令和6年11月18日知事会見記録

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開催日時

令和6年11月18日15時30分から16時03分まで

会見記録

広聴広報課
 ただいまから記者会見を行います。最初に、知事から発表があります。それでは、知事お願いします。

知事
 今日は、県議会12月定例会に提案する令和6年度一般会計第7号補正予算案についてです。補正予算額は7億円です。
 今回の補正予算案に加えて、国の経済対策と連動した物価高騰対策については、国の動きに合わせて速やかに補正予算の編成に着手したいと思います。
 今回は、生活困窮世帯に対する灯油購入費等の経済的負担軽減に要する経費を先行して計上しました。
 また、介護従事者の負担軽減を図るため、介護ロボット等の導入経費に対する補助を計上しています。
 以上です。

広聴広報課
 以上で知事からの発表を終わります。

幹事社
 それでは、ただいまの発表事項1件について、各社から質問があればお願いいたします。

記者
 今回、この補正予算案に盛り込まれた、いわゆる福祉灯油の事業ですが、市町村と合算した補助基準額について、昨年度(令和5年度)、1,000円上積みされて7,000円とされて、今回も維持しているということになりますが、今回、維持された意図について御所見を伺えればと思います。

知事
 昨年(令和5年)の7,000円というのは、灯油価格の高騰を踏まえて1世帯当たり1,000円引き上げて7,000円としました。今年度(令和6年度)については、やはり灯油価格の高騰ということが継続しているというふうに考えまして、引き続き同額7,000円としたところであります。

記者
 ありがとうございます。先ほどの御説明のほうでも国の経済対策と連動した追加的な物価高騰対策も編成予定と、資料のほうにもそうなっておりますけれども、現在、知事が考える重点分野というものがありましたら教えてください。

知事
 まず、物価高騰で低所得世帯が影響を受けやすいということで、生活困窮世帯に対する灯油購入費等の経費を先行して今回、計上したわけでありますけれども、まず、生活を下支えする必要があると思いますし、また、賃上げとの関係で地方の中小企業や零細事業者がまた困っていますので、そこを下支えする政策が今、求められていると思います。

幹事社
 それでは、発表事項以外について、本日は記者クラブを代表しての幹事社質問はありませんので、各社から質問があればお願いいたします。

記者
 私から大きく2点お伺いいたします。まず、先ほど終了しました(県議会)議案等説明会のほうで県立病院の経営計画の最終案が示されました。内容を見ますと、令和6年度の決算見通しで90億円の赤字となっております。人事委員会勧告を踏まえた給与改定の影響も大きいとは思いますけれども、県としての受け止めをまずお願いいたします。

知事
 物価高騰で燃料とか、電力とか、そういったものがかなり値上がりしていることに加えて、様々な資材、機材、そうしたものも値上がりしていて、まず、そこでのコスト高というのが、言わば戦時経済のような異常事態、ロシア・ウクライナ戦争ということから始まっているこの異常な物価高が(県立病院の経営に)影響を与えていると思います。
 そして、今、日本政府は物価高ということに対して、賃上げによってコストが上がってもそれが価格に転嫁され、そして、それを賃上げで買うことができてという賃上げと経済成長の好循環を狙っているわけですけれども、価格転嫁ができない分野、医療でありますとか、介護でありますとか、公定価格ですね、国が決めた代金によって収入を得ているような分野は底を上げることができないけれども、賃上げについては他の分野同様やっているということで、賃上げコストが、また経営を悪化させるというところがあると思っております。
 あと、利用者がコロナで減って、そして、それが戻っていないという状況もあって、物価高ということもあって受診控え、本来、県立病院にかかったり、また、検診の結果、入院が必要になったりするような人が、受診控えでそれをしていないのではないかなというところも懸念あるところでありまして、そういった要素が合わさって岩手県医療局の経営が非常にきつくなっていると、決算の数字も非常にきつくなっているということだと思います。

記者
 ありがとうございます。素案段階のほうですと、計画の最終年度に10億円の純利益を見込まれると、そういった文言がありましたけれども、最終案を見ますと収支均衡を目指すというふうに大きく修正されました。資金残高も枯渇が見込まれるということで、その中で県立病院網を維持していくために、県としてどのように取り組まれていきたいと思われますでしょうか。

知事
 まず、ロシア・ウクライナ戦争が原因で起きていますので、一種、戦時経済という異常事態が背景にありますから、実際、岩手県の県立病院だけではなく、日本中の公立病院がかつてないほど経営的に困窮していますので、ここは政府に対し地方交付税や交付金の拡充などを求めていかなければならないと考えています。
 夏の全国知事会の決議文の中に、既にそういう趣旨のことは盛り込まれているのですけれども、今月(11月)中に、また全国知事会と政府の意見交換の機会がありますから、そこで取り上げられるように岩手県のほうから調整していきたいと思いますし、また、いわゆる「医師不足県の知事の会」、「(地域医療を担う)医師確保を目指す知事の会」としても緊急要望を行うなどしていきたいと思います。
 ただ、同時に、さっき言ったような理由で経営の数字が悪くなっていることの100%全てを国が補うというのは現実的ではないと思っていますので、やはり経営改善のための自助努力も県立病院、医療局において必要だと思っておりますので、そのような自ら更に引き締めを行うような計画がつくられているというふうに見ています。

記者
 ありがとうございます。話題が替わって、国民民主党が唱えているいわゆる「103万円の壁」について、前もお伺いしたところもあると思うのですけれども、実施した場合に本県では700億円程度の減収が生じると、そういった試算が県のほうであるというふうに伺っております。全国知事会長を務める村井知事も、実施した場合に、立ちどころに財政破綻するだろうと、そういった見解も述べられておりますけれども、知事は改めてこの「103万円の壁」について、影響をどう捉えていらっしゃるのかお聞かせください。

知事
 ここに来て、やはり広く経済財政政策全般に関して、今の国の政策を見直して、あるべき政策を追求していくことが必要な局面になっているのだと思います。今は、目の前の物価高騰対策ということと賃上げが消費の拡大と結びついて、日本経済を良い軌道に好循環に乗せていくという短期的な政策のためには、今すぐできるような、それは財源の問題について影響が広がって、そちらの議論もしなければならなくなるような政策ではなくて、給付金でありますとか、あと、消費税減税というのも、欧米諸国は、私もニューヨークに行ったときにニューヨーク州がクリスマスの期間だけ消費税をなしにするということをやるのを見たりしていますので、そういう今すぐできるような物価高騰対策、賃金引上げ支援ということをまずやるというのが、ここ一、二か月ぐらいで必要なのはそこだと思います。
 一方、社会保障も含めて、社会保障、年金とか、そういうものも含めて、いわゆる壁というものを見直していく作業については、もうちょっと、半年とかそのぐらいの時間をかけて議論すればいいのではないかと思います。

記者
 ありがとうございます。最後に、全国知事会の動きもあるとは思いますけれども、国に対して直接これから要望していきたい動きといいますか、そういった思いというのはございますでしょうか。

知事
 年に1度の年の終わりに開催する政府と全国知事会の意見交換に向けて、今、準備をしているところでありまして、さっきは公立病院支援の話をしましたけれども、広く経済対策、物価高騰対策とか、賃上げを好循環にするための政策についても政府に申し入れる準備をしています。

記者
 私からも「103万円の壁」に関して伺っていきたいのですけれども、岩手県全体では700億円の影響があるというふうに県の試算があるということで説明を伺いました。金額で言うと今年度の当初予算の10%近くにはなるのかなというふうに思います。そういった減収があった場合の影響の大きさということを知事としてどのように考えていらっしゃるか、また、減収が生じる場合に国の責任において求められるというふうに考えていらっしゃること、それぞれのお考えを聞かせてください。

知事
 国民民主党も地方の財源を減らせという主張をしているわけではないと思います。ただ、「103万円の壁」をなくせということを言っているので、では、財源はどうするのかという話は必ずしも地方予算を削れということではなく、社会保障のこととか、あと、消費税の在り方とか、そういったものを全部合わせて議論すれば、おのずと良い方向性は、手取りを増やし、かつ、むしろ石破首相も強調している地方創生の本格的な、今までの倍の勢いで地方の財源を増やそうというような趣旨のことも言っているわけなので、それらをどう両立させるか。それは自民、公明、国民民主の3党だけで決められる話ではないので、ほかの政党も合わせて、そして、そのくらいになってくると、まず、臨時国会で予算委員会を開いてちゃんとそこで各党の意見を出し合いながら、日本全体としてどういう経済財政政策でいくのかを決めていけばいいのだと思います。

記者
 ありがとうございます。もう一点お願いいたします。先日、県の総合防災訓練も実施されて、知事も視察に行っていらっしゃったと思います。その中で、防災DXの進められる取組の中で、避難所のデジタルを活用した避難者の把握という取組も視察されたと思います。あくまで訓練の中で、実証試験というふうな形だったとは思いますけれども、実際に御覧になってみてどのような御感想を持たれたのか、また、今後の方針として、県としてどういうふうに考えていらっしゃるのかというところを具体的にお伺いできればと思います。

知事
 避難所の受付用のQRコードというものを県のアプリから作ることができると、マイナンバーカードと併せてそれを作ることができ、もう、それさえあればいろんな避難所に、いざというときに一瞬で受付をすることができる。それができれば、その後、自宅に戻ったり、車の中で一夜を過ごしたりしていても、そこに連絡が届くみたいな仕組みが、まずこの前の訓練では機能するなということが確認できたのではないかと思います。
 あとは、読み取りのための機械をどこにどのくらい用意するかとかという具体的な導入の話になってくると思いますけれども、遠野市の皆さんも実際やってみて、これはいいなと思ったのではないかと思いますし、そういう今回の成果を横展開し、県内各市町村、情報共有して、あとはどういう段取りで実際に配備をしていくのかということを決めていければいいのではないかと思います。

記者
 ありがとうございます。実際に訓練を行った会社に伺いますと、今回、県の要望としては、スマートフォンさえあれば確認のほうもできるということで、特別な機械の導入は不要なシステムではあったということで、そういった手軽さもあるのかなというふうに思いますけれども、今の知事の御発言を私なりに解釈しますと、導入の方向で今後検討していくというふうな理解でよろしいのでしょうか。

知事
 実証実験の結果を次の段階でどう進めるのかというのは、ちょっと担当のほうに確認してほしいところでありますけれども、いざ誰がどういうふうにお金を出して、何をどう配備していくかというのを決めようとすると、そこで、また様々調整の必要とか、再検討の必要とかというのは出てくるものなので、実証実験の次の段階に進む、イコールこの間の訓練でやったとおりのことを県全体で実際に導入すると決定したということにはならないわけですけれども、まず、一歩ずつ進めていくというふうに受け止めてもらってもいいのではないかと思います。

記者
 ありがとうございます。前向きには受け止められたというふうには……

知事
 良い実験結果が出たのではないかなと思います。

記者
 何点かありますので、順番にお伺いします。まず1点目、県庁舎の改修についてです。先ほどの議案等説明会のほうで、県庁舎の在り方に関する報告書の素案が示されました。この中で、整備場所については盛岡市内丸の現県庁舎敷地内、整備手法については議会棟の解体によってできたスペースに新しい庁舎を建てて、現在の知事局棟を耐震改修するというような方針が示されました。あくまでも素案の状況ではありますが、まず、方針が示されたことについての所感をお聞かせください。

知事
 盛岡市の内丸ビジョン、さらに、内丸に関する計画を策定する作業が進む中、岩手県庁舎についても具体的な在り方について、素案まで提案できるようなところまで進めることができて良かったと思います。様々コストの面でありますとか、メリット、デメリット、いろいろほかのやり方と比較できるような形での素案になっておりまして、まずはこれを広く県民的に検討してもらって、県民の皆さんにも、より具体的に県庁舎の在り方について検討できるようになったと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

記者
 ありがとうございます。すみません、話題替わります。先日、投開票が行われました兵庫県知事選挙についてです。ほかの県の選挙の関係で申し訳ありませんが、まず、この選挙の結果の受け止めと、あとは、再任した斎藤氏については、議会との関係という部分もなかなかこじれているようでありますが、その辺りどういうふうな執行がされればいいとお考えでしょうか。

知事
 兵庫県民の自治として、まずは、そういう選挙結果になったということですので、その選挙結果を踏まえて兵庫県民の皆さんが更に自治を発展させ、県政課題を解決しながら、住民福祉の向上や県の発展に進んでいってもらえればいいのではないかなと思います。

記者
 ありがとうございます。私から最後になります。また別の県の話題で恐縮ですが、沖縄の話題です。沖縄北部の豪雨で、災害救助法の適用が沖縄県では困難になってしまったということです。この法律の立てつけであるとか、そういった部分は法的な問題なのであれですけれども、県側の対応について、例えば、災害対策本部の設置が大雨の後であったであるとか、本来、県から国に申請しなければいけない災害救助法の申入れであるとかが適切に行われなかったということについて、まず、その所感をいただきたいのと、あと、仮に岩手県でそういった災害起きた場合の体制は適切に取られているか、見直し、点検などを行う考えはあるかお聞かせください。

知事
 残念ながら、沖縄の豪雨災害については、詳しいことをよく承知しておりませんで、そういうことになっていたというのは、今、初めて知ったようなところがあります。何やら周辺の海水温が異常に高くなっていて、フィリピン、台湾の間などは何か30度以上の海水温があるとか、それで今まで起きたことのないような台風ができたり、大雨になったりということで、前例がないようなことが起きたのだなと思っております。
 岩手県においてはということでありますが、前例がないような災害というのは、今、起きるような気象の状況になっていますので、一方では、過去の経験に基づきながら防災計画とか、いろんなマニュアルを改定していく必要があるのですけれども、久慈市内で岩手県管理河川で初めて事前放流を行うというような、今までやったことないようなことをやる決断ということは今後ますます求められると思うので、その決断は担当の判断というところが大きかったのですけれども、背景として岩手県の市町村への風水害対策支援チームの存在というのも大きかったので、そのように今まで経験したことがない状態にも対応するための知恵を集約するような機能を県として持っていることが大事なのだと思います。

記者
 私からは、大きく2つのテーマについて伺います。まず1つ目、先ほど質問もありました県庁舎の在り方に関する報告書に関連してだったのですけれども、全体的なスケジュールについて、どのような想定でいらっしゃるかお聞かせいただけたらと思います。

知事
 (県庁舎の在り方に関する報告書に)書いているとおりとしか言いようがないというか、私の手元にはないのですが、そのとおりです。

記者
 承知しました。すみません。知事の任期中にこのぐらいまで進めたいとかという想定が更にあれば伺いたいと思うのですけれども。

知事
 東日本大震災津波からの復興ということもあって、きちっとした県庁舎の在り方の検討という作業になかなか着手できていなかったのですけれども、まず、今回の素案ぐらいまでのものができれば、あとは広く県民の皆さんの意見を伺いながら、専門家の意見を参考にして、科学的な、そして、技術的な必然性に基づいて、経済社会的な要請に応えるような内容で進めていけば悪いようにはならないと思っていますので、まずはここまでやれて良かったなとは思っています。

記者
 承知しました。あとは、もうそのまま進んでいくことを目指すということで、任期中にここまでというところまで決めているわけではないという理解でよろしいのでしょうか。

知事
 大型の建物の工事に関係しては、経済情勢でありますとか、人件費とか物価の上がり下がりとか、それからいろんな大きな災害が起きる起きないとか、いろんなことがありますので、締切りにこだわるというよりは、着手できさえすれば、そこからあとは科学技術的必然性と経済社会的必要性に基づいて丁寧にやっていけば進めていくことができますので、あまり締切りにはこだわらずに、手堅く、拙速は慎み、一方で、やるべきことはきちんと進めていくというふうにやっていければいいと思います。

記者
 ありがとうございます。2つ目の話題に移ります。花巻空港と上海を結ぶ上海便について、中国東方航空が来年(令和7年)1月から約1か月間限定的に再開するということになりました。知事は、5月の訪中のときに、同社の幹部と意見交換した際に、運航再開に向けてのタイミングを計っているという発言を得たという経緯もございますが、まず、今回の再開についての御所感を伺えたらと思います。

知事
 良かったと思います。もともと路線が存在していて、一定の利用もされていたので、ニーズはある路線だと思っておりますので、今回の運航再開でそのニーズを確認することができて、1年を通じて運航されるようになることを期待します。

記者
 ありがとうございます。今まさにニーズという話がありましたけれども、この後やはり継続的には運航実績に関わってくるのかなと思うのですけれども、県としてこの後どのような促進活動だったり、あとは現地の航空会社への働きかけだったり、何か取り組まれる御予定でお考えのことがあればお聞かせください。

知事
 運休期間が約5年ありましたので、改めて中国・上海での岩手県の観光に関する認知度向上の取組が必要ではないかと考えておりまして、インバウンド誘客に向けたプロモーションなどを行っていくことを検討したいと思います。

記者
 先ほどから重ね重ねで恐縮ですが、県庁舎の在り方について改めてお伺いします。今回の報告書の素案では、一部建て替えを選定したということであります。当然、この3つのパターンの中から1つを選んだということで、知事もこの一部建て替えの案を評価されているという御理解でよろしいのでしょうか。

知事
 まだ、やっぱり広く県民の皆さんの意見を伺う段階だと思います。そして、専門的な見地から、技術的な観点から、また、担当のほうでも経済社会的な要請について、ある程度考えて今回の素案にしたところではありますが、やはり広く県民の意見を聞くことが大事だと思いますので、まずは御意見を伺いたいというところです。

記者
 ということは、知事の中ではこの1から3の案に関しては、全てゼロベースであって、まだ広く県民の意見を募った上で、その位置を決めていくというような段階ということでしょうか。

知事
 素案の中で、知事局棟の改修を最小限にとどめ、議会棟を高層化する一部建て替えの手法は、素案の中で優先的に検討する整備手法という位置付けですので、優先的に検討するものはそう示した上で、それでいいのかどうかを県民の皆さんに検討してもらうというところです。

広聴広報課
 以上をもちまして、記者会見を終了いたします。

次回記者会見

次の定例記者会見は11月26日(火曜日)の予定です。

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政策企画部 広聴広報課 報道担当
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