令和6年8月30日知事会見記録

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開催日時

令和6年8月30日10時00分から11時07分まで

会見記録

広聴広報課
 ただいまから記者会見を行います。本日は、知事からの発表はございません。

幹事社
 本日は、記者クラブを代表しての幹事社質問の用意はありませんので、各社から質問があればお願いします。

記者
 私からは南米出張についてと、あと危機管理対応について伺えればと思います。
 まず、南米出張について伺います。先日まで知事はブラジルなど南米を訪問されました。現地ではブラジル県人会の記念式典などに出席されましたけれども、訪問を終えての所感ですとか、今後の展望といったところを伺えればと思います。

知事
 今回は日程をやりくりしまして、南米にある全ての岩手県人会6か所を訪問してきました。国でいうとアルゼンチン、パラグアイ、ブラジルの3か国になります。それで、それぞれにおきまして、密林を開墾し、苦労に苦労を重ねて開拓をされた先人、また、外国の都会で様々な仕事をして、そして、家族を養い苦労された先人、そうした先人の方々の追悼ということが大事ですので、それを行い、また、それぞれの県人会が、知事を代表とする訪問団の歓迎をしながらのそれぞれの周年行事を行うということで、非常に期待され、そして、歓迎され、母国ならぬ母県という言葉、母なる県という母県という言葉を使うのですが、母県と県人会との関係を維持、発展させるということができたと思います。
 そして、一方、私自身今回4回目の南米訪問で、ここ約15年間の変化を見てきたところもあるのですけれども、全体として高齢化する中、県人会の会長を始め役員も1世から2世の方々に移り、さらに、その孫やひ孫の3世、4世の世代が成長してきて青年になってきているという状況です。3世、4世の方々は、意識的に日本語を勉強しないと日本語がほとんどできないような状態で、また、2世の方々も、かなり日本語を自然に操ることができるのですが、同じ2世同士の話は現地語でやっていたりとか、かなり現地社会に浸透しているという状況でありました。そういう中で、それぞれの県人会共通の課題は、いかにして3世、4世に日本という国や、また、その文化を身に付けてもらうかということで、そこに母県である岩手県が貢献できるなということを改めて感じたところです。県が行っている県費留学や技術研修、毎年一人ぐらいずつ南米からこの岩手に来て勉強したり研修したりしているのですけれども、それが今や、3世のあたりが主力になってきているといいましょうか、それが非常にいい経験で大変ありがたいということをそれぞれから聞いてきたところであります。
 それから、もう一つ、今回気付いたことなのですけれども、世界的に日本の料理、食、それを始めとする生活文化、アニメや漫画を含めて、それがどんどん人気が高まっているというところがあって、それは南米でも同様です。去年(令和5年)12月、東南アジアでそういうところを見てきて、岩手が提供する食材とか料理とか、そして、おもてなしのサービスなど、岩手が輸出やインバウンド振興で提供できるものが、そのまま今世界が求める日本の良さでありまして、これが南米においても同様の状況になっているなということに気付きました。そして、南米の岩手県の皆さんがそれぞれの社会により溶け込みながらそこで貢献していくために、ブラジルではわんこそば大会を毎年やったりとか、ジャパンイヤー、日本全体のイベントの中で岩手の食材を提供したり、料理を食べてもらったりということで、それがますます人気を博しているということで、岩手、母県が世界に向けてやっていることが南米現地で県人の皆さんがやっていることと同じ方向を向き、その相乗効果でそれぞれの効果が、より高まるであろうというようなことにも気付いたところであります。
 あと大事なポイントは、ブラジル県人会の多田会長さんが、これはある新聞のインタビューに答えて話していたところを記事で読みましたけれども、今度はブラジル側が、今までブラジルに縁もゆかりもなかったような人でも岩手の若い人をホームステイなどしてもらうような、そういう交流も考えられるのではないかということで、ブラジルはBRICS(ブリックス)、新興国の一つで、環境と両立する経済成長という路線で非常に可能性のあるところですし、また、アルゼンチンやパラグアイなどのスペイン語圏も様々な経済活動、社会活動のチャンスが広がるところですので、そういう様々な可能性を県人会の皆さんと一緒に母県側も追求していきたいなということを感じたところです。

記者
 ありがとうございます。南米出張についてもう一点、出発する前の記者会見で、岩手の今をお伝えしたいという中でニューヨーク・タイムズ等の盛岡市の掲載等もあって、岩手が果たしていくインバウンドに対しての役割というところもお伝えしていきたいというようなお話もなさっていましたけれども、ニューヨーク・タイムズ掲載が現地で話題になっていたとか、何かそういったことを手応えとして感じる場面はありましたでしょうか。

知事
 知らない人もいましたが、県人会の役に就いているような方々は知っていたかなという感じです。そして、岩手、母県が輸出振興とかインバウンド振興とかでやっていることと同じようなことを現地で県人会が現地社会に対してやっているなという、そういうことを今回確認できたなと思います。
 ちなみに、情報通信技術の発展は著しく、県人会の皆さんはかなりリアルタイムで、また、詳しく日本の事情とか岩手の事情、大谷翔平君の活躍とか、そういったことを情報入手しているなということも今回気付いたところでありまして、岩手と南米と離れたところに居ながらにして、地球の反対という言葉があるのですけれども、地球の反対側に居ながらにして、情報を共有しながらいろんなことを一緒にやっていけるなということも感じました。

記者
 ありがとうございます。次に、危機管理対応についてお伺いできればと思います。本日あいにく(担当が)出張中でありまして、不在で本日の会見に出られないのですけれども、災害時の情報提供の在り方について伺いたいと思います。県のほうでは災害時の被害ですとか対応状況など、報道機関への情報提供を1日3回、定時で行っているとは承知をしています。そこでなのですけれども、(8月)27日に県の内陸部で局地的な大雨を観測した際に夜間に情報提供を求めたところ、拒まれたというような事例がありました。災害発生時は、定時にとらわれずに、都度情報提供を行うことが住民の命と安全を守ることにつながるのではないかというような指摘もあります。知事は情報提供の在り方についてどのように考えて、これを改善とか見直す方向性があるのかどうなのかというところもお聞きしたいと思います。

知事
 今回、台風10号の影響で岩手県内に大雨が生じ、そして、盛岡で中津川があふれ、県庁所在地の中心部分に広がるかもしれないという、岩手にとって、これは一大事だったと思います。私もリアルタイムで、ちょうど(南米訪問から)帰ってくるときの空港での待合室でインターネットで情報を入手することができて、そこには県からの発表とか各市町村からの発表、マスコミの報道などが含まれるのですけれども、中津川の水位がどんどん上がっていて、また、米内川とか関連するところでも大変なことになっていると。中津川の氾濫というのは、盛岡の歴史上は何度もあることではあるのですけれども、今みたいな近代的な防災体制の下では、今回初めての危機、そうなる可能性が視野に入った状況の中で、結果は中津川氾濫というようなことにはならなかったわけですけれども、その大変さというのをどう報道するかというのは、報道する側からすれば天下の一大事だったのだと思います。それに関して県側とどのような形でそれを県民の皆さん始め世間の皆さんに伝えていくのかということで、県側としては災害情報に関する原則的な対応で今回いかせてもらうというような対応だったわけですけれども、そこはやっぱりもう少し、私自身もこれは大変なことになるかもしれない、どうしようという気持ちになりましたから、県民のそういう気持ちに寄り添うようなマスコミ対応があってしかるべきだったのだと思います。

記者
 ありがとうございます。そうしますと、今後は事の重大性というところが一つ大きな基準になろうかとは思いますけれども、都度情報提供いただけるような形になっていくものなのかどうなのかという見通し、まだ今後の検討状況(次第)かなとは思うのですが、いかがでしょうか。

知事
 ただ一方、水があふれ、溢水(いっすい)し通れなくなるとか、あと土砂、盛土が崩れるみたいなこととかあちこちに生じたわけですけれども、そうした具体的な被害はやはり朝になってみないと確認できないというところがあったと思いますし、また、その可能性だけを深夜の段階で、近代的な防災体制の下で初めて中津川が中心市街地で氾濫するかもしれないということを広く県の発表とすることがその夜適当だったのかというと、結果はそういう氾濫は起きていないわけでありまして、でもその可能性はあったという、そういう可能性をどう伝えるか、あるいはそれは可能性にすぎないのだというふうに、むしろ必要以上の心配はしなくていいという伝え方をするのか、そういうのはやっぱりその状況次第なのだと思います。

記者
 ありがとうございます。今、情報提供の部分で伺っておりましたけれども、今度は危機管理の組織体制についてお伺いをできればと思っています。2021年度の機構改革で防災課のほうが総務(部)から(復興)防災部へと改組されたという経緯があります。今回の災害の初期対応から復興段階までをシームレスで行おうという意図があっての組織改編かとは思うのですけれども、先ほどの情報提供の在り方一つ取り上げても、その危機管理対応の部分で十分なのかというところも今回考える機会ではあったかなと思っております。また、例えば土木であれば、土木分野の方がやっていたりとか、医療福祉であれば医療福祉の方が担当されていたりとかといった実業の部分で実際にそれぞれの部局が担っているというところもあって、実態と組織の体裁というところがベストなものなのかというところも今後考えていくべきところなのではないかなというふうには思うのですけれども、この危機管理の組織体制について、知事としてどのようなお考えかを伺います。

知事
 防災を総務部門の一部として扱うのではなくて、防災という主要な政策分野の一つとして扱う、それにふさわしい組織をつくるということは、防災の主流化というキーワードで、国連も推奨し、世界的に取り組まれていることで、岩手県でもそうしているというところです。ただ、御指摘のとおり、感染症対策では保健部局の役割というのが際立って見えて、感染症でも家畜感染症の場合には農林水産部のほうの動きが主に見えてくるみたいなところで、より防災という共通性を持った対応というのをできないかという、そういう改良の余地は多々あると思っております。
 そこで、7月に総務部と政策企画部が中心となり、関係部局で構成するワーキンググループを立ち上げまして、危機管理対応課題検討ワーキンググループという名前で、今述べたような指揮命令系統全般の在り方とか、複数の危機事案発生時の対応の在り方とか、様々な課題を検討して、防災の体制、そして、実際の動きを更に良いものにしていきたいと思います。

記者
 ありがとうございます。今、ワーキンググループのところが言及されましたけれども、先ほど指揮系統のところだったと思うのですけれども、このワーキングが目指す具体像というか、どういった組織像というものが、もし描かれているものがあれば教えてください。

知事
 それを検討するためのワーキンググループなので、最初からこういう形にするという結果ありきではありませんので、今の段階では課題を指摘して、それをどうすればいいかというのはこれから考えるということになります。

記者
 私から2点お願いします。まず1点目、先日、岩手地方最低賃金審議会、こちらのほうが県の最低賃金を引き上げるよう労働局に答申しました。知事が実際直談判をしたという経緯もありまして、結果として全国最下位は脱する見通しとなっております。この件についての所感と、あと例えば、引上げを受けて県として今後の対応をお願いします。

知事
 最低賃金が日本の中で既に上のほうにある県では、政府の目安額50円というのに1円も加えないケースが多くあるわけでありますけれども、最低賃金が低い県はかなり50円にプラスアルファをしており、その中で岩手県59円の引上げにしたというのは、C地域の中で最も額の大きい引上げになっており、全体の中でも徳島に次いで2番目の引上げ額で、全国トップレベルの引上げを行ったということだと思います。
 一方、それでも岩手県の最低賃金は、全国の中では低いほうから2番目に5県が横に並んでいるその中に入っているわけで、だから(低い方から)2位というか、6位というか、そこに岩手県はいるわけで、まだまだ岩手の最低賃金は低い、そして、最低賃金の高い都道府県との間に格差があるという指摘が行われているというところがあります。一方、経営者側は会議でも反対意見を述べ、そして、採決でも反対をしたということで、経営者サイドにとっては、かなり厳しい結果ということなのだと思います。
 したがいまして、最低賃金制度による全体の底上げとしては、まず一定の機能を今回の結果は果たしていけると思っておりますけれども、ただ実際の賃上げなどでは最低賃金以上の賃金で働いてもらっているところが多いわけでありますし、賃金の上昇、それによる消費の拡大、そして、企業側もそれで潤って経済が成長する、賃上げと成長の好循環というものが岩手において実現するよう、そういう実際の運用が期待されますし、また、それを様々な形で県としても支援していきたいと思います。

記者
 ありがとうございます。すみません、話題変わって、参院補選の関係です。先日、自民党の岩手県連が参院補選について、けじめをつけるという理由で後任候補の擁立を見送りました。この対応についての所感と、あと何度も聞いてはいますが、この参院補選がどういったものになってほしいか、この2点お願いします。

知事
 県民にとっては、裏切られたという印象が広がっているのだと思います。日本を守り、岩手を変える、そして岩手にめぐみ、そういうスローガンの中で、大いに期待して、2年前の参院選でああいう結果になったわけですけれども、その結果、選ばれた人がその後様々な不祥事、最後は、今検察が起訴に向けて最後の段階ということなのだと思いますけれども、違法行為に手を染めるということで、やり直したいと、2年前のあの参院選をやり直したいということが県民の思いなのではないかと思います。ですから、2年前の選挙をやり直すということに関していえば、自民党岩手県連としても様々なやり直し方があるのだと思うのですけれども、一つ今回の決定は、政治団体の自主的な、自由な決定として重く見たいというふうに思います。
 ちなみに、2年前の参院選をやり直したいというのは、実は日本全体でもそういうところがあると思うのです。岸田首相が次の総裁選に出ないということを発表した記者発表の中で、(旧)統一教会問題と裏金問題が合わさって政治不信を生み、そこにけじめをつけなければならないので、自分は総裁選に出ない、イコールこれは総理大臣を辞めるということでもありますので、総理・総裁が自らをささげなければならないほどの政治の不正常な状態の下で2年前の参院選は行われていたということで、言わば日本全体がやり直し参院選というのを潜在的に求めている中、岩手においてはそれが実際に行われるということだと思います。

記者
 最低賃金について関連でお伺いします。先ほど知事のほうからも御説明あったとおり、岩手県は目安から9円と今までに比べるとかなり大幅な引上げ額になったと思います。一方で、言及ありましたけれども、徳島県に関していいますと、プラス84円という目安の50円からすると、かなりかけ離れた額の引上げになりました。報道等を見ますと、これに関しては後藤田知事がかなり強く要請をして、それを受けて審議会のほうで算定の仕方自体を抜本的に変えてしまって、84円という額を算定されたそうです。これも知事から言及ありましたけれども、いわゆるCランクと言われるような県の中でものすごい大幅な引上げ、ある意味引上げレースみたいな感じになってしまっているこの現状について、まず受け止めをお願いします。

知事
 最低賃金を上げたほうがいいという論理から見れば、C地域において積極的に、ほかの最低賃金の高いところ以上に最低賃金を上げようと各県が努力しているというのはいいことなのだと思います。ただ、そこには経営者側が大変ということは留保としてあるのですけれども、その分経営者を支援するような政策を組み合わせたポリシーミックスを行えばいいのだと思います。
 徳島県さんは、今回の84円アップをしてようやくB地域の中で、例えば、今の(手元にある)資料だと、山口県の隣に書いているのですが、山口県の最賃979円と同じくらいの980円になったということで、だから今まで低過ぎるという問題意識を後藤田知事を始め(関係者は)持っていたのかなと思います。

記者
 ありがとうございます。国のほうでA、B、Cというランク分けをしているというのは、いわゆる経済実態を踏まえてのことだと思います。Cということは、経済実態としてあまり強くないので、引上げが難しい部分もあるだろうというふうな考え方もあると思うのですけれども、そこら辺をあんまり考慮せずに引き上げていくということについてはどう思われますか。

知事
 今回改めて思うのですけれども、論理的には全国一律の最低賃金、そしてその引上げ、一律の引上げで、全国共通の最低賃金で一律の引上げということが理屈にかなうのだと思うのですけれども、ただその理屈が通用するためには諸物価の高騰や人件費の値上がり分、下請企業を始め、いわゆる弱い立場の中小企業がちゃんと価格転嫁をし、大企業がそれを受け入れるということとセットで、そういう理屈は通るわけで、改めて日本経済社会にある、何か弱い立場の人が我慢をして、みんなで何とかやっていこうという傾向が、今みたいな物価高騰の局面においては、ここはちょっと何とかしなければならないのだなと改めて思います。いろいろ経済産業省でも頑張って、価格転嫁支援シートのような、これこれこういうコスト高がありますので、取引価格このくらい上げてくださいというのを交渉するのを支援するための資料を作るためのひな形を提供するとかやっているのですが、より行政プラス社会全体として、元はロシア・ウクライナ戦争のせいでエネルギー価格が上がったということ、プラス様々な要因で上がっている。それを克服するために、一部の弱い企業や事業者が我慢をするのではなくて、むしろ、そういう弱いほうを強靱化するためには、強い立場のほうこそが我慢をするというか、より寛容になってというふうにやっていけば、岩手の最低賃金というのは、全国と同じくらいになっていくのだと思います。

記者
 ありがとうございます。この最低賃金の決め方については、知事はよく仕組みを御理解されているのだと思うのですけれども、例えば徳島に関して言いますと、知事が強く要請をして、それを受けて決め方自体が変わってしまうという状況というのは、かなり異例なことなのだと思います。翻って岩手に関しても、知事のほうから御要請があって、それが影響したかどうかが分かりませんけれども、結果として最下位を脱したという状況について、知事がそうやって要請されたことは影響したのではないかという見方もありますけれども、そう見られていることについてはどのように思われますか。

知事
 要請の中にあるこの物価高騰でありますとか、賃上げの必要性でありますとか、そういったことが共有されたのかなというふうに思っておりまして、これは要請をしなくても、既にそういう数字は表に出ているわけですけれども、要請することによってこの決定当事者がそういった情報を使って判断することが、より確かなものになったというのでしょうか、そういう意味での効果があったかもしれません。

記者
 ありがとうございます。最後に、目安から9円プラスというかなり大幅な引上げをしました。これに対して、県として具体的な支援策というのは検討されますか。

知事
 今でも中小企業に対して賃上げ支援策は行っているところでありまして、実際に具体的に数字が決まって、そして、それが実行に移されるというところを見ながら、更なる政策の必要性を検討していきたいと思います。

記者
 私から2点、まず、岩手山の火山活動活発化に伴って、先週ですか、臨時解説情報が出ました。こちらに関して、知事のほうも談話を発表はされておりますが、改めてこちらに対してのその所感と、あと、その各自治体のほうでは周知に向けて動いております。今後、状況によっては、今の体制というのでしょうか、それが変わっていく可能性というのも含んでおります。そちらについて、今のところどのように受け止めているかお伺いします。

知事
 この火山活動の予測の難しさということを踏まえながら、専門家の皆さんに検討していただいて、その難しさをそのまま県民の皆さん、また、県外の皆さんにも伝えるという工夫を今回できたのではないかなと思っております。噴火警戒レベルを上げる必要はないですから立入規制は行わないのですけれども、ただ、大地獄谷周辺には近づかないよう注意喚起ということで、そこは水蒸気噴火の可能性があるということで、まさに可能性であって、必ずそうなるということではないのですけれども、可能性はあるという中で、噴火警戒レベルはそのままで、ただし注意喚起はするというふうな仕方をしているところであります。そういう事情を市町村、行政サイドはよく理解し、実際には、水蒸気噴火の可能性がどんどん高まって噴火しそうだとなっていくに従って、警戒レベルを上げた場合に様々規制をかけたりとか、市町村のやることが出てきますので、その準備は今のうちにしておこうと。そこは、県も一緒に連携してやっていきますよということが今、確認されているということです。

記者
 ありがとうございます。現状は、そういったところだと思いますけれども、たらればの話で申し訳ないのですけれども、今後その状態が上へというか、推移したときに、心配されるのは、その風評被害ですとか、警戒レベルがまず1から2に上がっても、一般の住民のほうの生活には影響がないという状況ですが、その情報が誤って伝われば、風評被害とか、そういうふうなものも起こり得るというのは、これまでのいろんな事例からもあると思います。そういった部分に対して、県のほうでの備えというか、そういったものについてどのように身構えておこうというふうに考えていらっしゃいますか。

知事
 この火山防災は今、日本全体としても対策を強化しようというところで、全国知事会も、去年(令和5年)の山梨大会から火山防災に関する知事の会も同時に開いて、政府の関係者を呼んで話を聞くとかもしておりまして、法律も新たな整備があり、改めて火山活動について岩手県民としても理解を深めるべきときなのだと思います。マグマがどわっと出たり、石やら灰やらが大量に出るような噴火ではなくて、水蒸気噴火というのは、周辺の市町村に深刻な影響はほぼ与えないのですけれども、ただ、近くでその水蒸気噴火に遭えば、それはやっぱり危ないわけでありまして、それで近づかないように注意喚起ということです。そういう水蒸気噴火というものがあるのだ、かつ、水蒸気噴火は、過去も起きているし、日本のあちこちで起きていることなので、そういったことへの理解を県内の人も、また、県外の人も深めていただきながら、安全な岩手山の活用をしていただければと思います。

記者
 ありがとうございます。すみません、話題が替わってもう一点なのですが、報道ベースですが、政府が地方への支援、移住支援金を拡充して、23区に住んでいたり通勤していたりする女性が結婚を機に移住する際に60万円ですか、金額加算というのを検討しているということです。ちょっといろいろな受け止めができるのかなと思うのですが、地方側としてこういった政府の方針についてどのようにお考えでしょうか。

知事
 政府も異次元の少子化対策ということで、何をやればいいかということについて必死で、既に様々出ているのですけれども、これでは足りないとか、もっとほかにもという声も強いので、そういう中で今回そういう政策を編み出してきたのかなというところであります。
 私は、個人的にはやれることは何でもやり、いろんなことを合わせて、それで効果があればいいのだと思っているので、やればやるほどいいと思っていますので、今回のことも肯定的に個人的には受け止めているところであります。ちょうどその政策に対してだったと記憶するのですけれども、X(エックス)、旧ツイッターを見ていたら、若い女性は地方から都会に行こうとしているというよりは、今いる場所から逃げ出したいのだという記事が書いてあって、その心は、結局、日本全体として女性差別的で、就職の不利であるとか、家では家事、育児、さらに介護、地域社会のいろんな仕事等のしわ寄せが女性に及んでくると。これは、田舎がそうだからみんな田舎から出るというよりは、日本社会全体がそうで、そういう意味では、都会もそうなのだと。都会が、ではジェンダー的にうんと進んでいるかというと、企業や政治のジェンダー指数が世界の中で著しく低いというところに表れているように、都会でもそうだと思うのです。ですから、この今いる場所から脱出したいということで脱出したからといって、行った先がパラダイスかというと、そうとは限らないということなどを議論するいい機会だと思います。実は都会からでも今いる場所から脱出したいと、都会に生まれ育っても様々な女性を取り巻くしがらみの中で、そこから脱出したいと思っている女性はいて、地方に関する情報がないから、都会にいて、ではどこに脱出するかということが決められないのだと思うのですね。地方にいれば、取りあえず東京に出ればいいとか、取りあえず都会に出ればいいという答えがすぐ出るのですけれども、都会から脱出しようと思うと、あっ、そうか、海外に脱出している女性が結構いますけれども、いずれ、実は都会も危ないよということを今回そういう議論の中で見ていきながら、プラスの形で60万円の上積みというのを生かしていければいいのではないかと思います。

記者
 ありがとうございます。逆に言えば、地方の情報を発信するチャンスだというふうな面も出てくるのではというふうなことでしょうか。

知事
 そうですね。ニューヨーク・タイムズの記事のところから潮目が変わったと思っているのですけれども、地方は実は結構いいのだよと、生活するにも仕事をするにもいいのだよという、そういう地方の逆襲みたいなのを進めていくのにいいのではないかと思います。

記者
 本日(8月30日)で、岩泉町で特に被害が大きかった台風10号から8年が経過しますが、8年前のことですが、改めて今の原状の復旧状況等を踏まえた知事の所感をお聞かせください。

知事
 一時は、当時人口9,000人くらいの岩泉町の全体が大きな被害を受けて、壊滅的な状態にあったと言っていいと思うのです。今まで起きたことがないような被害があって、どうすればいいのだろうというような思いに一時は町民の皆さんも襲われたのではないかと思いますが、今までになかったような様々な復旧・復興のやり方を駆使して、そして、それは国からの様々な補助事業や、県も当初、盛岡広域振興局長が岩泉の復旧・復興対策本部長として現地入りするみたいな、やったことないようなことをやりながら支援して、何より岩泉町民の皆さんが今までにないような御努力をされて、ついに復旧復興にめどがたってきたということだと思います。そこに台風が来て(被災した)龍泉洞が台風にもめげず、私が南米に行っている間にオープンして、龍泉洞が入れなくなるというのは全国ニュースになったようで、やっぱり全国から注目されているのだなと改めて思いました。全国に岩泉ファンがいますので、岩泉ヨーグルトについては大谷翔平選手も褒めていましたし、世界中にいると言ってもいいでしょう。そういう岩泉ファンの皆さんとつながりながら、更に発展していく基盤ができたのだと思います。

記者
 そして、あのときの教訓が何だったか、そして、それは今生かされているのかというその側面で、改めてお聞きしてもいいですか。

知事
 思いつくままで恐縮ですけれども、警報級の災害が近いときは早め早めに避難するということです。これが、この間の台風5号のときには、8年前には徹底しなかった避難が今回はかなりできていたと思います。また、強靱化はしたほうがいいというところで、国の強靱化の予算を活用して河川の川底をさらったりとか、そういうことができるようになり、これは岩泉というより久慈のほうの台風5号被害を最小化するのに役立ったことではあるのですが、小本川とか安家川とかの災害復旧で、災害前よりも強靱な形で復旧することができて、それでその後の警報級の大雨にも耐える体制になったというところは良かったのではないかと思います。

記者
 ありがとうございます。今、知事も触れられたように12日の台風5号は、2016年以来の上陸だったわけですけれども、そのとき県営の滝ダムの放流をされて、それに伴って久慈市のほうで県内で初めての緊急安全確保が出されましたけれども、そういう8年前の教訓も踏まえて、災害の形は違うとは思いますが、そういった大きい災害、2019年の台風もありました。あのときは大雨特別警報も県内に出されましたけれども、そういったものが生かされつつ、8月12日の(台風第)5号の対応ができたのかどうか、その点は知事はどう御覧になっていますか。

知事
 河川の水位については、リアルタイムで把握し、それをインターネットで、いろんなところで確認できるようになっていますので、河川の水位を巡るいろんな意思決定が迅速かつ、より正確にできるようになってきているのだと思います。
 一方、今までにないような自然現象には今までにないような対策が求められるということで、県管理ダムとしては初めての事前放流をし、プラス緊急放流もする形になったのですが、合わせてかなり被害を極小化できたのかなと。そういう最新の技術を活用しながら、科学的、技術的な根拠を基に的確に行動するということと、あとは前例のないことに躊躇(ちゅうちょ)しないということをやっていくということが大事だと思います。

記者
 そして、今週、内陸部を中心に記録的な大雨という、県内では今月(8月)記録的な大雨が続いて、そうした中で台風10号、ちょっとなかなか今後の動向が読みにくいのですけれども、列島を縦断といいますか、来るのではないかというところなのですけれども、これから来る10号、それに関連する影響みたいなものに対して、県としてどのように取り組んでいくか、市町村との関係等も踏まえて方針等あれば教えていただけますか。

知事
 935ヘクトパスカル、伊勢湾台風級の強烈な台風が、あんな遅いスピードで日本列島をなぞるようにして動くということは今までなかったことですので、今までなかった被害が出る可能性があると思って、今までにないような対策も講じなければならないという覚悟を台風本体から離れたところでも持たなければならない状況で、岩手においても持たなければならないということです。そこは中津川が氾濫しそうになったあの夜のようにちゃんと水位をきちんと把握しながら、それに応じて河川側の対策を講じ、避難の指示などを出して、行政の側がきちんと対応していくということだと思います。そして、一般の皆さんにはマスコミが報じている気象情報を、インターネットでも見られますし、それを見ながら科学的、技術的根拠に基づいて行動しましょうということをお願いしたいと思います。

記者
 12日の久慈とか県北もそうですし、今週の盛岡エリアもそうなのですけれども、かなり地盤が緩んでいて、今週の分に関しては、まだ山のほうから水が出ているような状況の部分も、昨日(8月29日)の時点ですけれども、あったようなのです。そうすると、かなり地盤が緩んでいるので、少しの雨でも大きな土砂崩れとか災害になる可能性があるので、全県で見るのはもちろん県としての役割だと思うのですけれども、地盤の緩んでいる地域に対してはまた少し対応も変えたというか、手厚くするべきなのかなと思うのですが、その点はいかがでしょうか。

知事
 そこは市町村がそれぞれきちんとやるのだと思いますし、その際には県の本庁もですけれども、広域振興局のほうでそこは連携しながら協力し合って対応したいと思います。

記者
 広瀬さんの件、報道ベースなのですけれども、東京地検特捜部が詐欺罪で在宅起訴する方向で調整しているという部分が朝から流れております。県選出の国会議員が在宅起訴されるという異例の事態ではあると思います。ちょっとまだ確定していない段階でお尋ねするのは恐縮なのですけれども、そのことについて一言コメントいただけるとありがたいです。

知事
 広瀬前議員だけの特別なことではなくて、やはり日本政治全体が劣化している中の一部なのだと思います。自民党総裁選挙について報道で見ていると、さっきも言いましたけれども、岸田総理・総裁の進退をささげて、けじめをつけなければならない(旧)統一教会問題と裏金問題の異常なことをかなり遡ってやり直すようなことが求められていると思うのですが、そういうことがあまり議論されず、我も我もと地位争奪戦になっているという、総裁の地位イコール首相の地位を奪い合う、争奪する戦い、争奪戦。自民党総裁選の党のサイトのイラスト、写真も「THE MATCH」。プロレスとかそういう競技に使う言葉で言っていて、地位を求めての争奪戦。そして、それが国民無視といいますか、今総裁選で問われるべきは、今国民がどうなっているのか、国民と一緒に何をしなければならないのかということだと思うのですけれども、そこはもう、ほったらかされていて、政治家が自分のことしか考えていないように見えるというところだと思います。(旧)統一教会問題も選挙に当選しさえすれば何をしてもいい、裏金問題も自由に使えるお金が得られるなら何をしてもいい、そういう自分のためなら何をしてもいい、そのための地位争奪という参院選に広瀬さんは当選し、当選後、そういう道を歩んでしまったということで、それが今、司法的にはっきりしつつあるということだと思います。

記者
 私からも1点、ブラジルというか、南米出張に関してお伺いしたいのですけれども、県民の中からは、県民にはどんなプラスの成果があるのかというのが具体的にあまり分からないというような声が上がっていました。知事としては、出張が県民にとってどんなプラスの成果があったのかというのを改めて教えていただけないでしょうか。

知事
 岩手県を発展させていくためには、今現在岩手に住所を持っている人だけではなくて、かつて住所を持っていた人とか、あるいはこれから住所を持つかもしれない人とか、広く岩手に関わる全ての人を意識してやっていくべきと考えております。よくスローガンで県民と岩手に関わる全ての人たちの幸福度を高めるとか、自己実現のためのベースの岩手県でありたいとかいうふうに言っているのですけれども、岩手県から戦後の特殊な国際政治、日本経済状況の中で、地球の反対側まで移民した人たちが今でも岩手とつながって、そして、お互いに交流しながら、協力し合って発展できる。東日本大震災津波のときには非常に多くの支援をいただきました。パラグアイで入植して成功した人たちが生産している大豆がたくさん送られてきて、それで豆腐を作って被災者に配ったりもしました。そういう関係を維持するということが、今挙げたように具体的に岩手県民のためになることもありますし、潜在的にも県のそういう姿勢というのが全ての県民と全ての岩手に関わる人にいい影響があるというふうに考えております。

記者
 私からは、参院補選についてちょっとお伺いしたいのですけれども、まず、今回、政権与党の自民党が候補者擁立を見送ったということで、県民から選択の機会を奪ってしまったといいますか、その責任についてどう知事はお考えかというのと、あと、今の段階で高知の政治団体の会社役員の方と、元滝沢市議の方が出馬の意向を示していて、立憲民主党県連も今候補者の擁立、選定作業を進めているところだと思うのですけれども、どういった選挙になることを望むか、期待するかというところをちょっと聞かせていただきたいと思います。

知事
 やはりやり直し選挙ということだと思うのです。県民が期待しているのがそうなのではないかと思います。県民が主役と繰り返し述べてきましたが、こういうときこそ、まさにそういう視点が大事だと思っていて、何よりも県民にとってのどういう補選にしなければならないかと考えたときに、2年前のあの選挙をあのままとしてしまうのではなくて、あれをやり直すというような選挙を県民が求めているのだと思います。そういう意味では、自民党さんも全然違う候補を立てて、これが本当の自由と民主を求める自由民主党の人だ、選挙だ、政治だという、ちょうど総裁選挙で本来追及されるべき(旧)統一教会問題や裏金問題を起こさないような、新しい自民党の姿を代表できるような人物を立てて戦うということを、国政選挙なので、自民党本部も必死になって候補者を立てて、自民党が生まれ変わった姿を見せるということはあり得るし、まだ日がありますから、やっぱりそういうことはしたほうがいいのではないかと思います。そして、そういう県民の求めるところに応えるような立候補というのは誰がしてもいいことでありますので、立候補資格のある人はそこはもう自由に、民主的に、立候補したい人は立候補するということでいいと思います。いずれ2年前の選挙のことをよく思い出しながら、どこまで遡って何をやり直し、そして、今どういう政治を実現しなければならないかという形で人を選んでいけばいいのだと思います。

記者
 端的に1点伺います。ILC(国際リニアコライダー)について伺います。昨日、文科省のほうで概算要求の発表がありましたけれども、ILCの関連予算が本年度の当初と同額の10億5,000万円の計上ということでした。県としても来年(令和7年)が一つの山場と捉えていらっしゃる中で、国内外の研究者も日本政府の前向きな姿勢を求めている側面もあると思いますが、今回の要求額についての評価をお聞かせください。

知事
 まず、後退しなかったということで、2年前に倍増し、去年、更にちょっと増えたという、そういう姿勢が維持されているということだと思いますので、そこは前向きにそういう政府の姿勢を捉えて、建設候補地である岩手県のほうからもそういう政府の姿勢を更に後押ししながら、広く国民理解を深め、そして、ILCを実現できるように努めていきたいと思います。

広聴広報課
 以上をもちまして、記者会見を終了いたします。

次回記者会見

次の定例記者会見は9月6日(金曜日)の予定です。

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