中で現職の知事の政策を批判するような発言も見られまして、ちょっと県政が停滞しているといった発言ですとか、あとは震災以降新しいリーダーを選ぶ余裕がなかった、今はちょっとその状況は変わってきているといった趣旨の言葉もあったのですけれども、そういった新人からの批判の言葉を受けて、知事としてはどのように受け止めているかというところを教えてください。
知事
詳しくは知らないのですけれども、いずれそういう論争を展開するのが選挙の意義でありますので、選挙本番のみならず、事前の準備の段階においても、様々議論が展開されることは大いに結構だと思います。
そして、千葉絢子さんには、県議会議員の頃にも様々批判的な指摘を県議会でも受けてきたところでありまして、そこにはそれぞれきちんと答弁をしてきたつもりではありますけれども、そういう批判的な指摘というのは民主主義になくてはならないものであって、地方自治にもなくてはならないものでありますので、今回知事選というのをきっかけにして、そういう議論が広く行われることを期待します。
記者
度々で恐縮ですが、知事選に関して、先ほど今発表することはないということだったのですけれども、前回の知事会見では、コロナ等県政の課題が様々山積しているということで、まだ態度を検討する段階にないということだったのですが、今現在の検討段階というところになると、そこから少し検討する余裕が出てきたのか、そういったところを教えていただければ。
知事
さっきデーリー東北の新春インタビュー取材で、それに関して詳しく述べたのですけれども、それでもみんないるところで聞かれたから、後で聞きに来いというのも、これは失礼なことなので、よく考えますと、過去のいろんな例を見ていても、決まるときにはぱっと決まるもので、それまでの準備のありようとかというのについて、逐一、何か発表とかというのはないもの、決まったら発表、そして決まるまでは基本的に関係することは発表しないというものなので、そうすべきだなと今は考えているところでありまして、出馬表明なき出馬準備が盛岡市内でも、県南でも、あるいは沿岸でも、県北でも様々進んでいるとか、後援会関係の皆さんがおっしゃりはするのですけれども、私から発表できることは今日はありません。
記者
ありがとうございました。そのほかの質問をさせていただければと思います。秋葉復興大臣なのですけれども、一両日中にも交代するのではないかという報道がありました。被災県の知事として、復興相の交代というところ、これにどのような所感を持っていらっしゃるかお伺いできればと思います。
知事
内閣と県のパートナーシップというのは重要でありまして、特に復興については人の人生、場合によっては、人の生きるか死ぬかにも関わる非常に大事なことでありますので、まずは、このパートナー関係の点から見て、今、私から発言は控えたいと思っております。祈るのは、年の瀬になって、そして新年を迎える来年になれば13回忌の準備が進んでいく、そういう時期に、内閣全体、全ての大臣が復興担当大臣なのだという、これは安倍首相、菅首相がそう言い、それを岸田首相も引き継いでいるわけですけれども、その原点、初心に立ち返っていただきたいということであります。
記者
政治の話で、今、秋葉大臣の話が出たので、おとといの24日に自民党県連で総務会があって、鈴木財務大臣も出席しておりました。その中で、今の国と県のトップとの関係は、他県に比べると風通しのいいものではないということで、千葉絢子さんを応援するということに、鈴木大臣がそれに賛同する挨拶をされました。今、知事は、内閣と県のパートナーシップは非常に大事ということでしたが、これに関してどのように受け止められるでしょうか、教えてください。
知事
来年度(令和5年度)政府予算案に対する知事談話にも書いてあるとおり、岩手県から要望していた復興関係の事項は、予算の中におおむね盛り込まれておりまして、評価しておりますし、またILC(アイエルシー:国際リニアコライダー)関係予算が文科省からの要求を全額認める形で倍増されたという、今までなかったようなことが起きるに当たっても、文科省要望作成の段階、そして財務省での査定の段階(で)、私も直接、文科省、そして財務大臣ともやり取りさせていただきながら、力を合わせてそういう前進を勝ち取ったというように思っておりますし、東京オリンピック・パラリンピックをめぐる岩手県からの市町村や、また県民の参加、日本全国の中でも最も東京オリパラに積極的に参画する姿勢を示したのが岩手だったのではないかと思いますし、特に復興を自民党政権になってからもしっかり取り組んで、必要な事業を行ってきた、そうした中に、これは知事と内閣との関係に足りないところがあったからこれができなかったとか、これが遅れたとか、別の形になってしまったとかあれば具体的に指摘していただければ、そこをやり直したり、挽回するための具体的な仕事を今の内閣と一生懸命やっていきたいと思います。
記者
今までも、政党の支持というか、考え方的には違ってはいても、同じ岩手のことを考える立場として、鈴木大臣は大臣になる前からも、あるいはオリパラ大臣だったときも含めて、ある程度の関係性はあったのかなと思ったのですが、おとといの発言はかなり、達増拓也さんという名前には踏み込んでいないのですが、今の県のトップはとまで言われたので、それは何かあったのかどうなのか分からないのですが、知事として率直に鈴木大臣がそう発言されたことに関しては驚かれているのか、意外だったのか、そういった点に関してはどう受け止められますか。
知事
全ての発話、全ての話されたことというのは、誰に向かって話されたかということで意味を持つわけで、そこに誰がいたかを私はよく知りませんので、そこにいた人たちとの関係の中でそういう言葉が出たのだと思いますが、県との関係や知事との関係で言えば、要は成果ですから、具体的にどの成果に不足を感じているのか、もし不足があるのであれば、それは今、内閣と県が力を合わせて克服しましょうと言いたいです。
記者
私も、知事選について伺います。先ほど知事の発言の中で、出馬表明なき出馬準備が進んでいると後援会関係の皆さんがおっしゃるということがありました。最近、沿岸の市町村の大船渡市長選挙だったり、いろいろな選挙を取材すると、やはり今の現状だとポスト復興ということが、結構市町村選挙でもテーマになってくると思うのですけれども、来年の知事選の争点になり得ることというのは、現段階で出馬表明していない達増知事ですけれども、どのようにお考えでしょうか。
知事
これは、私への質問、そして私の答えからすれば、それは、今の現職知事としての考え方というのをベースに話すことになるのだと思うのですけれども、復興事業の延長上に、三陸防災復興ゾーンという新しい岩手沿岸の広域のビジョンというのが描かれているわけでありまして、復興事業の成果を生かしながら、インフラや交通基盤や経済産業基盤、生活基盤を活用した、そして広域ということを、今までできなかった水準の広域的な事業も様々行うことができる、そういうところが大事かと思っております。
そして、陸前高田市内の(東日本大震災)津波伝承館、これが象徴しているように、復興防災の学びの場として岩手沿岸は全国、さらに海外から来ていただける場所でありますので、そこをどんどん伸ばしていくということが大事なのだと思います。
目の前の課題として、主要魚種不漁対策にしっかり取り組まなければならないこと、そしてコロナ禍から物価上昇問題へと消費の落ち込みが生じることで、経済が停滞している状況にもしっかり対応していかなければならないという、そういう緊急課題があるわけですけれども、やはり復興に取り組む中で、全国から、海外から様々なつながりの力をいただいた岩手沿岸が、そのつながりの力を生かしていけば、全国有数、世界に誇れる地域にしていくことが可能だと思います。
記者
話題が替わって恐縮です。サッカーワールドカップ関係です。以前、記者会見で、知事は南部鉄器を愛用されている田中碧選手に関して、PRに関して連携、協力を探りたいというふうにおっしゃっておりましたが、その後何か進展があったかどうか教えてください。
知事
あの後いろいろ調べたのですが、かなり愛用いただいて、鉄分補給、そして好プレーにつながるものとして南部鉄瓶を愛用いただいているということで、改めてそれをメディアで発信してくださったことに感謝をしております。
まずは、県として感謝状を贈呈したいと考えておりまして、今、この感謝状贈呈式を御本人に来ていただかないと贈呈という形になりませんので、これを田中選手側とスケジュール調整中であります。
記者
ありがとうございます。感謝状を贈呈されるということで、田中選手と調整中ということですが、例えば感謝状を贈呈するということについて、田中選手が何かおっしゃっていることがあれば教えてください。また、もし、感謝状贈呈式が実現するとしたらどのような感謝を伝えたいか、改めて教えていただければと思います。
知事
先方と、まだ今、人を介して日程調整的な、事務的な部分を中心にやっているところなので、実際実現した段階で御本人の思いとか、そういったことはお知らせできるのではないかと思いますが、日程調整は順調に進んでいるということは申し上げましょう。年内にできるのではないかなという方向で調整中であり、それは順調に進んでいるというところです。
様々発信してくれたことに感謝ですけれども、やはり本質的には南部鉄瓶を愛用、直接自ら愛用してくれているというところに感謝をしたいと思います。
記者
まさしく本人が愛用されているということで、SNSでも話題になりましたが、仮に感謝状の贈呈式という場で直接感謝を伝えることができるとともに、何か例えば、今後、さらに連携、協力というところで、何かアピール、もしくは打診をしたいというようなお考えはいかがでしょうか。
知事
まずは、感謝状贈呈式の成功に全力を挙げるところから、その先も見えてくるのかなと思っております。
記者
ちょっと別な話題で、さっきもちょっと出たのですけれども、先日政府が発表した防衛費の増額についての話ですけれども、以前知事、ツイッターのほうでも意見を発信されていましたけれども、率直に防衛費の増額というこの姿勢に関してのお考えをお願いします。
知事
これは、そもそも何に使うのかというところで、予算が、いい予算かそうでないのかは検討されるものなので、何に使うかはっきりしないまま巨額の予算が増えるということ自体にまず問題があると思っております。戦前ですら、二個師団増設問題といって、陸軍が日露戦争後の新しい国際環境に対応するために、二個師団増やして満州と朝鮮半島の防衛を充実させたいという、非常に具体的なそういう軍拡構想が出たわけですけれども、非常に議論、長い間かつ内容的にもしっかりした議論、そのお金、予算は、今、別なことに使うべきではないかとか、そしてそれについても鉄道による地方振興、いやいや、朝鮮半島、満州へのそういう海外進出とか、様々な議論の中で二個師団増設問題というのは議論されて、結局第2次大隈内閣のとき、第一次大戦勃発のごたごたの中で、えいっと決められてしまうわけですけれども、そのときほどの議論も、今、行われていないので、よくないと思っております。
あとはミサイル、敵基地攻撃能力、これもよくよく周辺国との関係の中で、これは米ソ冷戦時代のアメリカ、ソ連の間でもやっていたことですけれども、いざとなったら全核兵器を撃ち合って滅亡させ合うかもしれないという、そういう可能性がリアルにあった国同士でも、誤解で変なことにならないようにいろんな意図は伝え合っていたところがあって、あくまでキューバとか、あるいはトルコとか、具体的な場所にある具体的な何とかミサイルに対応したミサイルの新規配備だとか、そういうような形で軍拡というのは進めないと、何に使うのか分からないというのは、何に使うかもしれない、つまり、いきなり首都に撃ってくるかもしれないという懸念を消せなくなってしまうわけですよ、具体的にちゃんとどこそこの何本ある中距離ミサイルに対するバランスだとかというのがはっきり見えてこないと。だから、そのくらいの次元の議論をしていかなければ駄目だと思っております。
我々が教訓とすべきは、尖閣諸島を国有化するというのは、日本の固有の領土だし、それを民有から国有化するというのは、これは何でもない当たり前のことで、他国がとやかく言うことではないと思っていて国有化したら、それまでに比べてものすごいお金と、そして人間的努力が求められるような尖閣防衛の対応、尖閣警備ですが、海上保安庁だから尖閣警備というものすごい予算と仕事がそこで増えることになって、今やっていることは必要なことをやっているわけではあるのですけれども、あの国有化がなければこんなことにはなっていないわけで、こっちのほうではこういうことをしても当たり前だろう、当然の権利、いろんなことを言われる筋合いはないと思ってちょっとやったことで、取り返しがつかないような相手側の反応があって、それにまた対応していくにはものすごいお金とエネルギーが必要になるということが起きるわけですので、よくよく気をつけましょうと言いたいと思います。
記者
分かりました。あと、増税する議論の中に、被災地の復興特別所得税の上乗せ税率の話も出ていまして、これは宮城とか福島のほうの被災3県のほかの県の、あるいは沿岸市町村のほうの首長なんかでも既に疑問の声もすごく上がっているところですけれども、そういった復興特別所得税が関わってくるというところに関しては、知事はどのようにお考えでしょうか。
知事
これは、政府との正式な関係に基づいて、復興に必要な財源は、引き続き責任を持って確実に確保すると政府が言っておりますので、政府に対しては必要な予算、財源の確保をお願いするというのが県のスタンスであります。
あとは、防衛費倍増という流れに関する見解はさっき言ったとおりですし、あと新しい防衛の体制を真剣に考えるときほど、できるだけ防衛にお金をかけないようにする努力というのも同時にしなければなりません。これは「孫子」の兵法にも出てくる話で、「孫子」は基本的に軍事にお金をかけ過ぎてはいけないと。国が衰えてしまいますからね、軍事にばっかりお金を使っていると。だから、国全体が発展していく中で、そして国際環境を見ながら適切な軍事体制、防衛体制というのが求められるべきで、ケネディ政権のときのマクナマラ国防長官がやっていたような、システム工学の最先端の手法を用いてまで軍事費を抑えようということを冷戦の盛んな頃にアメリカはやっていたという、そういうのも参考にすべきだと思います。
多事多難な世の中ですから、岩手も新型コロナウイルスがそうですけれども、日本も世界も多事多難なので。
広聴広報課
以上をもちまして、記者会見を終わります。
次回記者会見
次の定例記者会見は1月6日(金曜日)の予定です。
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