令和6年5月17日知事会見記録

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開催日時

令和6年5月17日10時00分から10時30分まで

会見記録

広聴広報課
 ただいまから記者会見を行います。本日は、知事からの発表はございません。

幹事社
 本日は、記者クラブを代表しての幹事社の質問の用意はございません。各社から質問があればお願いいたします。

記者
 今日は、大きく2点伺えればと思っておりました。1点目ですけれども、盛岡市の新庁舎整備について伺えればと思います。一部報道ではありますけれども、盛岡市の新庁舎整備に関する審議会で内丸整備が有力とする調査結果がまとまったようです。まず、こちらの所感について伺えればと思います。

知事
 そうですね。新聞の見出ししかまだ見ていない状態ですけれども、内丸再開発の様々な議論の中で、内丸の持っている様々な良さ、そこに官公庁がある意義とか、そういう議論は過去からもずっとあり、そういう方向で報告が出たということですか。なるほどなと、自然な流れかなというふうに思っております。

記者
 ありがとうございます。今度は県庁舎についても伺いたいと思うのですけれども、県庁舎も老朽化が進んでいるというところは(盛岡市庁舎と)共通しているところかと思います。これまでも再整備について、様々な複数のパターンを議論するというところになっておりますけれども、今回の(盛岡市の新庁舎の)内丸整備が有力とする案が出たことで、(県の)新庁舎再整備のほうに影響を与えるものがあるのか、現状の進捗状況についても併せて伺いたいと思います。

知事
 今回のことで盛岡市役所の今後の在り方についてより明確になっていき、そして、それを踏まえながら、内丸の将来像がより見えてくると。それをまた、前提にしながら、県庁舎の在り方を検討していくということになると思います。県庁舎については、最新の耐震診断など行って、改良整備した場合の費用とか、また、建て替える場合の費用とか、そういった基本的な検討のためのデータが出そろったというところであります。
 盛岡市役所の在り方、そして、内丸の在り方を前提にしながら、県庁舎の在り方も決めていくのですけれども、一方、そういう話の流れの中で遅れないようにしなければならないなとは今、思ったところでありまして、今回の盛岡市役所をめぐる議論の情報もきちんと検討しながら、県庁舎の在り方も検討を進めていきたいと思います。

記者
 ありがとうございます。話題は替わりまして、先日、米国の大型加速器、EIC(電子-イオン衝突型加速器)の建設計画に日本が参加を検討する方向となったということになりましたけれども、加速器というと、どうしても本県に住んでいるとILC(国際リニアコライダー)というのが、まず先に思い浮かぶものかなと思っています。全く性質の異なるものなので、結びつけるのはいかがかとは思うのですが、今回、EICの建設計画に日本は参加する方向となったということについて、知事の所感と、ILC計画にどのような影響があるかというところを伺えますでしょうか。

知事
 EIC計画は、2019年にアメリカのエネルギー省がミッションの必要性を承認、ということがあり、翌2020年には、ブルックヘブン国立研究所がホストになることが発表されて、2022年、コロナ禍でアメリカの経済対策財政出動のいわゆるインフレ抑制法の中で、EIC計画に対しても1.38億ドルというので、日本円にして200億前後なのでしょうか、そのくらいの予算が措置されていましたので、順調にそちらは進んでいるのだなと思っておりました。
 EICのほうは、陽子や原子核に電子をぶつける実験研究ということで、量子科学ですね。量子というのは、物質はイコールエネルギーで、エネルギーはイコール物質だという、その辺の振る舞いについて研究するのが量子科学で、そこが量子コンピューターなどの実用的な究にも参考になるのではないかということだと思います。ですから、そういうところに日本が参加するのは大いに意義があると思います。
 一方、ILCのほうは、これは電子と陽電子をぶつけることで、ヒッグス粒子、ヒッグス場と言ってもいいのですけれども、粒子やエネルギーの更にその先の空間の本質に迫る、より物質やエネルギーの根本の部分が研究対象になっていますので、そちらはそちらでやはり別途やらなければならないことだと思います。
 ある意味、経済対策という側面も持ちながら、アメリカでEICが進んでいくというのは、日本においてILCを進めていくということの大いに参考になるところでもあって、日本におけるILCの実現にも弾みがついていくことを期待します。

記者
 話題替わりまして、先日まで開かれていました(日本創生のための)将来世代応援知事同盟の会合についてお伺いします。まず、この会合の中では、宣言であったりとかアピールも出されましたが、改めてどういった思いで出されたのか、今回、どういったことを盛り込んだのか、御所感をいただければと思います。

知事
 少子化対策、子ども・子育て支援ということから始まって、地方創生という枠組みにまで対象を広げて、有志の知事が毎年集まって、提言を取りまとめて、行動にも移していくという、それを重ねてきたところに、ちょうど地方創生10年ということで人口戦略会議というものができて、消滅可能性自治体という報告を10年ぶりに行いました。その動きと連動しながら、国民運動につながっていくような共同声明と緊急アピールを出せたことは、大変意義があったと思います。人口戦略会議の三村議長と事務方の代表の山崎史郎さんを(日本創生のための将来世代応援)知事(同盟)サミットに招いて、言わば、一体となって取り組んでいこうという形にできたことが大変良かったと思います。
 そして、地方消滅10年、地方創生10年を振り返って、結局、自治体間競争だったのではないか、うまくいかなかったのではないかという意見もあるわけですけれども、今回の宮崎サミットでは、やはり東京一極集中問題ということが非常に大きいということが確認されて良かったと思います。幾ら地方でかつてないような産業政策を進め、雇用条件がかつてないほど良くなっても、同じ時期に東京が、東京は東京でかつてないような経済の調子良さ、好況を呈しますと、東京への人口転入は更に増えてしまうというような経験、そういう認識が共有されて、やはり国が本腰で東京一極集中を是正しなければならないということが発信されたことが成果だったと思います。
 また一方で、各地方自治体が子ども・子育て支援に関しては、非常にきめ細かな、あるいは思い切った施策を講じて、少しでも結婚、出産、子育てがやりやすくなるようにずっと努力し続けてきたこと、今もまた新たな施策を次々繰り出していること、これも確認できて、そういう地方の努力と国の努力が合わさったときに効果が出るという、そういう趣旨の声明、アピールができて良かったと思います。
 ちなみに、7月の福井県での夏の全国知事会議にもこのテーマは持ち込んでいこうというふうに今、打合せなどをされていまして、岩手県も民間の代表と知事さんたちで一つのセッションを行って、地方が直面する課題について深い議論を行おうというセッションで、人口減少に関するセッションを岩手県が一つ主催しようという方向で調整していますので、それをまた成功させて、更に国民運動的に国を挙げて人口減少対策を進めるという流れをつくっていきたいと思います。

記者
 先ほどの質問に関連して、新型加速器計画なのですけれども、性質は異なるとはいえ、加速器計画を幾つも並行して進めるというのは非常に困難な部分、特に金銭的な部分であると思うのですが、今回のアメリカの加速器計画に参加することで、比較的負担が軽く導入できるものもあると思うのですが、一方でILCは巨額の建設費用が課題となっていて、なかなか進んでいない部分もあると思います。そういった観点で、二つ並行して大きな拠出をするのは難しいと思うのですが、そういった観点からどのようにお考えになりますでしょうか。

知事
 アメリカ政府は、EIC(の)推定コストが日本円で2,600億円から4,300億円(とのこと)で、最大の4,300億円だとILCの半分ぐらいかなというところなのですけれども、経済対策にもいいという判断で進めようとしているわけでありまして、思えば、アメリカで出版されている「フォーリン・アフェアーズ」という雑誌には、ヨーロッパの緊縮財政の傾向に対し、あれでは駄目だと、やっぱり積極財政がいいのだという論文がよく載っていまして、どういうところに財政出動すればいいかというと、それは民間ではできない基礎科学とインフラ整備だというふうな論調が多く、アメリカはやっぱりそれが政策にもちゃんと表れているなと思っております。
 私は、やっぱりそういう経済対策的なことを考えても、日本で早くILCを造り始めたほうがいいと思っております。そして、加速器は、(茨城県)つくば(市)にあるKEK(高エネルギー加速器研究機構)ようなものは世界中にたくさんあって、いろんな目的のためのいろんな加速器の成果をお互い参考にし合いながら、それぞれ研究を進めるという側面がありますので、新しい研究領域に進んでいけるような大型のものがあちこちにできるというのは、むしろそれは必要なことであって、人類の科学と、それから様々な実用的な技術にもそれは寄与すると思います。

記者
 ありがとうございます。別の話なのですけれども、先日、秋田県の佐竹知事が、クマの出没被害の増加に伴って市街地での猟銃の使用を弾力的に認めるべきだというお考えを示されて、国に提言をされる御予定だと伺っています。市街地では人が近くにいるということで、危険性も伴うかと思うのですが、岩手県内での使用に関して、知事として何かお考えがあればお伺いします。

知事
 市街地での銃器の弾力的な使用については、去年(令和5年)、北海道東北地方知事会でクマ対策を政府要望したときも盛り込んでいたことでありまして、岩手県としても、やはり、いざというとき、市街地でも様々安全を確保した上で、銃を使うことが必要な場合は使うということが認められるべきだと考えています。それが二次災害といいますか、クマによる危険に更に危険を加えることになっては本末転倒でありますから、そこはめったやたらに使っていいということではないわけですけれども、付近の住民の安全、また、捕獲関係に携わる人たちの安全を確保した上で、専門家が専門的に使うと、クマの危険を除去できるという、そういうシチュエーションはかなりあり得ると考えていますので、それができるよう、岩手からも国に働きかけたいと思います。

記者
 他県のことで恐縮なのですけれども、東京都知事選に安芸高田市長が挑戦することがネット上で話題になっていますけれども、知事はこのニュースをどのように受け止めましたか。

知事
 何か、格好良いステージで、格好良く発言している、東京都知事に立候補宣言をしている動画を見ましたけれども、格好良いなと思いました。やっぱり若いというのはいいなというふうに思いました。地方での政治、地方政治というものも含めて、日本の政治、今新しい政治が求められている中、それに呼応して決断をしたということなのだと思います。東京都知事選挙(では)、(東京都知事を)東京都民の皆さんが決めることなので、私からはとやかく、誰がいいとか、そういうことは、今のところ言わなくていいのかなとは思っておりますけれども、いろんな可能性が検討され、そして、その中には新しい政治の在り方というものも含まれる形で様々な可能性が検討されて、東京都知事が選ばれるという良いプロセスが進めばと期待します。

記者
 お聞きしたいことが2点ございます。1点目は、今日(5月17日)、まさに中国のほうに向けて出発をされる御予定だと思いますが、改めまして、今回5年ぶりの訪中の目的と意義について、どのようなお考えなのかお聞かせください。

知事
 大連と遼寧省の省都瀋陽、そして、上海及びその近郊の天台山に行くわけですけれども、大連市、そして、遼寧省とは既に友好協力協定を結んで、様々活動しておりますので、最新版の友好、協力の在り方を確認することが基本的な目的になります。
 上海と天台山のほうは、南部鉄瓶を始め、岩手の物産を中国でどんどん売っていくということ、それからインバウンド、観光で中国から岩手に来てもらうということ、その関係を進めていくということが目的になります。大連市のほうでは民間の岩手県の物産を扱ってくれている業者さんとも会う機会がありますので、そちらでもこの岩手の物産の売り込みということは目的になります。大連市ではアカシア祭りという、言わば大連市の国際観光博覧会のような行事なのですけれども、そこで日本の自治体を代表して挨拶をさせてもらえることになっておりますので、しっかりその役割を果たしたいと思います。
 日本と中国の貿易は、日本にとって中国は最大の貿易相手国になっていますし、そのような発展、成長している両国間の経済関係とか、また、交流、社会関係の中で、岩手県がこの名誉ある地位を占めながら、岩手の経済や県民生活にも利益になるような関係を進めていきたいと思います。

記者
 ありがとうございます。上海と花巻を結ぶ路線なのですが、こちらの再開についてはどのように働きかけようというふうにお考えでしょうか。

知事
 インバウンド観光を推進するという一つの大きな柱がこの上海-花巻便の復活になりますので、航空会社を直接訪問して、この復活を要望し、その際改めて、岩手県やまた、いわて花巻空港の観光面での可能性、東北の中心は、(東北の)北と南のちょうど真ん中は、平泉が真ん中なのですが、その真ん中に一番近い空港はいわて花巻空港ですよということで、東北の地理的な中心に近いのがいわて花巻空港で、東北周遊旅行などには、このいわて花巻空港が便利ですよとか、そういうことを改めて伝えて、復活を期したいと思います。

記者
 ありがとうございます。あともう一点、質問の内容変わるのですが、最近、海水温の上昇でコンブ、ワカメ、ホヤといった養殖業が非常に大きな影響が出ているという話が聞かれています。その中で、県として何か支援策等、考えていらっしゃるものがあるのかどうか、そこら辺についてお聞かせいただければと思います。

知事
 岩手県水産業リボーン宣言というのを漁協、そして、県、漁業関係者、水産関係者でこの宣言をしていますけれども、そこで示されている基本戦略は、まず、気候変動で影響を受けていると思われる、それはイコール漁獲量が減っている海の幸については、それでも少しでも回復できるような研究や、また、実際にそれをやってみるというようなことで対応すると、それが一つ目。二つ目は、例えば、水温が高くなっているのであれば、その高い水温に合うような新しい海の幸を捕って売っていくという、捕れるものを売っていくというのが2番目ですね。そして、3番目が、今までにない新しい養殖とか、そういったことに挑戦ということで、湾内でのサケの養殖ですとか、アサリの養殖とか、ウニの蓄養とか、そういう3段構えの戦略でこの気候変動に対応していくということになります。

記者
 先日、北上市のほうで4年制大学の設置に向けて基本構想の策定に着手すると、そういう方針を示されました。早ければ2030年度の開学を想定しているということですが、市立大学の設置へのいろんな見解もあるとは思うのですけれども、それに対する知事の御所感と、あと、県としてこの件にどのように関わっていくのかについてお聞かせください。

知事
 北上市は、北上川バレーと呼べるような北上川流域の産業集積の中心にありまして、この工学系の大学ができれば、それは広い北上川流域地域のものづくり産業の一層の集積に資することになると期待しますし、また、人手不足に直面しているこの岩手の企業の人材確保にも資するというふうに思います。
 日本全体として、大学については規模縮小とか、そういった方向の動きが大きくて、学部を新設するとか、学部の定員を増やすとかが難しい状況にあるのですけれども、地の利を生かしながら工学系の大学ということでうまくいくのであれば、それは非常に良いことだなというふうに期待します。

記者
 岩手県だと、県立大学さんもあるとは思うのですけれども、当然、連携とか、そういった部分にも関わってくるかなとは思うのですが、仮に設置された場合、その点についてはどのようにお考えですか。

知事
 連携は、非常に期待できると思います。既に大学間協力というのは、岩手県内で密接に行われているのですけれども、特に、ものづくり関係の分野での連携というのは、人材育成から新たな研究開発、産業技術の発展など、早い効果がたくさん期待できるなというふうに思います。

広聴広報課
 以上をもちまして、記者会見を終了いたします。

次回記者会見

次の定例記者会見は5月31日(金曜日)の予定です。

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