令和7年1月24日知事会見記録
開催日時
令和7年1月24日10時00分から10時45分まで
会見記録
広聴広報課
ただいまから記者会見を行います。最初に、知事から発表があります。それでは、知事お願いします。
知事
「金色(こんじき)の風」、「銀河のしずく」に続く県オリジナル水稲新品種として、今年(令和7年)から本格生産・販売を開始する県北地域向け水稲新品種「岩手141号」の名称を発表いたします。
新品種の名称は、「白銀(はくぎん)のひかり」です。
「白銀のひかり」は「銀河のしずく」を親に持ち、最大の特徴は「銀河のしずく」譲りの粒の白さです。その白さを「白銀」で表しました。そして、本県の稲作を照らす希望の「ひかり」になってほしいという思いも込めています。
名称の決定に当たっては、主な産地となる久慈、二戸、八幡平地域の生産者、関係機関・団体等を対象に名称案を募集し、いただいた名称案を基に県と関係機関で構成する選考委員会での選考を経て決定しました。
私も実際に食べてみましたが、ふっくら色白、粒も大きく食べ応えがあって、味も大変おいしく、自信作です。
生産面では、倒れにくく、大粒で収量が高いことなど有利な特徴を持っています。
今年の新米の時期には店頭に並ぶ予定となっていますので、県民の皆様には楽しみにお待ちいただきたいと思います。
広聴広報課
以上で知事からの発表を終わります。
幹事社
それでは、今回のこの発表の件について質問ありましたら各社どうぞお願いします。
記者
今回、新ブランド米の名称が「白銀のひかり」ということで、先ほどの御説明では「銀河のしずく」譲りの粒の白さと、あと、本県の稲作を照らす希望の光になってほしいという御説明でした。今後、知事も今日からアメリカに行かれるということですけれども、既存の「金色の風」と「銀河のしずく」と、今回の「白銀のひかり」のブランディングのすみ分けについてどのようにお考えかお聞かせください。
知事
まず、産地が違うということが一つあります。そして、北のほうで作られるこの「白銀のひかり」は、今まで県北地域で作ってきている「いわてっこ」に代わって作付を拡大する予定でありますので、今の「いわてっこ」に代わるものというブランドイメージからスタートします。今、「いわてっこ」が販売されている県内外のスーパーや中食、外食などでの販売がまず想定されておりますので、「いわてっこ」に代わる新たな品種というイメージがあります。それが「金色の風」、「銀河のしずく」に続く第3の県オリジナル水稲新品種というイメージがブランドイメージになります。
あとは、三つ揃って色と自然の組合せの名前になっていまして、色が金色、銀河、白銀、そして、自然が風、しずく、ひかり。そういう色と自然の組合せということで、三つ統一的なイメージで売っていくというところもあります。
記者
ありがとうございます。栽培適地について、資料のほうでもありますけれども、現在想定されていらっしゃる面積であったり収量を、もし数字がございましたらお聞かせください。
知事
令和10年に1,500ヘクタールの作付面積という目標があります。「いわてっこ」に代わって、そうやって増えていくことを想定しています。
記者
まず、今の質問に関連してなのですけれども、令和7年度の作付面積など、そういった計画は今のところどのようになっていましたでしょうか。
知事
そうですね、令和7年度については、現時点では確定していないというのが現状です。
記者
目標とかというのも特にはない……
知事
そうですね、目標として発表できるのは、令和10年に1,500ヘクタールというのが現状であります。
記者
分かりました。それでは、本年本格デビュー、作付開始に向けて、今どのようなスケジュールで進めていく予定でしょうか。
知事
既に現地説明会、生産者向けの説明会は「(岩手)141号」の名前でやっていますので、それぞれもう生産される方々でこの春の田植えということに向けて準備をされているという状況と受け止めています。
記者
ありがとうございます。最後に、新年度(令和7年度)予算のほうには、こちらの売り込みというのでしょうか、そういったものをいろいろバックアップというか、盛り立てるような予算も入ってくるのでしょうか。
知事
そうですね、岩手のお米をどんどん宣伝していくということは、新年度予算にも盛り込んであります。
記者
この「白銀のひかり」、例えば、プロモーションのイベントであるとか、何かそういったものを計画されていますでしょうか。
知事
今日の発表はまず名称で、今後のイベント等はやはり年度が変わってからということになりましょうから、まずは来年度予算を県議会で承認いただいてというところから発表していくことができると思います。
記者
「いわてっこ」の現状の作付面積とかは分かりますか。
知事
今ちょっとさすがにその数値的なところはここにはありません。後で伝えましょう。
記者
「(岩手)141号」と言われていたときの資料等を見ますと、「いわてっこ」よりは整粒歩合がやや下回ると、これくらいですかね、弱点というのは。「いわてっこ」と比べての。
農林水産部長
「いわてっこ」よりも倒伏がしにくい、さらに、収量が多いというところが今回の「白銀のひかり」のポイント、最大のメリットといいますか、有利な点というところで考えています。
記者
食味もさっき知事おっしゃったようにいいということですね。
農林水産部長
ええ、食味も非常に良いお米に出来上がっております。
記者
分かりました。ありがとうございます。
記者
私からも2点ほど伺いたいのですけれども、1点目は県北地域ですけれども、長らく歴史的には冷害に悩まされていた地域だと思います。新品種に生産者からもかなり期待が高まっているというふうに伺っているのですけれども、増産に向けて生産者にメッセージお願いします。
知事
今までも「いわてっこ」を始め、地形によっては県北でも水が確保できて、日当たりなど米の生育に良い条件もあったり、そこでその地形に合った技術を用いれば非常に良いお米が取れるというところは県北にもあって、実際そういう良いお米が生産されてきた実績もあります。ただ、県南、県央に比べますとやはり全般的に条件不利というところもあり、また、先行してデビューしている「金色の風」や「銀河のしずく」のような高食味の新品種があればという思いがあったところに新品種をようやく出せることができましたので、今までの過去の実績を基にしつつも、それ以上を目指して生産に励んでいただければと思います。
記者
あと、もう一点なのですけれども、昨年(令和6年)、猛暑などの影響で今までよりも北日本での生産に期待といいますか、そこで穫れる米のほうが評価が高まっている傾向があると思います。今回新しい品種も出て、岩手でよりお米の生産を増大させていくためにどんなふうにしていきたいと思っていますか。
知事
そうですね、「白銀のひかり」の白銀には雪のイメージもあるのだと思います。主な産地となる予定の久慈、二戸、八幡平地域の皆さんから名称案を募集した際に、やはり白銀という雪のイメージが強く上がってきたなという印象を受けておりまして、そういう雪がたくさん降るところがお米の産地として希望を持って進んでいくことができるのだという、そういう時代の流れを象徴するようなお米にもなると思いますし、生産者の皆さんもそういう期待を持って生産しようとされているなというふうに思っています。
幹事社
それでは、発表事項以外で本日記者クラブを代表しての幹事社の質問はございませんので、各社質問がありましたらどうぞ。
記者
私から2点お伺いいたします。まずは、鳥インフルエンザについて伺います。今月(1月)22日に盛岡市内で2か所の養鶏場から確認されたということで、合わせると過去最大の66万羽の殺処分が必要になるということでした。県としては、全市町村や自衛隊の要請もされていらっしゃると思いますけれども、3交代で殺処分に当たる県職員さんの負担もかなり大きいのかなと思います。その上で、今後のマンパワー確保についてどのようにお考えかお聞かせください。
知事
66万羽というのは非常に衝撃的な数字でありまして、それでもこれはやらなければなりませんし、生きたままにしておくとそこにウイルスがどんどん広がり、中で広がるだけではなくて、外に更に拡散するリスクが高まるということで、できるだけ早く殺処分、埋設を行わなければならないという、そこが現前としてありますので、ここはとにかく県職員と、かつ、自衛隊にも出動いただいていますし、また、民間にも参加してもらうよう調整しているところでもあります。数が多いので、県職員だけというのでは、やはり長くかかってしまいますので、早く終わらせなければならないというところもありますので、県職員以外の応援もいただくと、獣医師さんに関しては他県からも続々応援をいただいていますし、そして、今回は県内全市町村からも応援をいただいているということで、そのような形で今までにないような広がりの中でマンパワーを確保していくということになります。
記者
ありがとうございます。先ほど民間にも要請を検討されていらっしゃるということで、具体的にはどういった機関に要請したいとお考えでしょうか。
知事
他県での例があり、そういうノウハウを農林水産省のほうでも把握しているので、そちらのほうと相談しながら調整しているというところです。
記者
ありがとうございます。関連して、発生の拡大に伴って全国でもかなり発生しているということで、養鶏業離れが全国的にも懸念されているという現状にあります。本県も主要産地ですけれども、養鶏産業が今後、岩手県の中で維持、発展していく上でどう取り組んでいきたいか、お考えをお聞かせください。
知事
新型コロナウイルスの流行の際に、手軽に、また、テイクアウトもしやすく食べられるということでチキンへの需要が高まったということがあったと思います。そして、新型コロナに関する様々な制限がなくなった後でも、やはり手軽さプラス、実は効果的にたんぱく質を取るという健康の面でもチキンは非常に優れているということも浸透し、需要はありますし、また、その需要というのは伸びる可能性もあるというふうに感じております。チキンの生産者の皆さんといろいろ話をする機会はあるのですけれども、都道府県別全国3位から、更に上を目指そうというような意欲を持っていますので、県の事業者の皆さんも。また、人口密度の低いところの産業として非常に稼ぎ頭の一つになっている、そういう地域にとってもありがたい産業というところもありますので、鳥インフルエンザの発生リスクは高まっているのですけれども、リスクの高まりに応じた予防と、そして、発生後のこの防疫措置をよりしっかりやっていくということだと思います。
記者
ありがとうございます。次に話題が替わりまして、夏の参院選挙についてお伺いいたします。19日に立憲民主党県連が現職の横沢たかのりさんの擁立を決めました。これで自民党の平野達男さんとの2度目の対決がほぼ確定しているという状況になっております。今回の参院選について、知事としてはどのように御対応されていきたいという、現状のお考えをお聞かせください。
知事
まず、野党側の動きに関しては、予備選挙ですよね、複数の野党の候補予定者同士でまず予備選挙をやって、野党統一候補を決めていくといいのではないか、という構想がまず出ていたりもしますし、まだまだ流動的といっていいと思うのです、野党側の動きというものが。そして、与党側の動きについては、政権党と金の問題が、分かりやすく言うと裏金問題については、まだ事実関係が明らかになっていなくて、参議院の政(治)倫(理)審(査会)も閉会中もどんどん今、自ら説明したいという参議院議員さんが出てきては説明するということがまだ続いている状態で、そういう裏金に関わったとか、また、裏金を組織的に行っていた派閥に所属していた議員や元議員が普通に立候補していいのかという問題もまだ流動的なのだと思います。ですから、参議院議員選挙本番はまだまだ先です。
一方では都議選に向けて、東京都議会議員選挙に向けて若い政治家が新党を立ち上げるという動きが注目されていたりとか、あとはSNSを使ったりしながら、かなりひどい選挙をする人や団体が、またもうそういうことがない日本の政治にしなければという一般の人たちの問題意識がすごく高まってきていて、そういう一般の人たちに応える新しい政治の形なんかもこれからいろいろ見えてくる可能性もあると思います。
去年(令和6年)の東京都知事選で、実はインターネット選挙でものすごく新しい可能性を示した安野候補の動きというのも、そういった関連がこれからいろいろ全国にまた出てくるかもしれませんし、一昨年(令和5年)から去年にかけて、政権党の(旧)統一教会との関係と裏金との関係で、日本政治はもうやり直さなければならないというくらいひどくなっているということが見えての去年の衆院選の結果、そして、今それまでの与党をもう少数にしてしまったような民意があるわけでありますので、そういう民意を形にするような新しい政治の形をどうつくるか、その中で誰がどう立候補していくのかということはまだまだこれから見ていきたいと思います。
記者
ありがとうございます。最後に、先ほどお話にもあった野党側の予備選挙の議論について、知事としては岩手選挙区についても同様にやるべきだというお考えでしょうか。
知事
私はやるべきだとは思っていません。というか、私がそう主張しているわけではありません。民意を形にできる新しい政党が今の自公政権とは別なところ、もうそのくらいまでいくと、もはや衆議院の過半数を超えて、与党と言っていいような状態になると思うのですけれども、例えば、今の野党を全部合わせると衆議院の過半数を超えて、もう与党と言っていい状態になると思うのですけれども、そうなれば別に予備選挙はしなくていいわけですから、私はそっちのほうがいいと思っています。大きい政党ができて、そこが1人バーンと出してくるという形のほうがいいと思っています。
記者
優生保護の手術の補償法に関して知事のお考えを聞きたいと思っています。個別通知に関してなのですが、一時金を給付した方以外には今のところ対応は未定というふうに伺っているのですけれども、個別通知への考え方について知事からの考えを教えてください。
知事
最近の動きをフォローしていなかったので、一般論になってしまうのですけれども、政府が国を挙げて非常に非人道的なことをしてしまったということ、それを償わなければならないということ、その方向の中でちゃんと権利の回復ということがなされればいいというふうに思います。
記者
先日開催の決定書が交付されました国民スポーツ大会の件で伺います。国スポを巡っては、自治体の負担軽減に向けて開催の在り方が議論されているかと思います。本大会と冬季大会ということで、かかる費用であったり、そういったものは変わっているかと思うのですけれども、今回の2年後の開催に当たって、県の負担について知事の所見を伺えればと思います。
知事
去年の11月20日付の有識者会議の論点整理、今後の国民スポーツ大会の在り方を考える有識者会議論点整理(たたき台)の1番に、まず、大会のベネフィット、便益を実感できる仕組みづくり、また、地域活性化に寄与というふうに冒頭に書かれていて、そして、最後のところが負担軽減ということが明記されているというようになっていまして、基本的にそういう流れの中で国民スポーツ大会の改革というのが進むべきと考えます。
なお、スキー大会に関しては、6開催地というところに気候変動の影響などにより屋外競技の一部の固定を検討とか、全国持ち回り方式を基本としつつ一部競技の聖地化なども検討とか、そういうことが書かれておりまして、気候変動でスキー競技がきちんとできる県というのが日本の中でもともと限られていたのが、更に限定されていくような、そういう傾向があって、岩手県は今回4年に1度の開催、2年後の開催を今回決めていただいたのですが、2年前にやっているので、4年後の開催となるのですが、過去は10年か7年に1度というペースでありましたので、スキーの聖地としての岩手という、岩手のステータスに一歩進んだような開催頻度にはなっているのです。ただ、2年後開催の後のことは全然決まっていないわけでありますので、まだ岩手がスキーの聖地になったと決まったわけではないと思いますけれども、特にスキーに関してはそういうところも考えながら頻繁に開催するのは大変ではあるのですけれども、スポーツ界全体、また、国全体で行うのだということで地元に過度な負担がかからないようなやり方、そして、地元が稼ぐことができるとか、地域振興、地域活性化に寄与だとか、ベネフィット、便益を実感できるような形で開催できるとすれば、それはいい形になると思っていまして、そういう将来の方向性を探りながら今回地元側は決断したし、日本スポーツ協会には選んでいただいたというところです。
記者
そうしますと、今回の開催に当たって、何か県として負担軽減に向けた財政面であったりの工夫でありますとか、そういった国に対して費用の負担軽減を求めたり、そういったお考えはありますでしょうか。
知事
そこは、やることが決まってから具体的な話合いが始まるわけですけれども、既に有識者会議の論点整理でもそういう負担軽減や、むしろ便益になるように地域活性化に寄与するようにという、そういう方向性は示されていますので、やはりそういう方向で調整をしていきたいと思います。
記者
アメリカに関連して大きく2点伺います。(千葉)ロッテ(マリーンズ)の佐々木朗希投手がポスティングシステムを利用して(ロサンゼルス・)ドジャースとマイナー契約合意いたしました。昨日の入団会見で決意を話していましたけれども、まずは今回、佐々木投手の入団について知事の御所感をお聞かせください。
知事
本当にすごいことだと思います。メジャーリーグで一番強いチームに入ったわけです。それは、世界で一番強いチームに入ったと言っていいと思います。そこで選んでもらったこともすごいですし、そこに入る決断をしたこともすごいですし、球団側と、そして本人と力を合わせて選手としての力を伸ばしてものすごい活躍を期待できるのではないかなというふうに思っています。
あと、記者会見で球団側の人が今回の入団に至るには6年前から始まっていて、球団が大船渡高校にスカウトを派遣したところから始まっているということを言ってくれていて、大船渡高校というのが世界に知られることとまたなったわけで、県立高校ですので、非常にありがたいなと思っています。
東日本大震災津波の被災の中で、深刻な犠牲や被害を乗り越えてという言葉では言い切れないところもあるくらい大変な思いと大変な努力を重ねながら東日本大震災津波の被災地から今、世界一の球団で活躍するということが実現したというのは本当にすばらしいことだと思います。
記者
ありがとうございます。大谷選手、それから菊池雄星選手に続き、本県出身の大リーガーが1人増えるということになりますが、県としてこれを機に何か取り組みたい事業等ありましたら、そのお考えも含めてお聞きいただけたらと思います。
知事
みんな3人ともロサンゼルスということで、ロサンゼルスがとても身近に感じます。これは、ロサンゼルスにとっても、また、広くアメリカにとっても、岩手というのを身近に感じてもらう絶好の機会でもありますので、今回の東海岸でのトップセールスでもアメリカへの様々な宣伝活動はするのですけれども、改めて西海岸、ロサンゼルスのほうにも県としての働きかけというのが今求められる局面かなと感じているところで、まだ具体的に何をするというところまではいかないのですけれども、検討していきたいと思います。
記者
ありがとうございます。もう一点、別の話題になります。トランプ大統領が就任しまして、それからトランプ大統領の第2次政権が始まりました。関税強化も辞さないという姿勢に県内企業からは懸念の声も上がっています。先ほど、西海岸でも本県のトップセールスをというお考えもありましたけれども、本県から米国への輸出拡大について、知事はどのような戦略をお持ちかお聞かせいただけたらと思います。
知事
今、大きく見ると、世界中で国家とか、国家間関係についてはどんどん悪くなっているような傾向にあるのですけれども、個人ですとか、あるいは地域に目を移しますと、過去できなかったような交流とか、様々な事業とか、いろんないいことができるようになっていて、アメリカとの関係でも菊池雄星、大谷翔平、佐々木朗希、3人のメジャーリーグでの活躍ということがありますし、あと「SHOGUN 将軍」というドラマが成功したということもありますし、いろんな中高校生の草の根交流、地域と地域の草の根交流も日本とアメリカの間でこれがどんどん発展していると言っていいと思うのです。ですから、国と国との関係については暗雲が漂っているというふうに見えるわけですけれども、人と人との関係、地域と地域の関係などでは、日本とアメリカの関係は非常にうまくいっている、調子良くいっていると。アメリカで日本食のブームが、更に人気が高まっていて、日本酒もまた人気が高まっているとか、アメリカの人たちが日本のものを消費したい、日本の商品やサービスを利用したいという思いはむしろ高まっていると言っていいと思うのです。ですから、国と国との交渉は政府間で頑張ってもらうとして、いろんな草の根交流とか、地域間の交流とかを通じてうまくアメリカの消費者の皆さんが、日本の、岩手の商品、岩手で生産されている商品、岩手が提供するサービスを、こっちから見ると輸出やインバウンドの観光の形で増やしていければと思います。
あと、トランプ政権がアメリカの製造業をよみがえらせたいと言っているのは、その気持ちは非常によく分かり、岩手も製造業の振興に力を入れていますからね。パンデミックとか、気候変動とか、いろんな不確実性が高まる中で、製造業というのはやはり底堅く地域経済を支え、雇用を維持し、そして、一定の所得を持つ、いわゆる中間層という民主主義を守る中軸となるような人たちを守り、育てることができるのが製造業ですので、アメリカにおける製造業の発展を日本が助けるような形で協力して、そして、短期的にはアメリカへの日本からの輸出が、そうですね……ただ、アメリカでいざ工場を増やしたり、製造業で働く人を増やすというのは、やっぱり年単位の時間がかかっていくのでしょうから、それまでは日本のものを利用してくださいとか、そういう交渉の余地もいろいろあると思うのです。関税でびしっと輸出、輸入を止めれば、自動的にアメリカ内に製造業の工場が増えて、働く人が増えるかというと、そうではないので、そこを2国間で協力しながらやっていければいいのだと思います。実際その協力の基盤は、トヨタさんの工場はアメリカにいっぱいあって、もう1980年代から協力のそういう実績もあるわけですから、そういうのを生かしながらやっていけばいいと思います。
記者
私から、中国に関して質問させていただきます。中国の研究機関で、(ALPS(アルプス))処理水放出後の福島第一原発周辺の海洋の状況について、特に変化、影響なしということが結果として出されたと、中国側の機関紙も報道したということですけれども、いまだに海産物の輸出規制が続いているという中で、岩手の水産業も非常に影響を受けておりますので、こうした報道が出されたことへの受け止めというところと、今後の輸出規制解除に向けた動きへの期待感というところをお願いします。
知事
それこそ中国の人たちも岩手を始め、日本の水産物をどんどん利用したいのだと思います。中国が輸入禁止するときの理屈は、日本が処理水放出について事前に中国政府に十分相談していなかったとか、そういう手続的なところが強調されていたと、こう思っていまして、それが証拠に、中国の漁船が福島沖で操業しているという話も聞きますので、そういう意味で、改めて科学的な根拠というところを、大丈夫だ、安全だというメッセージを発しながら、日本側も過去のそういう手続的に中国側に不満を持たれたということを踏まえながら、いろいろ中国側の言い分を受け入れながらチェック体制を丁寧にやるということで交渉を進めていて、ようやく歩み寄ってきたなというふうに期待をしています。
記者
私からは1点だけお伺いいたします。昨日の来年度当初予算の査定が終わった後のぶら下がり取材でもおっしゃっていましたが、世界に開かれた岩手をつくっていくということで、本日、アメリカ、カナダのトップセールスに向けて出発されることと思いますけれども、改めて岩手のどういった魅力を伝えて、どういう成果につながってほしいか、知事の意気込みのほど、ちょっとお伺いしたいと思います。
知事
日本の人たちが生産する商品や提供するサービスに世界中から引き合いがあり、人気も高まっている状態だと思います。その中で岩手県は、ニューヨーク・タイムズが盛岡に注目したり、みちのく潮風トレイルが欧米の主要メディアに注目されたり、岩手として特に注目されていると言っていいところがあると思います。既に世界に開かれた形で自分の人生を切り開いている雄星、大谷、朗希の3人も活躍しているわけで、そういう若い人たちに負けていられないという思いも持ちながら、岩手県として輸出とインバウンド観光を増やしていくという、これをてこにしながら、そうしていきますと、岩手全体が世界に開かれていくような形になり、世界の人たちが求めているようなものを生産し、そういうサービスを提供するというふうにやっていきますと、女性の働き方とかで、江戸時代、封建時代を思わせるような習慣というのは、もう岩手でやっていては駄目だなということも一緒に改善していくことができるということも期待しておりまして、岩手の経済社会が海外に通用するような水準に高まっていく、そういうふうになっていきますと、地方創生、人口減少対策的にも若い人たち、特に女性が岩手に残る、岩手に帰ってくる、岩手に新たにやってくるというような流れをつくっていくこともできると思っておりますので、そこまでつながるような形でトップセールスに臨みたいと思います。
広聴広報課
以上をもちまして、記者会見を終了いたします。
次回記者会見
次の定例記者会見は2月4日(火曜日)の予定です。
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