令和6年9月6日知事会見記録
開催日時
令和6年9月6日10時00分から10時34分まで
会見記録
広聴広報課
ただいまから記者会見を行います。本日は、知事からの発表はございません。
幹事社
本日は記者クラブを代表しての幹事社質問の用意はありませんので、各社から質問があればお願いします。
記者
まず、米不足について伺えればと思っています。全国的に米不足の傾向にあって、本県でも一部、品薄状態にあります。一方で、間もなく新米が流通することから、業界団体からはいわゆる買いだめ、買占めですね、を控えるようにと落ち着いた対応も呼びかけている状況であります。県内のこの米流通をめぐる現状認識と今後の見通し、また、消費者である県民の方々に呼びかけたいことがあれば伺いたいと思います。
知事
去年(令和5年)の猛暑で、岩手県の場合はむしろ、やや良ということで、量的には例年より多く取れているのですけれども、日本海側の県においてはいつもの年より取れなかったという県もあって、そういうやや例年より米の量が少ないというところに、インバウンド観光客の需要で、米の消費が伸びているという話があるようです。プラス最近のことでは、南海トラフ地震対策でお米の備蓄もしなければということで買う需要がにわかに出たということもあって、今、米不足感が日本のあちこちに起きているということだと思います。今月私も恒例の稲刈りをやりますし、あとは新米フェアもやりますし、新米が出回るシーズンになりますので、決して足りなくなるということはないと思っております。
ただ、需要、供給の関係で、どうしても欲しいという人が今、目の前には売られていないというのに直面したときに、お金をもっと出してもいいとかなって、そういう反応を見ながら売る側も、では代金を上げてやろうみたいなことが起きたりすると、需要、供給の関係は心理的にちょっとしたギャップがあると、うんと値上がりしたりとか、うんと不足感が増したりとか、そういうことが起きますので、一つは冷静さが大事だということと、もう一つは、決してそういう状況に付け込んでもうけようとか、そういうことをしないでほしいということです。その辺がきちっと冷静に、かつ健全に、消費の側も販売の側もやっていれば、去年取れた量、今年取れる量を合わせれば、需要に対してはきちっとお米は回っていくというふうに思います。
記者
ありがとうございます。この米不足に関しては、大阪府の吉村知事が政府の備蓄米を放出させるように求めているといったこともあります。この備蓄米の放出の是非について、知事がどのようにお考えかというところも併せて伺えればと思います。
知事
備蓄米は、放出し過ぎると米価が必要以上に安くなったりするリスクもありますので、備蓄米は必要だから備蓄しているので、基本的にはさっき言ったように市場に出回っているお米だけでそうそう足りなくはならないのだと思います。ただ、心理的な要因でものすごい不足感が出たり、価格が上がったりということが局所的に起こったりすることがあり得るわけですけれども、大所高所から見れば、それだけ日本が普段、米の生産量をぎりぎり少なく抑えていくということを長年にわたってやってきた結果、ちょっとの需給ギャップの変動で心理的に価格や量のストレスがかかるような、そういう状況が生まれやすくなっているのだと思うので、もう少しゆとりがあるような米の生産管理といいましょうか、バターとか、いろんなほかの分野でもそうなのですけれども、生産を減らし過ぎると何かあったときにストレスが強くなりますので、やはりゆとりある生産体制というのを日本に維持していくことが大事なのだと思います。
記者
ありがとうございます。私からもう一点、立憲民主党の代表選挙について伺いたいと思います。立憲民主党の代表選挙が明日(9月7日)に、告示が迫っておりました。現時点で枝野前代表、野田元首相が出馬表明していて、報道ベースではありますけれども、泉代表も本日中に出馬表明するのではないかというふうな見通しとなっています。知事がこの代表選挙に期待する論点でありますとか、また、支持する特定候補がいらっしゃるのかというところを伺いたいのですが。
知事
自民党さんが民主主義のやり直しを迫られているとずっと言ってきているのですけれども、立憲民主党は政権交代のやり直しを求められているのだと思います。ですから、あのときの様々な反省点を基に今度こそ成功する政権交代、より良い政権交代をしようということが大きな流れになっていけばいいのではないかなと思いますので、そういうことを実現しようということで力が結集していくような候補者が出て、また、そういう選挙戦が行われればいいのではないかと思います。このくらいの水準までいけば十分大丈夫だとかということではなくて、更に良いやり直し、より良いやり直し。イコール、よりパワフルで政策的にも一気に今の国民経済の苦しい状況を解消して、そして、国民が生活や仕事に希望を持って、前進していくことで様々事態が好転していくような形にするためには、誰であれば大丈夫ということはないと思うので、関係者はそれぞれ精進して、今までの自分とは違うというような形でどんどん自分を高めて、そういう中で我こそはとか、あとはこの人がいいというふうにやっていけばいいと思っておりますので、現状の中では、まだこの人がいいとかというような感じではないかなと思います。
記者
2点あります。まず1点目、陸前高田市の高田松原津波復興祈念公園についてです。今月22日に(東日本大震災津波)伝承館のオープンなどから丸5年を迎えます。県内唯一の復興祈念公園として現在も国内外から多くの来館があり、昨年は全国植樹祭も開催されました。知事として公園の意義と、また、開館からの5年間の総括、あとは今後はどのような発展、活用が望ましいか、展望があればお聞かせください。
知事
大変多くの犠牲、大変大きな被害、そして、現代の先進国において大規模な災害が起きたがゆえの様々な避難から復旧・復興にかけてのいろんな複雑さですね、そういったことをできるだけ直接体験するのに近いような形で伝えていく、発信していくということを工夫して、(東日本大震災)津波伝承館を造って運営してきているわけですけれども、まず、当初の狙いどおりの形でスタートはできているかなという手応えを感じております。大勢の、特に学習旅行ですね、児童生徒、県内外から大勢来ていただいて、そして、それぞれ大変良かった、役に立った、勉強になったというような声も聞いておりますので、最初の志を忘れずに、また、利用してくださっている方々の声を参考にしながら、より良い展示を工夫し、東日本大震災津波と、そして、防災や復興ということの伝承と発信をしていければと思います。
記者
ありがとうございます。話題変わります。トヨタ自動車東日本岩手工場でヤリスクロスの生産が再開されたことについて、御所感があればお聞かせください。
知事
全国でも最も売れるような車を生産しているということで、経済的にも、また、様々心理的にも岩手にとって大きな力となっていたので、生産(が再開)されるようになって良かったと思います。生産中断するに至った経緯を振り返りますと、今後そういったことがないようにということを改めてお願いしたいと思います。
記者
私からは、知事の任期、5期目開始から間もなく1年が経過します。そこで、1年を迎えてであったり、この1年間を過ごしての所感、さらには新たに課題として見据えるものがあれば教えていただきたいと思います。
知事
前の任期が新型コロナウイルス感染症対策で、ほぼ時間やエネルギーをそこに取られたということから、5類移行によって様々な行動制限がなくなって、海外に出たりとか、また、県内でも県民と親しく接するようなことをどんどんやっていけるような環境になっていて、5期目においてはそういうことをどんどんやっていきたいと思っておりましたので、まず最初の1年、海外でのトップセールスでありますとか、県内での管内情勢調査や、市町村長さんと会って話をする機会、そして県民の意見を聞く機会、そういうことを4期目よりも増やすことができており、また2期目、3期目も東日本大震災津波復興関係の仕事が多かったので、海外関係や、県内をくまなく回るようなことがいま一つできていなかったなと思っていましたので、2期目、3期目以上にできているところはいいなと思っているのですけれども、一方で、クマ出没増加問題でありますとか、豚熱の発生でありますとか、そして災害ですね、山火事も含め、大雨災害など、結構災害対策本部を設置したり、知事も防災服を着なければならないようなことも多くて、そこはなかなか当初想定していたよりもスケジュール的にもきつくなってきてしまっていますので、その辺は想定外という感じではあるのですけれども、県職員も非常事態対応をそれぞれきちっとやってもらっていますし、海外戦略の展開、県内市町村との連携や、分野ごとにも県内くまなく、価値や魅力を発揮していくような施策を職員たちもかなりきちっとやってくれているので、まず5期目の1年目、うまくいってきているなという手応えは感じています。
記者
ありがとうございます。追加ですが、この任期中の残り3年で成し遂げたい、解決したいと考えている課題があれば教えていただきたいと思います。
知事
人口減少問題について、対応する体制が県の中、県と市町村と連携できてきておりますので、これをフル回転させながら、止められる人口減少に歯止めをかけ、岩手に帰ってくる、新たにやってくる、そういうUIターンの流れも大きくしていくようなことを進めていきたいと思います。
ニューヨーク・タイムズの盛岡記事の効果というのは、一過性のものではなくて、日本全体の中で地方にこそ価値や魅力があるのだという、そういう意識改革にもつながっていますし、日本でいいのは地方だという中で、その地方の中でも岩手は特にいいという、そういう評価もそこに重なってきていますので、やはりこのチャンスを生かさないわけにはいかないなということで、岩手の価値や魅力を掘り起こして発信しながら、それが人口減少対策につながるようにしていきたいと思います。
記者
先週の話になりますが、広瀬めぐみ前参議院議員が詐欺罪で在宅起訴されました。今までも、知事はいろいろ発言されていると思いますけれども、改めてこの事件が岩手の政治に与えた影響、また、御所見等ございましたら教えてください。
知事
独立した特殊な問題なのではなくて、日本全体の政治の流れの中で起きたことだと思います。「今だけ、金だけ、自分だけ」という言葉がありまして、東(京)大学校法人の農業の鈴木先生が農業問題に関する現状批判として使っている言葉なのですが、現在の日本政治の問題点としても当たっているのだと思うのです。政治家、特に政権、権力を持つ政治家たちが今だけ良ければいい、また金だけ得られればいい、そして自分だけ良ければいいというような、そういう風潮が長く続いて、日本経済の停滞や人口問題とか、あと社会保障問題、格差問題とかの先の見えなさということにつながっているのだと思います。
今回の岩手の(前)参議院議員さんの事件というのも、「今だけ、金だけ、自分だけ」という典型的な、そういう現代政治を象徴するような、また、それを許容するような政治的環境の中で起きたことだと思いますので、2年前の参院選のことを思い出しますと、そういう方向に日本全体がどんどん進もうとしていて、岩手県は比較的そこにブレーキをかけるような、そうではない政治というのが盛んだったところがあったわけですけれども、それを変えて、日本全体に合わせていこうというような政治の動きが岩手でここ数年、力を得ていたところがあったのですけれども、今回の事件でそこが否定されることになるでありましょう。そして、やはり岩手から日本の政治をまともにして、国民経済や国民生活が良くなっていくような、そういうふうに岩手から日本を変えるというような流れに、またつながっていけばいいのだと思います。
記者
台風5号や線状降水帯で県内各地、様々被害ありますけれども、県として今後こちらのほう、まだ被害の爪跡が残っているかと思いますが、どのように今後は対応していくお考えでしょうか。
知事
被害対策については、まず道路、河川、この復旧について手順を踏みながら、急いで進めたいと思います。農業、水産業などの産業被害については、必要であれば補正予算も措置して対策を講じていきたいと思います。
そして、新しいタイプの台風、そこから来る新しいタイプの大雨、そして被害ということを5号、10号で岩手県としても経験しましたので、県の風水害対策支援チームに改めて風水害対策の在り方というものを検討してもらうようにしたいと思います。
記者
今、台風、大雨の被害についてありましたけれども、例えば先日の大雨で米内川が氾濫して、被害が出たのに避難指示などが出されなかったという問題で、盛岡市などから米内川を水位周知河川に指定してほしいという要望が出されているかと思うのですが、それについての知事の受け止めと今後の対応のお考えをお願いします。
知事
今回、米内川の氾濫によって、住宅の浸水被害もありましたので、水位周知河川の指定に向けて、調査や盛岡市等との関係機関との調整を進めていきたいと思います。
記者
追加で、県内に同じような河川が21あるというお話もありましたけれども、それについてはいかがでしょうか。
知事
水位周知河川や洪水浸水想定区域の指定を県としては計画的に進めているところでありまして、そのようにして順調に増やしていきたいと思います。また、今回のように具体的な被害が発生した場合には、被害発生河川に優先的に取り組んでいくような形になっていくと思います。
記者
私も今の記録的な大雨の関係で、先ほど質問があったように、米内川の河川の指定なのですけれども、ほかにも同じようにまだ指定されていない河川があるという中では、やはり優先度があるのかなと思います。2016年の台風10号のときのものが今やっと整備されたということで、時間はかかると思うのですが、その辺りの優先度とか、その辺りはどういう方針で進めようとしていらっしゃいますか。
知事
調査と、あと関係機関との調整に一定の時間がかかります。その時間をかけていく順番、優先順位などについては、もともとの計画があったところに、最近の具体的な被害発生の状況というのを加味しながら決めていく格好になると思います。
記者
ありがとうございます。あと、これも盛岡市の件なのですけれども、先日、盛岡市長も陳謝したのですけれども、避難指示の情報の伝達の仕方で、一部対象地域に漏れがあったりした、避難指示という情報内容の重大さからするとちょっと考えられないミスがあったのかなと思うのですが、そのことに対して、知事の受け止め、あるいはほかの市町村等のことも含めて避難情報の適切な発信について、お考えがあれば教えてください。
知事
御指摘のような、そういう声があるということは承知しておりまして、今までなかったような急な大雨、急な河川の増水、そしてそれが夜、暗くなっていく中で起きたことなどなどあったわけでありますけれども、さっき県の風水害対策支援チームでいろんな新しい状況に対応して、改めて検討ということを話しましたけれども、盛岡市のケースも含めて、平素からの取組などを含めて助言できるものがないかということも含めて検討していきたいと思います。
記者
ありがとうございます。今のですと、例えば特別警報がこれから出るかもしれない、あるいは特別警報級の災害が起きるかもしれないというときに、夜間の避難にならないように、事前にアドバイスをするというのが基本的に支援チームの役割だと理解していましたけれども、今のお話ですと日頃からの備えみたいなところ、避難の仕方なんかのアドバイスも何か検討してもらって、日頃からの周知を図っていくという趣旨でしょうか。
知事
盛岡市の今回のケースは、気象台からの警報の発表も結構遅くなってからだったということもありますので、そういう大雨に対してどうできるかということをまさに検討してもらう格好になると思います。
記者
具体的には何か諮問していくような形で、ある程度期限を決めてというような形ですか。
知事
こういうのは、何かあったとき(のため)に風水害対策支援チームを中心に検討していくということが肝要だと思いますので、そういう感じでやっていければと思います。
記者
ありがとうございます。もう一つ、立憲民主党の代表選の件で私も質問させてください。先ほどもやり取りお聞きしていました。岩手県の県連の小沢一郎さんのグループが、野田元総理を応援しているという流れでした。ただ、ちょっと過去のことを思い返すと、2012年に当時の民主党が下野した引き金は、当時の野田総理の下で、消費税等の対応をめぐって党が割れて、その年の衆議院選で政権交代、政権から降りたという経緯だったと思うのですが、そういった小沢さんと野田さんの関係がまた、今度は接近して代表選に臨まれるという、なかなか岩手としては注目すべきなのかなと思うのですが、知事はいかがですか。
知事
小沢一郎さんの日頃の発言から、細川連立内閣と鳩山内閣の誕生に次ぐ3回目の政権交代、これをより良い形でやっていかなければならないという、そういう話の流れの中で、小沢・野田会談を何度かやり、それを踏まえて今の動きとなっているようでありますから、さっき言ったような、前回政権交代をやり直して成功する、より良い政権交代を今度はやるのだという方向性で様々それぞれ努力し、合意しながらやっているのかなと思っておりますので、そこは期待したいところです。
記者
そうしますと、先ほどのやり取りですと、まだどなたかに特に注目しているというようなことはないようでしたけれども、だとすれば野田さんに注目しているのかなと思ったのですけれども、いかがでしょうか。
知事
政権交代をやり直すやり方にはいろいろあると思いますし、その担い手となる人物ということについてもいろんな人があり得て、かつ同じ人でも、ことわざでも3日会わなければ、全然違った、大きな変化を遂げているかもしれないというようなことわざもありますので、そういったところも見ながら、全体として政権交代をやり直すということが成功する方向に行けばいいなと思っています。
記者
関連して、その参院の岩手選挙区の補欠選挙のほうで、10月27日の投開票は決まっているので、あとは逆算すると、選挙期間ですと間もなく告示まで1か月ぐらいになるのかなと思うのですが、まだ2年前に広瀬さんに敗れた立憲民主党から候補の擁立の話が出てこないのですけれども、筋論でいくと、誰がなればいいのかというのは何となく県民は想像するのですが、まだそういう動きがないのですが、知事はその点に対しては業を煮やしてはいないでしょうか。
知事
そういう県民の想像という活動が大変大事な局面だと思っていまして、まずは選挙の主役である有権者が、次の選挙は自分はどう関わろうか、自分が立候補しようかとか、あるいは自分が出ないのであれば、ではどういう人を応援すればいいのだろうかとか、そういうのを考えていただいて、それがある程度広がる中で具体的な選択肢が出てくるほうがいいのではないかと思いますので、具体的な人がまだ見えてこないということについては、それほど心配はしていません。
記者
先ほどの大雨の関係に戻りますが、県としての対応の部分で、盛岡市の一連の問題について、他市町村でも起こり得る可能性があるという指摘もありますが、その中で風水害対策チームの検討を待つことになるとは思うのですけれども、例えば、県として統一のガイドラインの策定とか、今後の方向性としては、知事としてはどのようにお考えでしょうか。
知事
既に気象台からどういう気象情報が出たら、それに対して、避難に関してどういう対応をすべきかというのは大体できているところでありまして、それに沿ってやっていこうとしたときに、気象台からの情報がうんと遅くなったときどうするかとか、そういう問題が今回新たに見えてきたところがあるわけですので、そういったところを改めて検討していくということになると思います。
広聴広報課
以上をもちまして、記者会見を終了いたします。
次回記者会見
次の定例記者会見は9月17日(火曜日)の予定です。
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