令和2年12月18日知事会見記録
開催日時
令和2年12月18日 10時00分から11時00分
会見記録
広聴広報課
ただいまから記者会見を行います。最初に知事から発表があります。それでは、知事お願いします。
知事
新型コロナウイルスの流行について、様々動きがありましたので、岩手県の新型コロナウイルス感染症対策本部の知事メッセージの新しいものをつくりましたので、それを発表します。
東京都など、全国のコロナ感染患者数は高い水準で推移しています。依然として感染拡大の勢いが止まらない中で、人の移動や人が集まる機会が増え、感染リスクが高まる年末年始を迎えようとしています。岩手県においては、医療機関における集団感染が発生したこともあり、人口10万人当たりの直近1週間の新規感染者数が7.9人(12月17日現在)となっていますが、医療提供体制が直ちにひっ迫する状況ではなく、感染状況はステージ3の状況ではありません。一方、全国にはステージ3相当の都道府県が増えており、12月4日に開催した県対策本部で決定した対策が、今なお必要な状況です。
改めて県民の皆様、そして来県される皆様には、以下の対策をお願いします。
感染が拡大している地域との往来については、感染ステージを判断する指標の一つである「直近1週間の新規患者数(対人口10万人)が15人以上の地域」や、不要不急の往来や外出の自粛をお願いしている地域への往来は慎重に判断するようお願いします。
年末年始における感染防止としては、年末年始は一律に帰省や旅行の自粛をお願いしませんが、人の移動が集中し、「密」にならないよう、帰省や旅行、初詣の時期を分散するようお願いします。
感染対策の徹底としては、
- 常時マスク着用、手洗い、せきエチケット、室内の換気、湿度の調整等の基本的な感染対策をお願いします。
- 毎日の体温測定をはじめとする健康状態の確認をお願いします。
- 発熱、せき等の体調不良時には外出を控えていただき、医療機関を受診する場合は、かかりつけ医、受診相談センターに電話相談の上、受診するようお願いします。
- 三密を伴う会合等は回避するようお願いします。
- 高齢者や基礎疾患のある方は、重症化リスクが高くなりますので、御家族の方など、その周辺にいらっしゃる方も含め、一層の注意をお願いします。
県民の皆様、来県される皆様の中には、「泊まるなら地元割クーポン」、「おでんせ岩手券」を利用して、年末年始をホテルや旅館などの宿泊施設等で過ごされる方もいらっしゃると思います。宿泊施設においても家庭や職場と同様、感染防止対策に取り組み、穏やかな年末年始を過ごしましょう。
令和2年12月18日、岩手県知事、達増拓也。
次に、新型コロナウイルス感染症対策に関する追加措置についてです。岩手県では、大規模なクラスターが発生した医療機関の診療体制の確保及び看護職員等の派遣体制の構築を図る必要があることから、クラスターが発生している医療機関に看護職員等を派遣する際、派遣元の医療機関に対し、当該職員給与等の必要な経費を補助することとしました。併せて、11月以降、陽性患者の濃厚接触者などの検査件数が急増したため、行政検査関連事業の追加措置を講ずることとしました。これらの事業については、新型コロナウイルス感染症対策として緊急的な執行が必要であることから、看護職員等の派遣支援に2,064万4千円、行政検査関連事業に9,357万8千円、合計で1億1,422万2千円の予備費を充用することといたしました。
次に、岩手の魅力発信動画、偉人局第3話及びPRポスターの制作についてです。今回は後藤新平を取り上げます。村上弘明さん演じる後藤新平が旧沢内村長の深澤晟雄(ふかざわ・まさお)と岩手の医療について語り合います。監督は、奥州市出身の及川拓郎(おいかわ・たくろう)さん、偉人局アシスタントとして盛岡市出身の声優、佐々木未来(ささき・みこい)さんが出演します。今日から特設サイト「いわてとあなたが、つながるページ」、そしてYouTube「岩手県公式動画チャンネル」で公開します。今日と来週12月25日金曜日の夜、県内のテレビ局でダイジェスト版を放映します。ポスターは、12月25日金曜日から令和3年1月7日木曜日まで、都営地下鉄で中吊り広告を行います。
以上です。
広聴広報課
以上で知事からの発表を終わります。
幹事社
それでは、発表事項についての質問に移りますが、本日発表事項が3件ございますので、初めに偉人局関係の質問を受け付けた後、新型コロナ感染症対策の関係の質問を受け付けるという形にさせていただきます。
それでは最初に、偉人局関係の質問がある方、お願いします。
記者
今、コロナウイルスでGoToキャンペーンも中止になりまして、人の移動が制限されている中ですけれども、あえて東京で岩手をアピールする狙いは何でしょうか。
知事
後藤新平さんを取り上げたのは、ある意味、新型コロナウイルス感染対策というところもありまして、日本の公衆衛生の先駆けであり、新型コロナウイルス対策としても命を守る、ポスターに書いていますけれども、まさに衛生というのは命を守るという意味なので、公衆衛生にお気をつけくださいというメッセージも発信しながら、そういうのを大事にする岩手県もよろしくという、そういうことになっております。
記者
そうすると、この時期ですけれども、岩手に来県を促すものではないということなのでしょうか。それとも、将来的には来てほしいけれどもという狙いなのでしょうか。
知事
基本的に岩手の存在を伝えることが目的でありますので、岩手の物を買ってくださいとか、また岩手に来てくださいということにもつながりますけれども、それはもちろん来られるときに来てくださいという意味で発信します。
記者
岩手県の医療をたどっていく上で、旧沢内村の深澤村長は重要人物だと思うのですけれども、今回どなたかが深澤村長に扮するというか、その点はどうなのでしょうか。
知事
岩手ゆかりの深澤村長さんですので、特に俳優さんを発掘してやっていただくことになっています。
記者
そのキャスティングについては、まだお示しいただけないということですか。
知事
山中雄輔(やまなか・ゆうすけ)さんという方です。
幹事社
それでは、新型コロナウイルス関係の質問に移ってもよろしいでしょうか。それでは、質問がある方お願いいたします。
記者
GoToトラベルの関係なのですけれども、菅総理大臣が28日から来月11日までGoToトラベルの一時中止を表明しました。12月に入って全国的に感染が広がっていく中、GoToの停止を判断する時期は、政策的な判断として、成功とは言えない、失敗とも取れると思うのですけれども、知事はどのようにお考えになりますか。
知事
岩手県としては、さっきメッセージで発信をしたように、今すぐステージ3相当の都道府県あるいは地域への往来については慎重に判断ということは、28日を待たずして今すぐ取り組んでもらわなければならないことと考えておりますので、それを県民の皆さん、またそういったステージ3相当の地域から岩手に来ることを考えている方に対して、これは今すぐ発信すべきことだなということで発信をしております。そのような行動制限、移動制限というのは、これは今すぐやらなければならないことで、これがうまくいきますと、2週間後にはお正月を迎えるわけですけれども、穏やかなお正月を迎えられるかなと期待しています。
記者
県の対応はすごく早くていいと思うのですけれども、政府の対応が遅くなったとか、そういう批判の声も非常に多いのですけれども、知事はどのように見ていますか。
知事
ステージ3相当の地域において、都道府県境を越えた往来について慎重な判断を求めるとか、あとはそれらの都道府県の中においても人との接触を極力少なくするという働きかけについては、今すぐ強くやってほしいと思います。
記者
政府の判断する時期としては、もうちょっと早くやったほうがよかったのではないかとか、そういったふうにはお考えにならないですか。
知事
GoToトラベルについては、特にコメントいたしません。
記者
分かりました。
あと、先ほどの知事メッセージの中で、「泊まるなら地元割」の関係の話もありましたけれども、GoToトラベルが停止となる中、地元割クーポンの一時使用停止を判断したりとか、そういった考えはございませんか。
知事
岩手県はステージ3の状況になっていませんし、岩手県が「泊まるなら地元割クーポン」で、そして東北各県プラス新潟県が対象の「おでんせ岩手券」についても、東北各県、新潟県は、ステージ3相当にはなっていないと判断しておりますので、これらについては特に停止したりとか、自粛要請をしたりはしない方針です。
記者
分かりました。国がGoToを岩手県においても停止をする中でも、現状ではそういった県の地元割に関しては停止する状況ではないということで、ステージが上がればそういう判断になってくるというお考えということですね、停止等を。
知事
やはり日本全体として、ステージ3相当になっている地域への行動制限、移動制限をここ10日間とか2週間とかに徹底していただくことで、感染を増やさない、また感染を減らす方向に持っていければと期待します。
記者
冒頭の知事メッセージから、三密を伴う会合等は回避するようにということですけれども、国のほうでは、5人以上、8人以上とかいう問題が、今ちょっと浮き上がっておりますけれども、大体何人以上とか、そういった規模感についてはお考えというのはございますでしょうか。
知事
油断していれば1対1の2人でも会食は危険でありますし、知事メッセージとしては人数には言及しないこととしました。
一方、岩手県の(新型コロナウイルス感染症対策)専門委員会のほうで、JR東日本さんの基準として8人を目安にしているということは参考にしています。
記者
ありがとうございます。基本的に常時マスクの着用ですとか、基本的な感染対策をした上での会合というのは、改めて慎重にというようなお考えということでよろしいですか。
知事
これもさっき言ったとおり、まず三密を伴う会合等は回避するようお願いしますということです。一方で、常時マスクの着用、手洗い、せきエチケット、室内の換気、湿度の調整等の基本的な感染対策もお願いするものであります。
記者
ありがとうございます。
それから、年末年始を過ごすために、宿泊施設でも感染対策を取り組むようにという話もございました。大体いつ頃までこうした県民に求める自粛というのを続けられるのか、今現時点でのお考え等がございましたらお願いできますでしょうか。
知事
やはり日本全体としてステージ3相当の都道府県、地域が今ぐらいある間は、12月4日に決めた、そして今日発表した対策が継続的に必要と考えています。小池東京都知事がウイルスはカレンダーを持っていないとおっしゃいましたけれども、そういう意味で2週間と区切るから、その間にウイルスお願いしますと言っても、ウイルスは言うことを聞かないでありましょうから、やはり人間の側が努力して感染を沈静化させていけば、様々な行動制限、移動制限は緩めることができるということが事の本質であります。
記者
分かりました、ありがとうございます。
続けて、発表にございました追加措置に関して1点伺いたいと思います。看護職員等の派遣支援事業、それから行政検査関連事業ということでありますけれども、それぞれ大体、これも規模感として、看護職員の派遣であれば何人ぐらいを想定されていらっしゃるとか、PCRの整備についてはどのぐらい増やすだとか、そうした規模感についてはどのぐらいであるのかを伺ってもよろしいでしょうか。
知事
積算の根拠は、それは担当のほうに確認してほしいと思います。大ざっぱに言うと、今やっているような対応を継続できるようにという基本的な考え方です。
記者
分かりました。続けて恐縮なのですけれども、院内クラスターとか多数の感染者が同じところで出ているという状況で、こうした追加措置を取りましたという狙いについて改めて伺ってもよろしいでしょうか。
知事
まず、看護職員の派遣ということで、クラスターが発生して、その病院の看護師さんに陽性患者が多かったり、また濃厚接触者で現場から離れなければならなくなったりしたときに、そこの医療機関を崩壊させないように看護師支援は今後も行っていくということであります。それから行政検査の関連事業ということについては、岩手は国が定義する濃厚接触者以外の関係者も広く検査をしています。また、大きなクラスターが病院で発生していますけれども、スタッフについても、患者についても1回で検査を終わりとするのではなくて、繰り返し2回目の検査も行っています。1回目が陰性でも、2回目で陽性になっている人もいますので、1回やればいいというものではなく、必要に応じて2回、さらに3回と検査を行うこともあるというふうに、やはり広めに検査を行っている、それを今後も継続していきたいということです。
記者
先ほど会食についての発言がありましたが、知事、先日総理が来られたときに一緒に昼食を取っていらっしゃったかと思います。そのときは何人ぐらいで、あとマスクなどの着用はあったのかという点を教えてください。
知事
これは結構発言が独り歩きすると問題なので、人数はちょっと正確に今ぱっと思い出せません。そして、マスクについては、いわゆるマスク会食ですか、片耳の側は常に外さず、片方の耳のほうだけ外しては食べ、元に戻し、外しては食べ、元に戻しというやり方はしませんでした。しなかったのは、人と人との間隔が、これもちょっと記憶頼りで恐縮ですが、2メートルくらい離れていたと記憶していまして、あとは会食時間が15分か20分だったのです。15分か20分、そこにトイレ休憩も入りますので、極めて短時間だったということもあって、そういうやり方でやりました。
記者
総理と会食するというのはなかなかない機会だと思うのですが、この対応を取りながらの要請だったり、現状を説明したりだとか、そういうのに支障というものは感じませんでしたでしょうか。
知事
やはり陸前高田市内の復興状況でありますとか、あとは復興全般の話でありますとか、あと若干食べている食べ物についてというくらいしか話はできなかったと記憶します。
記者
ちょっと話が変わりまして、GoToトラベルが11日まで、年末年始まで続くことになったことで、成人式の中止だったり延期だったりということも今後予定されるかと思いますが、新成人に向けての救済措置など、県でお考えの点がありましたら教えてください。
知事
新成人に向けての救済措置というのは、中止になったときの救済措置。ちょっと何が問われているのか分かりません。
記者
ありがとうございます。
知事
いや、問い直してもらえれば分かるかも。
記者
衣装をレンタルしている人とかがキャンセル料を支払わなければならないとか、再度夏にやるときにもう一回借りなければいけないですとか、あと来る予定だったのが旅費の資金がなくなったのでかかってしまうとか、そういう点、何か今後検討されるようなお考えありますでしょうか。
知事
そういう問題があるというのは、今初めて私の頭の中に入った格好でありますので、成人式は基本的に市町村が主催してやりますから、各市町村がうまく工夫して、著しく困る人が出ないようにやるのではないかと期待はいたしますが、そこは見守っていきたいと思います。
記者
知事メッセージのことについてお伺いしたいと思います。本日おっしゃられた知事メッセージなのですけれども、感染拡大地域への往来の慎重な判断ですとか、年末の帰省の分散の呼びかけというのは、2週間前でしたでしょうか、12月4日の対策本部員会議で述べられた文言と同じだったかと思います。その後の状況としては、特に全国、昨日は東京で新規感染者が800人を超えるなど、岩手でも全国でも感染が非常に拡大をしている中で、本日改めて知事メッセージを発出しておりますけれども、文言をより強く、やはり分散ではなくて自粛を要請するですとか、慎重な判断をもっと強い表現にするなど、そういう強い呼びかけをすることはお考えにならなかったのでしょうか。同じ表現で本日知事メッセージを発出された意図を教えてください。
知事
総合的な判断ですので、その中から幾つかの要素を今話す格好になりますけれども、岩手県の新規感染者数はクラスター関係で大きく増えたりしていますけれども、感染経路不明の新規感染者数というのはあまり出ていないところがあります。これは、既に12月4日にお願いした対策が功を奏しているところもあるのではないかと思いますが、一方でステージ3相当の都道府県が日本全体として増えている。また、東京都、大阪府などはステージ3相当の中でもさらに事態が悪化しているということもありますので、改めて、内容的には同じなのですけれども、気をつけるべき対象が増えているということがありますので、知事メッセージという形で、今日の段階で発信したほうがいいなと考えました。そして、岩手県民の皆さんに対してもですけれども、来県される皆様にというところを今日はちょっと強調したところがありまして、ステージ3相当になっている地域にいる皆さんにも、それは非常に大変な状況なのだから、移動や行動は慎重にというのを岩手からもお願いしていきたいという思いも含めています。
記者
ありがとうございます。
もう一点、年末年始の医療提供体制のことについてお伺いしたいと思います。一般的にやはり年末年始、お盆の期間もそうですけれども、受入れ態勢というものは縮小して、そういったときにクラスターなどが起こると非常に医療体制が逼迫するということが想定されます。今回、雫石町の医療機関で大規模なクラスターが発生するような事態がありましたけれども、年末年始の医療提供体制に向けて何か対応措置などを考えていることがあれば教えてください。
知事
基本的な体制は整ってきていると思います。当番で開けておく病院とか、診療所とか、そういった体制については普通にといいますか、個別に感染が疑わしい人が相談できる、診てもらえる、そして陽性になったらすぐ診療してもらえるというような体制はできてきたと思います。そういう中で、クラスターの発生などあった場合には、潜在的には対応できる人や施設はあり、それが休んでいるという状況なわけですけれども、いざというときには休んでいる部分にも動いてもらって対応していくということになります。
記者
2点ありまして、知事メッセージの中にもありましたけれども、高齢者の基礎疾患のある感染者、重症化リスクの高い方たちの感染が増えているかと思います。それに伴って感染者に占める死者の割合も岩手県はかなり高めに出ている現状があるかと思いますが、その点について受け止めをお伺いしたいと思います。
知事
高齢者、そして基礎疾患のある方の重症化リスクというのは、まさに命に関わるようなことであり、岩手県内における実例からしても本当に警戒しなければならないと改めて思っています。高齢者や基礎疾患のある方、そしてその周囲にいらっしゃる方に対し、一層の注意を改めてお願いしたいと思います。
記者
ありがとうございます。
あと、今日発表のあった追加措置に関連してお伺いしますが、先ほど狙いの説明の中でこれまでやっている対応を継続できるようにという話がありました。これまで対象をかなり全国の基準よりも広げて検査を続けてこられていると思いますが、そうやって、やってこられた幅広の検査の成果、封じ込めにおける成果を今の段階でどう分析していらっしゃいますでしょうか。
知事
今週は、和歌山県知事さんが県のホームページに書いているブログで、やはり検査が大事だということが拡散し、また話題になりました。医療機関でのクラスターを地方において初めて経験し、そして徹底的に広く検査することによって早期にそれを克服したのは和歌山方式と呼ばれるくらい、和歌山県でそういうことをやったわけですけれども、やはりそれを参考にし、和歌山県に勝るとも劣らぬくらい広く、また同じ人に繰り返し検査をしていくということをやってきましたので、クラスターが判明したときには感染者数は著しく増えますけれども、その後は、岩手の新規感染者数がすぐ少なくなって落ち着くというような、11月に1つの山があり、12月にまた1つの山があったのですけれども、上がってすぐ下がるというようなことを2回やっております。これが、やり損ねますと新規感染者数が上がりっ放しになっていきますので、まずはそういうことを防ぎ、それは知られざる感染者、検査を受けないで無症状のまま人にうつしてしまうかもしれないような知られざる感染者が岩手では少なく抑えられているということでもあると思いますので、まずそれが成果かなと思います。
記者
私もコロナ関係なのですけれども、政府が定めた勝負の3週間というふうなところを経過しましたけれども、一方で各地で過去最多の感染者数更新など、感染者増に歯止めがかかっていない状況ですが、県内も含めて、これについて知事の所感をお願いします。
知事
岩手にとってはクラスター対策が勝負だったので、まずその勝負に対しては押し返しているなと、そして沈静化に向かっているなと思います。ステージ3相当になっている都道府県については、増え続けている新規感染者数を減らしていかなければならないというミッションがあると思うのですけれども、残念ながらそれが達成されていないというのが目の前の状況だと思います。経路不明の感染をもたらす、知られざる感染者、検査を受けないで無症状、軽症だけれども人にうつすような感染者というのは、新規感染者数が増えれば増えるほど確率論的に増えるわけでありますので、そういうリスクはステージ3相当の都道府県でどんどん高まってきているということです。ですから、やはり新規感染者数を減らすという形で、そういう知られざる感染者の数も減らしていく必要がありますので、そこを求めたいと思います。
岩手県は、北海道や大阪府に看護師さんを応援で派遣したりもしていまして、県内の状況も決して楽ではないのですけれども、ステージ3相当のところを、微力ではありますが、応援しているところもあります。そうやって日本中で助け合って、感染者数が多い都道府県での感染者数を減らすということを達成していきたいと思います。
記者
先ほどの質問でも出たのですが、知事メッセージの中にもありました県内の直近の1週間の新規感染者数は7.9とステージ2の状況なのですけれども、ただ一方で、県内の死者数は12(人)と350件近い(感染患者数の)中で、死者数が多い状況になっています。そしてさらに、院内感染によるクラスターも数か所で発生しています。これについて基礎疾患のある入院患者の感染も発生していますが、前にもお伺いしているのですが、地域医療の脆弱な本県にとって、院内感染の発生による入院患者の感染、診療の停止、こういった様々な影響が地域医療で考えられます。知事は慎重な判断をというところでしたが、改めて警戒の引上げまで考えはあるのかどうか、その辺りについてお伺いします。
知事
病院や介護施設でのクラスターというのが連続的に起きる状況ではなく、単発的に起きており、またほとんどの病院、介護施設では陽性が判明するのは人員の中のごく一部にとどまっているという実態があると思います。また、感染者が多かったクラスターについては、国のほうから専門家の応援をいただいて、きちんとした報告をつくってもらって、その報告を教訓として対応していくことで岩手全体としての再発防止につなげていくことができると思いますので、そのように進めていきたいと思います。
記者
メッセージに関連して御質問させていただきます。菅総理が国民に対して、感染予防の徹底や移動に関して厳しい呼びかけをした直後に会食をしたということでニュースになっておりました。その後、国民の誤解を招くという意味で真摯に反省しているというふうに陳謝されました。一方、西村大臣が国会での論戦の中で、5人以上の会食ということに関して、国民はどっちなのだという指摘が野党から出た際に、一律に5人以内とは言っていないというような答弁をして、非常に迷走していると思うのですが、国民に与える影響という意味で、知事はこのやり取り等、報道等でどのように評価あるいは受け止められているか教えてください。
知事
感染症対策は、やはり国民が対策についてその気になっていくことが必要ですので、国民がその気になっていくような取組を国には求めたいと思います。一方、国民の自助努力ばかりを強調するのはいかがなものかと思っていまして、やはり知られざる感染者というのが感染を広げているところがあるわけですので、それは確率論的な存在ですから、かつその当人にはそれが分からないというのがまた事の本質でもありますので、やはり知られざる感染者がかなりいるなというような地域に対しては、これは公衆衛生的な観点から移動の規制や行動の規制というものを組織的、集団的にやっていく必要があるので、そこは当該自治体や国においてステイホームなど、制度的な決定というものをしていくべきだと言いたいと思います。
記者
ありがとうございます。その意味で、三密になる会合の回避というところで、今までの会見のやり取りでも、人数に関しては、JR東(日本)さんの(基準に)あった8人というのは目安として参考にしているということでしたが、先ほど申し上げたように、菅総理のところも5人以内はいいのか、駄目なのかというところもあやふやなので、飲食店等のガイドラインに基づけば、どういう形のお店だと、お店の形態や対策をしていればいいというのが、なかなか利用者の県民には分かりづらいので、何か絵というか、こういう場面のこういう設定なら大丈夫なのですよというような、視覚的に訴えるようなメッセージも今後あってもいいのかなと思うのですが、知事どう思われますか。
知事
岩手県で県と市町村が協力してやっているように、飲食店1軒1軒をちゃんと行政の担当が回って歩いて、このお店だったらこうしたほうがいいとか、このお店だったらこういうパーティションがあっていいですねとか、そういうのをちゃんと行政で飲食店1軒1軒確かめるようなことをすればいいのだと思います。
記者
そうすると、今、実際にガイドラインとか、いろいろステッカーとか、ちゃんと徹底しているお店とか、協力店みたいなのがありますけれども、そういうお店を利用すれば、それは守られているということだし、お客さんのほうもマスク着用に協力していれば、感染対策ができた形で料理や会食、会合を楽しむことができていると、そういうふうに受け取ってもいいものでしょうか。
知事
行政のそういう働きかけだけではなくて、商工団体とか生活衛生団体など、組織的に感染対策の勉強会をやったりとか、あと疑問に答える、そういう体制をつくるとか、そうやって現場1件1件を着実に感染対策を講じられたようにしていくということを、これは特に感染者が多いような、ステージ3相当になっているようなところこそ、そういうことをやるべきなのだと思います。
記者
あともう一点、今までの会見等、あるいは本部員会議等で考えると、全国的な感染拡大、感染者数の増加が止まらない以上は、岩手も感染者数は、現状としても11月以降ある程度感染者が減っている状況ではないと思います。今日は新規の感染発表はありませんけれども、やはり落ち着いたとは言い難い中で、クラスターの部分での封じ込めや鎮静化のほうは功を奏していると思うのですが、引き続き全国で起きているような感染の事例のようなものが岩手で起きるということに関してはリスクがあって、それに対応していかなければいけないというふうにお考えかどうか、その点はいかがでしょうか。
知事
やはり知られざる感染者の問題であって、それは感染者数が多ければ多いほど知られざる感染者も多くなっていると推測されますし、また、人々の移動が多ければ多いほど知られざる感染者も移動が多くなり、岩手県内における知られざる感染者の存在、可能性も高まるということが推測されますので、そういう推測からすると9月の段階に比べて11月、12月とリスクは高まっているわけですので、さっきから言っているようなステージ3相当の地域の移動制限、行動制限の徹底、また岩手県内における感染対策の徹底ということを求めていかなければならないという状況です。
記者
ちょっと私も知事メッセージについて1点だけお伺いしたいと思います。
知事のお話の中で、医療体制についてはまだ逼迫の状況ではないというお話はありましたけれども、11月以降、感染者数が急増して、実質、医療関係者の方の負担というのが大きくなっていると思います。そういう中でもあって、今回の追加措置ということでもあると思いますが、知事メッセージの中で県民または来県する方へのメッセージというのはよく分かりました。改めて医療従事者の皆様に対しての知事の思いというのを改めて具体的にお話しいただけますか。
知事
今、医療従事者の方々が求めているのは、やはり感染者数が少なくなることなのだと思います。まず、岩手において、岩手県内で感染者が少なくなるようにしていきますし、またそれは日本全体として取り組まなければならないことでもありますので、感染者数の多い地域への働きかけ、また国への働きかけもしっかりやっていきたいと思います。
あさって日曜日は、緊急の全国知事会ウェブ会議も予定されておりますし、全国知事会としても地域限定の行動制限を徹底することで、日本全体の感染者を少なくしていこうという、そういう戦略を共有していますので、それで医療現場の負担を減らしていくということをしっかり取り組んでいきますので、よろしくお願いしますと申し上げたいと思います。
幹事社
それでは、一般の質問に移ります。
記者
昨日、二戸市の漆かき職人(の伝統技術)がユネスコの無形文化遺産に登録されましたと。これについて、まず知事としての受け止め、所感を伺ってもよろしいでしょうか。
知事
大変よかったと思います。実態としては、漆というのが英語でジャパンと言うくらい日本特有の技術にして文化という形で世界に認識はされていたのですけれども、ユネスコ世界遺産制度の中で無形遺産として認められることで、より知られやすくなったと思います。やはり注目されやすくなる、関心を持たれやすくなるということが世界遺産登録制度のメリットだと思いますので、最近、岩手県としても岩手の漆に関する発信に力を入れてきているところですが、さらに力を入れていきたいと思います。
記者
ありがとうございます。さらに力を入れていかれると今、力強い御発言がありましたけれども、県として具体的に、これまで早池峰神楽ですとかスネカを含めたものもございましたけれども、県として改めてこうした無形文化遺産について、どのようにPR強化、あるいは世界中に発信していきたいなとお考えでいらっしゃいますでしょうか。
知事
来年度予算の検討の中で、来年は平泉の世界遺産登録10周年なので、平泉に限らず橋野鉄鉱山や、そして御所野縄文遺跡、そして早池峰神楽、あとスネカ、そして漆、それらについてうまく相乗効果があるように発信、そして振興していこうということを今準備しているところです。
記者
文部科学省のほうで小学校の35人学級を進めるという話の決定があったようです。実際、県内の市町村の中でほとんど、具体的に数字はちょっと分からないのですが、ほとんどやっているかとは思うのですが、今後はたぶん、国としての財政措置がしっかり担保されるということになるのだと思います。まず、知事としてどのように考えていらっしゃるでしょうか。
知事
県からも国に要望してきたことですので、良い事だと思っております。感染対策で今、少人数学級が求められているということもありますし、またこれからの教育の内容を考えても、きめ細かな指導ができるような少人数学級が求められていますので、岩手においても国の方針を踏まえて、より充実した教育が行われるよう、教育委員会の頑張りどころではあるのですけれども、知事部局も支援していきたいと思います。
記者
全国的にこうなるということで、例えば都会のほうでいまだに40人学級だったところが35人になるということで、恐らく教員の数を増やさなければならないと思うのですけれども、そうすると全国的に教員の確保の競争というのも起きるのではないかと思います。岩手として教員確保のためにどのように進めていくか、お考えをお願いします。
知事
教育委員会もいろいろ努力と工夫を重ねているところでありますので、それを知事部局としても教育環境整備という形で支援していきたいと思います。
記者
先日の階猛議員と立憲県連の民事訴訟が始まりました。階さん側は答弁書の中で、今回の立憲さんの訴訟について、提訴する必要のない、社会的な評価を下げることを狙いとした訴訟だというような趣旨の記載も書いていたのですけれども、その訴訟が始まったことについてどのように見ていますか。
知事
裁判とは離れて、去年の参議院議員選挙から知事選、県議選という流れは、岩手において、いわゆる野党共闘の形をつくって、そしてそれを日本全体にも広めていくと。その後、新しい立憲民主党という形で野党結集が大きく進展していく、そのための重要な運動、活動だったわけですけれども、そこに無所属という形で背を向けて、そこで使おうと思えば使えたはずの3,000万円を国民民主党の外に出して、何かあったときに使えるようにしないようにしたという理由は、やっぱり多くの人が知りたいと思っているのではないかと思います。
記者
その3,000万円の、多くの県民がなぜそういうことをしたのか知りたいということでしたけれども、答弁書の中で10月の提訴される直前に、階さん側としては参院選のあたりの際に、3,000万円のうち700万円を使って2,300万円しかないと。その2,300万円を返還プラス自分の資金700万円を出して3,000万円を立憲の県連に寄附する形の和解案を示したということなのですけれども、県連に対して。県連さんは応じなかったというふうに答弁書で書かれていました。お金は返金するつもりだったようなのです、階さんとしては。ただ、資金移動について階さんが不法行為と認めることが立憲さんの和解の条件だったというようなことも書いてあったのですが、その部分はどのように見ますか。
知事
裁判にはコメントしないという前提で、一般論として語りますけれども、去年の大事なときに野党共闘サイドにあったはずの3,000万円を外に出して使えないようにしていたのはなぜかということが大きい問題なのだと思います。
記者
ちょっと話が戻るのですが、漆かきを含む伝統建築工匠の技が無形文化遺産になったというニュースの中で、漆かき職人の後継者不足も結構課題になっていると思っていました。二戸市では、首都圏から「うるしびと」として担い手をつくっていくというような取組をされていますけれども、先ほどのお話の中で、県としても来年度の予算の中で相乗効果あるように振興していくというお話ありましたけれども、担い手不足についての御認識と、今後どうしていきたいかというのをお聞かせください。
知事
県外からやってこられる方もいらっしゃいますので、ですから分かる人には分かってもらえるといいますか、漆の価値やそれに携わる意義ということ、これももっと発信して広めていかなければならないのだろうなと思います。また、そのようにIターンも含めて、なりわいとして関わっていこうという人たちの支援ということについては、広く地方創生、ふるさと振興の政策体系の中で、より岩手に暮らしやすくし、岩手での仕事をしやすくしていくようなことを総合的にも取り組んでいきたいと思います。
広聴広報課
以上をもちまして、記者会見を終わります。
次回記者会見
次の知事定例記者会見は12月25日(金曜日)の予定です。
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