令和6年5月31日知事会見記録

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開催日時

令和6年5月31日10時00分から10時55分まで

会見記録

広聴広報課
 ただいまから記者会見を行います。最初に、知事から発表があります。それでは、知事お願いいたします。

知事
 グリーン/ブルーボンドの発行についてです。
 岩手県グリーン/ブルーボンドを、今回2回目となりますが、令和6年7月に発行します。
 発行額は50億円、年限は5年、満期一括償還を予定しています。
 昨年度(令和5年度)発行したグリーン/ブルーボンドは、県内外の投資家から多くの需要を集め、「第5回ESGファイナンス・アワード・ジャパン」の環境大臣賞銀賞を受賞しました。高い評価をいただいております。
 グリーン/ブルーボンドは、県民や事業者、市町村を始めとする県内外の様々な主体と協働し、本県におけるGX、グリーントランスフォーメーションを推進するための大きな原動力となるものです。世界に誇れる豊富な水資源を有する本県が、これを将来世代に引き継ぐ取組を進めていくための重要な財源確保策の一つであります。
 県内外の多くの投資家の皆さんにこのような本県の政策理念や取組に共感いただいて、グリーン/ブルーボンドの購入を通じて支援いただきたいと思います。

広聴広報課
 以上で知事からの発表を終わります。

幹事社
 まず、幹事社から今の件について伺いたいと思います。去年(令和5年)と大体同じだと思うのですけれども、用途の変更なんかは今年(令和6年)は考えていらっしゃるのでしょうか。拡大というか。

知事
 事業に違いはあるので、今後、お手元(に配付している資料)の写真にもあるように、昨年度は国定公園、自然公園の施設整備とか、水産高校実習船の整備とか、藻場の整備に使い、新しいグリーン/ブルーボンドで引き続き行うようなものもあれば、新しい事業に使うようなものもあるということです。

幹事社
 はい、分かりました。あと、(昨年度は)機関投資家向けだったかと思うのですが、個人投資家向けに拡大するとか、そういう予定はあるでしょうか。

知事
 引き続き機関投資家向けということになります。

幹事社
 分かりました。あと、去年は発行前でしたから、こういうレポートはなかったかとは思うのですけれども、レポートの表題が「インパクトレポート」とありますが、インパクトというところに込めた思いとか何かあるのでしょうか。

知事
 インパクト(というのは)、効果が出ていますということで、具体的な活用例も紹介しながらインパクトを紹介するレポートになっています。

幹事社
 分かりました。幹事社からは以上です。この件に関して、各社あればどうぞ。

記者
 繰り返しになって恐縮なのですけれども、2年連続の発行ということになりまして、昨年度を振り返って、この発行でたくさんの応募があったですとか、その反響の大きさについてコメントをいただければというところと、あと、改めて環境意識の向上といいますか、そういったところへ寄与したとか、そういったところを振り返っていただいての所感をいただけますでしょうか。

知事
 インパクトレポートにありますように、(記者席配付資料の)12ページ、大きくグリーンプロジェクト、ブループロジェクト2つの柱の下、様々な事業を行いまして、具体的には、(同)13ページからあるように、信号機のLED化とか、自然公園等の施設整備でありますとか、(同)14ページに進んで河川改修工事、土石流対策、斜面崩壊防止対策、(同)15ページに行って漁港施設の整備、実習船の建造、(同)16ページ、防波堤、護岸等の整備、そして、藻場の造成ということで、非常に求められている環境の保全や持続可能な開発、SDGs(エス・ディー・ジーズ:持続可能な開発目標)的な事業を進めることができて大変良かったと思います。そういったところをESGファイナンス・アワード・ジャパンの環境大臣賞銀賞という形でも評価していただいておりまして、2回目の発行を行っていきたいというところです。

記者
 ありがとうございます。来年度(令和7年度)以降の話をするのはまだ先の話かなとは思いますけれども、念のため、今後も継続的な発行というのを視野に入れているのかというところも確認させてください。

知事
 このように効果に対する理解も進んで、購入しようという投資家さんが一定数確保されていくようであれば、他の資金調達方法と比較しても低利で購入いただけるというような優位性があるということで、お金を出すほうも得だし、出していただくほうも得ということで、文字どおり持続可能になっていく可能性を感じております。

記者
 2点ちょっと質問したいのですけれども、昨年度発行した時点でブルーボンドは岩手県が全国の自治体では初めてというような形だったと思うのですが、今はほかの自治体で同じような取組をしていたりしているところがあるのか、今もなお、唯一というか、全国に先駆けているような状態なのかを教えてください。

知事
 何かどんどん増えているみたいですね。御近所では、宮城県、秋田県がブルーを含む債券を発行したということであります。

記者
 もう一点なのですけれども、先ほど一番最初の質問にありました事業に充てるというところなのですけれども、昨年度と同様の、似たような事業に充てていくというような理解で大丈夫なのでしょうか。

知事
 基本的にグリーンとブルーに資するという枠の中でやりますので、そういう意味では大体同じであります。あとは、グリーンやブルーの枠組みの中でどういった事業を年度ごとに充てていくかという中で、新規の取組があればそこにも活用するということになります。

記者
 (記者席配付資料10ページ、令和5年度)投資表明一覧のところを拝見しますと、基本的には県内の自治体もしくは企業が投資をしているというように思えますが、そういう理解でいいのかということと、あと自治体がかなり入っていますけれども、どの自治体も結構財政が苦しいと思うのですが、それでも投資をしたいというふうに思うぐらい有利な条件だという理解なのでしょうか。

知事
 投資表明一覧ということで、そうそうたる、かつ、様々なセンスが良い団体、企業が購入しているなという感じがします。そして、それぞれの購入の判断の理由というのは、それぞれの団体や企業ごとにあるのだと思いますけれども、まず、手堅い投資先であるということと、あとは、その投資が社会的にも評価されるということが大きいのだと思います。

幹事社
 この件、よろしいですか。では、発表事項以外、各社自由にどうぞ。

記者
 大きく2点について伺いたいと思います。まず最初は、豚熱について伺いたいと思います。洋野町の施設で県内初となる養豚場での豚熱発生が確認されました。殺処分のほうを進めていると思いますけれども、現時点での殺処分の進行状況と今後の対応についてお聞かせください。また、念のためですけれども、ほかの農場で豚熱が発生していないかも併せて確認させてください。

知事
 鳥インフルエンザのケースと違って、基本的に他の農場において豚熱ワクチン接種が済んでいるということがあり、感染が広がるリスクについては基本的に、道路のチェックとか、消毒とか、移動の制限とかはしなくていいレベルだというところがあります。また、鳥インフルエンザと違って、大量に暴露されても人間には感染しないというところもありますし、万が一、豚を食べても人間に感染しないということもありますので、そういう感染の広がりについては、県民の皆さんはそれほど心配せずに、普通に生産活動や消費を行っていただければと思います。
 一方、1万7,500頭という数の多さが大変なことでありまして、岩手県の養豚総数、ざっと45万頭ぐらいのかなりの割合でもありますので、被害の大きさということ、様々な補償や支援の制度がありますので、当該事業者にはそれを利用しながら先に進んでいってほしいと思いますけれども、養豚場の全頭殺処分とか、消毒の徹底という作業は大変でありますので、そこを県職員当番制で、本庁、広域振興局等、全庁的に総出で対応していくということになります。

記者
 ありがとうございます。初めてのケースなので、殺処分の終期といいますか、終わりの時期がいつになるのかというのもなかなか把握するのは難しいと思うのですが、殺処分は、どれぐらいで完了する見込みとなっているのかというのもお聞かせください。

知事
 速やかに完了したいということで、ちょっと具体的な終了見込みについては、現在、公表できるものがないところであります。

記者
 分かりました。ありがとうございます。
 続いて、話題が替わるのですけれども、知事は先日まで、中国のほうに出張に行かれていたかと思います。今回の中国出張の所感ですとか、成果のほうを教えてください。特に気になっているのが、(いわて)花巻空港と上海を結ぶ定期便の再開要請に行かれたと思うのですが、先方とどのような交渉が行われたのか、また、その定期便再開のめど等を示されたのかというところをお聞かせください。

知事
 まず、大連市と遼寧省との関係ですけれども、それぞれ友好交流に関する協定や覚書を新たに結びまして、大連市との間では経済、貿易分野や文化、観光分野での協力拡大を行うということを改めて確認し、既に岩手の物産が大連の企業を通じて、大連の中、あるいは、広く中国に出回るようになっていますので、それを強化していくということ、また、観光についてもコロナのときの人の移動の規制が緩和されて、人の行き来が徐々に可能になってきていますので、相互に観光を振興していくということを確認できて良かったと思います。
 そして、遼寧省は大連市に比べると、友好、協力を正式に文書、協定に基づいて行うということについては日が浅いのですけれども、短期研修を含む公務員相互派遣を展開するということを覚書として定め、あとは、ウインタースポーツ等の冬季観光を通じた交流人口の拡大に努めるという具体的なテーマを掲げることができましたので、これらをしっかり進めていきたいと思います。
 そして、上海の関係で、岩手県の南部鉄瓶を売ってくれていた上海大可堂という事業者さんが、上海から新幹線で2時間くらいのところにある浙江省天台県に、分かりやすく言うとリゾート開発をすると。そこには、まず、住居があり、温泉旅館があり、文化施設があると。温泉旅館や文化施設には、隈研吾さんとか安藤忠雄さんとか、岩手県としてもなじみのある世界的な建築家も参加してプロジェクトを行うということで、やはり日本的な豊かな生活というイメージで開発されるところでありまして、そこに南部鉄瓶を始め岩手の物産を利用していただくという見通しが立ちました。この日本的な生活の豊かさを共有したいというニーズ、これはニューヨーク・タイムズが盛岡市を取り上げたとき、盛岡、それはひいては岩手の生活文化の良さを評価してくれたということで、こういうことについては、東南アジアのほうにもニーズがあるということを去年12月に確認してきたところでもありますし、やはり南部鉄瓶に象徴されるような、日常使うようなものが文化的に非常に豊かさがあり、そういったことを物産や観光の形で振興していくことが岩手にとって非常に良い方向性なのだなということを改めて確認できました。
 そして、花巻-上海便についてですけれども、中国東方航空としては、いわて花巻-上海線については、有望な市場だという見方を改めて示してくれました。そこで、運航再開に向けてタイミングを計っているという発言もありまして、運航再開という当面のゴールを共有できているということを確認できたことが成果だと思います。あとは、中国東方航空と岩手県側とで協力しながら運航再開に向けて取り組んでいきましょうということを確認できましたので、事務レベルで調整をしながら進めていきたいと思います。
 以上です。

記者
 ありがとうございます。すみません、上海便のところで1点だけ確認したいのですけれども、運航再開についてタイミングを計っていると、運航再開というワードが出てきたところですけれども、先方のほうから具体的な時期であるとか、いつまでにというようなところは言及があったのでしょうか。

知事
 運航再開に向けていろいろやるべきことがあると、やったほうがいいことがあるというようなやり取りもありまして、そういう中には利用客を増やすための工夫とか、ですから、そういうことを何もしないまま、運航再開は時間の問題で、もうあとは自動的に一定の時間が来たらやれるとかいう話ではないということは、御理解いただきたいところでありまして、この運航再開に向けた必要な取組というのがあります。そこを事務的に調整しながら進めていくということになります。

記者
 大きく2点あります。まず1点目、岩手県に関連する法律、まずは地方自治法、あとは食料・農業・農村基本法について。まず、地方自治法については、改正案が衆議院を通過、農村基本法については改正案が成立したということで、この2点について所感をいただけますか。

知事
 地方自治法改正については、(国が指示権を行使する「重大な事態」が)具体的にどういう事態が想定されているのかということについては、今、想定される事態はないという答弁があり、今、想定されないことのために国の権限を強化するということで、気持ちは分かるのですけれども、それだけでは機能しないというか、効果は出ないというか、いずれにせよ甚大な緊急性、大きな非常事態というのですか、深刻な非常事態ほど国と地方、現場と司令塔部分がきちんと情報を共有して、何をしなければならないかということを共有して、共通の理解の下に取り組まないとうまくいきませんので、こういう法律ができるから、これでどんな非常事態があっても我が国は大丈夫とか、日本のどの地方も大丈夫とかいう話ではなくて、やはり何かあったときの密な連携ということが大事なのだと思います。そして、何かあったときの密な連携を、より確かなものにするためには、それぞれ事前に場面場面を想定して、自然災害とか、あと、テロ対策とかもそうですし、そういう緊急事態、非常事態、場面、内容ごとに事前に様々想定して、訓練もしたりして、備えていくということが大事ですので、国の権限を強化する場合、やはりそういう個別法ごとに強化するほうがいいのではないかと、今でも思っております。
 そして、食料・農業・農村基本法でありますけれども、これも現場で生産に当たっている皆さんが希望を持って仕事に邁(まい)進していけるように、なりわいとして農業に取り組んでいけるようになることが望ましいと思うのですけれども、いま一つ、そういう感じになっていないというところがちょっと問題なのだと思います。食料安全保障とか、問題意識は分かるのですけれども、いざというとき、やはり生産する人たちがその気にならないと、生産というのは行われないし、まして、生産を増やそうと思ったときに、本気でそうするのだという理解が得られるようにしておくことが大事なので、やはり今まず、ウクライナへのロシアの侵攻という、言わば戦時経済のような異常な経済情勢の中で、エネルギー費や物価が高騰し、農業の現場を直撃しているという、そこをまず、乗り切れるようにしないと、未来は希望が持てないわけでありまして、そこにきちんと対応することと、そして、食料安全保障ということが、やはり一定の生産量が国内的に確保されている、つまり(食料)自給率が高い状態であるということを軸にしながら、食料安全保障を考えていくということをきちっとやっていくことが必要なのだと思います。

記者
 ありがとうございます。すみません、話題が替わるのですが、先日、つばさの党の関係者が逮捕、あと、家宅捜索も入っています。あの選挙活動の手法について、知事の、何か御所見あればお聞かせください。

知事
 他の候補者や、また、選挙活動が認められている団体の演説の自由、街頭での演説とか、それをお互いに尊重し合うことがまず、選挙を成り立たせる基本ですので、ほかの候補者や団体に、その人たちが演説しようとしているのを妨害したりとか、話そうと思っていないことを無理に話させようとするとか、そういうのはもう、やっぱり選挙の基本を掘り崩してしまうことで、民主主義の土台を掘り崩してしまうことでもあるので、やはりやってはいけないし、やったら罰せられるということなのだと思います。

記者
 私からも豚熱についてお尋ねいたします。先ほどの質問に対して、事業者に対して様々な支援制度を活用してほしいというふうなことをおっしゃいましたけれども、県としての事業者支援というのを今のところ特段何か検討しているものはございませんでしょうか。

知事
 動物感染症については、国全体の一大事でありますので、それもあるので、全頭殺処分のような厳しいことをやらなければならないことになっております。したがいまして、豚熱で被害が出た場合におきましても、国による殺処分された豚の評価額全額の手当金や、あとは、公益社団法人中央畜産会からの経営支援互助金が交付されることになっています。そして、今後の経営を再開する際についても、国の家畜導入など経営再開に必要な資金の活用が可能となっておりますので、こういったことを生かして進んでほしいなと思います。

記者
 ありがとうございます。2点目ですが、国への県に対する支援要請の考えについてお尋ねします。初日から農林水産省からのリエゾン派遣というのを受けておりますが、体制のサポートというか、そういったところで今のところ何か考えているものはないでしょうか。

知事
 国のほうは、まず、日本全体に関わることなので、国としてもちゃんと防疫処置がうまくいっているかどうか見て、知っておかなければならないということで、職員に来てもらっているということでありますし、技術的にいろいろ指導があれば、助かるところがあるかもしれませんけれども、今、特に、技術的な指導とかはなく、マニュアルがかなりかちっと事前に固められていて、そのとおりにやっていて、そのとおりでオーケーという感じになっていますので、今のところ国に何か求めるというのは想定していません。

記者
 ありがとうございます。3点目ですが、豚熱のウイルス拡大の一因として、野生イノシシの生息域の拡大というのが挙げられるかと思います。県としては、これまでも経口ワクチンの散布などを行っておりますが、今回、養豚場での豚熱の発生を受けて、改めて今後、どのような対策を進めていくお考えかお伺いします。

知事
 改めて野生鳥獣対策が大事だなと思います。まず、防疫、感染症対策としての豚熱対策をしっかりやると同時に、シカ、さらに、制度も変わってクマもこの中に入りますが、そして、イノシシというような、最近急に数が増えたり被害が多くなったりしている有害鳥獣対策をしっかり進めるということも並行して、きちんとやっていきたいと思います。

記者
 私からは、国会で審議されている政治資金規正法の改正をめぐる動きについての質問です。立憲民主党がパーティーを全面禁止する法案を出しながら、幹部が開催しようとしていたということで批判を浴びました。これについての知事の御所見を伺いたいというのが1点目と、それに関連して小沢一郎議員から、パーティー自体は悪くないのだという声も上がっていますが、政治活動をする上で政治資金パーティーの必要性について、知事のお考えを伺えればと思います。

知事
 裏金問題ということなのだと思います。それで、派閥のパーティー券の販売にノルマを課して、ノルマを超えた分を裏金化していくという非常に特殊なやり方で、長期にわたって不適切な政治資金の運用とか、そこは、政治資金ではなくてポケットマネー化したのであれば、脱税の疑いもあるとかということになっているわけですけれども、そういうやり方をしていた人や団体というのは、一部の政治家や一部の派閥を抱える一部の政党なので、やはりなぜ、そういうことをしてきたのかということを、事実関係を究明しながら再発防止策ということ、必要であれば立法ということが検討されていかなければならないので、およそ政治資金パーティー全てをやらないことにするというのは、それを提案した人でも、今はそれはやってもいいことだと思いながら提案しているということで、やはり、今一つ実際に起きた問題を解決するというのとは違う話になってきているのかなというふうに思います。
 まず、実際に起きている裏金問題を解決していくため、再発防止していくためには、事実関係の究明がまだ足りないということで、政治倫理審査会にやっていた議員を呼んで、説明を求めるというようなことをせよ、という話がありますので、やっぱりそういうところが大事なのだと思います。
 そうしますと、政治資金パーティーを全面的にやらないことにするかどうかというのは、ある意味、裏金問題と直接の関係のないこととして行われているような感じがしてくるわけでありまして、ですから、全面的に禁止したほうがいいと提案をしつつ、でも、そういうルールができないならやってもいいという人に関しては、もう一回考え方を整理する必要があるのだと思います。正しいやり方であればやってもいいのだと思っているのであれば、全面的に禁止する必要はないということになるわけですから、その辺の意図を整理し直したほうが良いのだと思います。整理し直そうとするとき、小沢一郎さんは、そもそも全面的に禁止する必要はないではないかと、良いやり方で良い集め方をして、それを良いように使う。ただ、良いか悪いかは有権者に判断してもらえばいいから、1円から全部公開するようにすればいいだろうという、そのほうが筋が通るのではないかというような議論がまた出てくるのだと思いますが、それは裏金事件とは、もう関係ない話になってきていると、そういうふうになってくればですね。なので、その際、例えばアメリカなどは、ヒラリー・クリントン上院議員のパーティーなどは、日本円にして1人当たり50万円とか、そのくらいの寄附金でやっていて、集めたお金でコマーシャルを作って全米に流したりとか、ですから、たくさんお金をかけて、そして、多くの人たちを政治的に巻き込んで、民主主義を進めていくという、いろんなそういう政治の戦略というのはあり得るので、その中で政治とカネの問題というのは、そうやってアメリカの例とか、いろんな諸外国の例も参考にしながら、広い視野で、何も今国会中にという制限なしに考えていけばいいのだと思いますし、できるだけ早く解決しなければならないのはこの裏金問題ですよね。明らかに不適切な運用が行われていたはずで、脱税の疑いもあるということで、そこをはっきりさせるということを今国会中にきちっとやってほしいと思います。

記者
 ありがとうございます。確認ですけれども、今の部分で考え方の整理という部分がありましたけれども、知事のほうで政治資金パーティーの正しい使途の公開ですとか、であればやって良いとか、そういった知事としての考え方で整理できている部分がありましたら、教えていただけますと幸いです。

知事
 知事としては、今まで全然やってこないで来ているのですけれども、衆議院議員時代は一生懸命やりました。政党の県連のパーティーと、あと、自分個人のパーティーと、両方やっていまして、私設秘書が結構いて、ちゃんと社会保険にも入ってもらってやっていましたので、政治資金パーティーによる収入なしでは、ちょっときつい政治活動を日常的にやっていました。
 一方、今の政治の状況を説明するパンフレットを作って配ったりとか、それについてミニ集会、中学校学区ぐらいの細かさで集会を次々に開いていったりとか、あとは、年に2回ぐらいはオールジャパンで活躍している有識者を呼んで時局講演会を開くとか、国で言えば国民、地方自治体で言えば住民、そういう一人ひとりの人たちをどう政治的に組織化していくか、あるいは、政治参加の場をつくっていくかという、そういう普通の人たちが政治参加していく、そういう場をつくるためにお金がやっぱり必要になるわけでありまして、それを、より盛んにやろうと思えば思うほど、お金が必要になってくると。バランスの問題というのはあると思うのですけれども、その中でやはりそこに協力しよう、お金を出そうという人がそれなりに出てくるようなやり方というのは、社会的にも許容されるようなやり方だとも思いますし、適正なお金の使い方、また、政治的にもそれなりの成果が出ていけば、それは良いことなのではないかなと思います。

記者
 私からは2つ伺いたいのですけれども、1点目は、先日あった静岡県知事選で野党に推薦された候補が勝利して、自民党側からすると4連敗だというような見方があります。知事は、この結果をどのように受け止めたか教えてください。

知事
 突然の選挙なので、それぞれの候補者は、今まで日常的に地元で活動していたわけではなかったので、それだけ県内固有の事情以外の全国的な政治の状況とか、応援する政党に対する評価の影響とかが、より出やすい状況の中での知事選挙だったと思いますので、自民党が推薦、支持するようだと大分不利だという、そういうのがまた出たのかなというふうに思います。

記者
 もう一点なのですけれども、東京都知事選の件で、記憶に間違いがなければなのですけれども、昨年の知事選で達増知事を応援しにいらっしゃった蓮舫議員が出馬を表明されました。その件についての所感を教えてください。

知事
 連舫さんは、政策論的にも、政治姿勢的にも、衆議院議員時代は一緒にやっていましたし、その後も私のことを応援してもらったりとか、共有する部分が大きい政治家でありますので、非常に今までも国会での活躍とか、あと、広く日本の政治をより良いものにしていくということで活躍してきた人なので、東京都知事選に挑むということは、これは東京都民の皆さんにとってはより良い選挙をすることができる大きい要素になるのではないかと思います。選択の幅が広がり、非常に豊かな選択ができるようになったのではないかなということです。
 小池知事には、岩手県の震災からの復興とか、東京オリンピック・パラリンピックを通じた岩手の地域振興にも非常に力をいただいておりまして、そういった成果を小池百合子知事が上げてきたということは言えるのですけれども、選ぶのが大変になればなるほど、それは良い選挙だと思います。でも、まだこれで候補者が確定しているわけではなく、もっと豊かな選択肢が加わるかもしれないので、東京都民にとって良い選挙になることを期待します。

記者
 先ほどの(政治資金規正法の改正をめぐる動きの)質問の関連でお伺いします。裏金問題とは別問題だと知事がおっしゃるのはそのとおりだと思うのですけれども、パーティーの話に関していうと、そもそものところで立憲がパーティーを全面禁止しますみたいなことを法律に入れようとしたと。本当にやろうと思ったかどうかは分かりませんけれども、そういうふうに言ったので、こういう議論が起きているのだと思うのですけれども、そもそものところで立憲がパーティーを禁止するということをやろうとした、本当にやろうとしたかどうかも分かりませんけれども、やろうとしたことについてはどう思いますか。

知事
 長きにわたって日本政治を主導してきた自民党の、しかもここ10年余り、そこを更に主導してきた安倍派ですか、その派閥が(旧)統一教会と非常に深い関係にあったり、そして、非常にあからさまな、不適切な政治資金の取扱をしてきたということは、これは結構、日本国民全体にとってもすごく衝撃だと思うのです。私も非常に衝撃を受けて、日本の政治というのは先進国の民主主義と言えるのかみたいな、そういう衝撃を感じているところで、ですから、民主党もちょっと慌ててしまったのではないでしょうか。本当は、もう、大正デモクラシーとか、さらに、自由民権運動とか、そういう次元から日本の政治を立て直さなければならない局面なのに、今国会中に何ができるかというところで焦って考えて、ちょっとうっかりしてしまったのかなと思います。

記者
 先日(5月)26日に立憲民主党の定期大会、県連の定期大会がございました。そちらに達増知事も出席されたと思うのですけれども、小沢一郎議員が、大分支持率が伸び悩んでいる立憲に対して苦言というか、鼓舞というか、強い言葉で力を込めて発せられたと思うのですけれども、間近で御覧になっていて、知事は率直にどのようにお感じになったかお聞かせください。

知事
 今の日本の政権の在りようでは、とても駄目なのではないかという思いが広く国民に広がっていて、内閣支持率の下落、不支持率の上昇などに表れてきているわけですけれども、それでは、どういう政権にすればいいのかということがまだ見えてきていないというのが実態なのだと思います。それは、立憲民主党が単独で示せていないがゆえに、では、「立憲民主政権にすればいいのだね」、「はい」という感じが日本中にみなぎっているわけではないというのは、そういうことでありましょうから、それぞれがすごく問われているのだと思います。立憲民主党は、まず自らを強くしながら、足りないところを他の政治団体、政党等との連携で補っていく、あるいは、自分だけで政権取れるぐらい強くなっても、更に広い協力を求めていくという発想もありましょうし、いずれにせよ、そういう国民が希望を持てるような新しい政権の在り方をつくっていかなければならないということなのだと思います。
 あとは、政治資金規正法の参考人質疑というのか、公聴会というのか、平野貞夫さんが出てきて、自民党は自民党で頑張ってほしいということを言っていて、私もそのとおりだと思ったのですけれども、前尾繁三郎さんとか、池田勇人さんとかの名前を出してきましたけれども、保守本流が目指していた日本の在り方、保守本流が目指していた日本の政治の在り方というのを、今、全然そうではないので、そこを新しい形でやっていくというのを自民党が示すことができれば、それが新しい政権の形となって日本国民にも見えてくるということだと思います。それはそれで見えていないので、内閣支持率の下落、あと、自民党、党の支持率も下がっているみたいですけれども。
 ですから、そういう新しい政権のビジョンが今、政党や政党に属する政治家からまだ出てきていないという中で、泉房穂さんのような人が、民を救う救民政権、こういうのが必要だとかいう、そういうビジョンを出してきている。まさに、自由民権運動のときみたいに、あのときは地方の、いわゆる田舎から新しい憲法の案とか、新しい議会こうあるべきとか、日本の政治こうあるべきとかいう、そういう政権の在り方というのが地方の田舎からもどんどん出てきて、わいわいやって、新しい日本の帝国憲法と議会ができたということなので、それに近いことを今、やらなければならないのだと思います。
 私も今まで記者会見で聞かれたこととか、議会で聞かれたこととかに答える形で、日本の政権のありようというのは、ずっと発信してきたところもあるのですけれども、やはり地方が主役になる、原敬内閣の在り方と同じですね、地方が主役になって、経済発展、社会も発展し、積極財政と国際協調でそれを実現していくというのが、今の日本の政権にも求められていることだと思いますので、もう、何党であれ、誰であれ、そういう形に結集してほしいなと思います。

記者
 クマの対策として、市街地での猟銃の使用について、先週、国が一部緩和する方針案を示しました。知事は、先々週の会見で認められるべきというお話をされていましたが、今回の方針案についてはどう受け止めて、どう評価されているのか教えてください。

知事
 やはりそれが必要になる局面はあるということで、それが可能になるよう制度も変えていこうという政府のほうの姿勢は、それを要望していたこともあり、ありがたいと思っております。それで、捕獲する人や、あるいは、出没した近所の人たちが危険にさらされることがないように安全を確保した上で、また、安全を確保するためにも、ここはクマ相手に銃を使うべきというときに適切に使われるよう制度化され、運用されていくことを期待します。

広聴広報課
 以上をもちまして、記者会見を終了いたします。

次回記者会見

次の定例記者会見は6月11日(火曜日)の予定です。

このページに関するお問い合わせ

政策企画部 広聴広報課 報道担当
〒020-8570 岩手県盛岡市内丸10-1
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